第一話
「………疾」
静謐な空間に響く風斬り音と少し低い声。それが立て続けに二度、三度。残心をとりゆっくりと体を起こし、刃渡りの長い片刃の剣を二度ほど血振りしてから鞘に納刀する。
壁に歩み寄りその得物を立てかけながらもタオルを持ち、汗を拭う。
「———ふぅ……」
息を吐き道場の小窓から覗かれる視線に目を向ける。左眉を軽く浮かせ首を傾げつつもその小窓を開ける。
「なんでこんな小窓から見てるんだい?」
「い、いや……まぁ、その……邪魔しちゃあれかなぁって」
なるほど。確かにそれは言い得て妙だ。僕は待っててと伝え、小窓を閉め、獲物を刀袋に入れそれを持ちながら道場の戸を開け、道場の方に振り向き礼をし出る。戸を閉め鍵をかけた後、中庭で待っていた彼女に顔を向ける。
「お待たせ。おはよう———姉さん」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます