情報収集愛充編…1

スパンと大きな音と共に「メェン!」と力強い女性の声が響く。


「勝者、小鳥遊愛充!」


その声が聞こえると定位置に戻り竹刀を戻した。

二人揃って後ろに下がり、そのまま礼をすると退場し二人揃って面を外した。


「暑い!」

「はは!確かに汗がヤバイですね!」

「そういう愛充は涼しい顔してるけどね。私との勝負は準備練習にもならないって?」

「ち、違いますよ!誰がそんなこと言ったんですか!?」

「アンタの顔がそう言ってる」

「私はかなで先輩を大尊敬してますよ!!この間の試合だって圧勝してましたし!!」

「でも一年に負けてるけどね」

「でもでも!ほら、奏先輩は技を使うタイプですよね!?私はパワーとスピードで押しきるタイプなんで!!先輩から盗むことなんて沢山ありますよ!」

「っぷはは!そんなにマジでフォローしなくていいよ」

「フォローじゃありません!マジで思ってますって!」

「お世辞でも嬉しいわ」

「お世辞じゃありませんって!」

「分かったって」

「本当に分かってます!?」


そう汗をぬぐいながら談笑していると、面を脱ぎながら一人の男が近づいてきた。


「よォ。愛充」

「私もいますけど」

「知ってますよ。奏先輩」

「はいはい。アンタは私みたいな弱者には興味ないってか」

「あー。まぁそうっすね。せめて愛充に一本ぐらいとってもらわないと」

「うっざ」

「ちょ、ちょっと!英人ひでと先輩!奏先輩のこと馬鹿にしないでください!そういうところがクズなんですよ!」

「うるさ。愛充のことは認めてんじゃん。ま、奏先輩は今年中に愛充から一本とれたら認めてあげなくもないっすけどねー」

「ッチ。練習いってくる」

「はい。いってらー!」

「コラ!!英人先輩!!!」

「でも事実じゃん。三年で今年最後なのに一年のお前にレギュラーを奪われるほどの実力。大したことないって証拠だろ?」


人を小馬鹿にしたような喋り方でタレ目を更にタレさせながら英人は言った。


「弱い奴は強い奴の何倍も努力しないといけねぇの」

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