大好きな彼女からの意外なクリスマスプレゼント

緑川 湖

12月14日

 クリスマスをどう過ごすか、僕達高校生にとっては結構死活問題だ。恋人と過ごす、友達と過ごす、はたまた家族と過ごす。色々選択肢はある。


 そんな僕はと言うと……一人で過ごす事になるかもしれない。残念なことに。実のところ皆には秘密にしているけど僕に彼女は居る。久山明ひさやまあかりさん。名前の通り明るくて元気でとってもかわいい人。始めて会った時から好きになっていた。告白して、オーケーを貰った時は天にも昇る心地だった。


 でも最近久山さんはどこかよそよそしい。お話するとき目を合わせてくれないし、一緒に帰ろうなんて言ってもまた今度とあしらわれてしまう。何となく理由は分かる。噂だとハンサムで性格も良い学年の人気者、宗像むなかた君に告白されたらしいのだ。


 ぶっちゃけ彼と僕を比べれば月とスッポンだ。もし久山さんが彼の告白を受け入れたら僕はあっさり乗り換えられてしまうだろう。もしそうなっても僕は久山さんを止める権利は無い。僕が告白した以上別れる権利は向こうにあるのだし。止めてはいけないだろう。


 ……でも、僕はそんなのは絶対にイヤだ!頭で分かっても感情で納得できない!久山さんの隣に居るのが別な男子なのは断固拒否だ!こんなの酷い嫉妬だって自分でも思うけどこればっかりはどうにも止められない。


 伝え聞いた話ではまだ保留中とのことだ。ならば、クリスマスまであと10日。それまで久山に幻滅されないように頑張らねば。久山さんは誰にも渡したくない。僕は彼女が大好きだから。


−−−−−−−−


 「おはよう。久山さん。」登校中、僕は久山さんを見つけて声をかけてみる。


 「あ、お……おはよ!」なんてちょっとぎこちなく元気に挨拶をしてくれる。いつもならもっと絡んでくれるけど、今は少しだけ距離を感じてしまう。けど、


 「そういえば、もうすぐクリスマスだよね。何か予定ある?」僕はそれに努めて気が付かないフリをしておく。


 「わ、私?……無いけど?」


 「それなら、僕と一緒お出かけしない?」


 「……うん。いいよ。」割とすんなりアポイントが取れてしまった。もしかしたら断られたり難色示されるかと思ったのに。


 「それじゃあ、お出かけのコースを考えておくから、楽しみにしていてよ。」


 「……楽しみにしてる。」久山さんはそれだけ言った。……そして、そこから会話が続かなくなってしまった。


 なんだか、嫌な予感を感じなくもない。打破したいけどできるか心配になってくる。けど、僕の行動がこれで間違えていないと信じるしかない。


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