傭兵みたいな猿のサルカニ合戦
前略
カニが猿によって大怪我をさせられてしまいました。臼、蜂、栗が猿達を懲らしめようと猿の家に入り込み、隠れて猿の帰りを待つところから始まり始まり。
「おぉ寒い寒い」
やはり冬というのは身にこたえる寒さなようで猿の体に生えている体毛だけではどうも敵いません。家に入って温まるのが良いだろう。そう思い俺は家の戸に手をかけた。
「!?」
俺はまず異変に気がついた。扉が少し空いていることに。空いていると言っても大掛かりに空いている訳ではなくほんの少し接地面に触れていない位の微々たるもの。ただ、それは几帳面な俺にとって有り得ない状況。そこから導き出される答えは、外的環境を除けば侵入者という可能性が1番高い。
慎重に横開きのドアをスライドさせた。開けた瞬間に左右を確認。
(誰もいない)
奇襲をかける常套手段としては完全なる死角である戸の真横に人員を配置するものだがそこにはいない。玄関の足元にもワイヤートラップは見受けられない。
(入り口付近には敵や罠は無しか)
これはつまり逃げ道を確保できたということ。
(ふ、甘いな侵入者よ。敵に退路を作らせるとは素人だな。傭兵や訓練を受けた手練ではないなこれは)
玄関を上がると俺は部屋を見渡した。目立った部屋の変化は無いようで、ひと目では敵の位置は確認できない。隠れているな。
俺は五感を鋭く研ぎ澄ました。
(何か、何か敵の情報を…)
「!」
微かなヒノキの香り。
(何故ヒノキの香りがするのだ。単純に敵の武器として持ち込んだ物の匂いか?それとも特殊な装備か?)
感じ取ったヒントは益々謎を深めるだけであった。
ただ、1つわかったことは遠距離攻撃は持っていないし、敵は弾キャラではないということ。安全圏から弾を撃てる状態であれば1歩目で俺は撃たれている。それが手っ取り早いからな。近、中距離を得意とするもの達なら俺の範囲内である近距離に持ち込みたいので、早々と距離を詰めて間合い管理をさせて頂く。俺はこの遠距離セーフティーエリアで作戦を考えてから行動ができるのでめいいっぱい考えた。
そもそも俺のこの部屋に隠れられる場所は少ないので消去法的に気をつけるべき場所は限られる。
(小さいやつならタンス、耐熱性があるなら囲炉裏、水中行動できるなら水瓶、もしくは台所からの奇襲…どこだ、どこにいる)
どうやら相手は痺れを切らしたようで物音をたててしまった。
「そこか!」
場所は囲炉裏。どうやら敵は耐熱性があるようで、遠距離攻撃はない。場所がバレたら必ず一目散に攻撃をしかけてくるはず。ならば、こちらは全力で近づくフリをして下がればいい。そこを差し返すのが懸命だ。
「くそ!バレたか、くらえ!」
どうやら正体は栗のようだ。
「バチーン!」
栗は自らの殻を弾けさせてこちらに突進してきた。
「な、自爆攻撃だと…だが、甘い」
俺は間合いを詰めさせることなく距離を意図的にとったので、避けることは可能である。
「くそ、避けられた!蜂!」
まだ仲間はいるようで援護を要請したらしい。俺は360度警戒しなくてはならない。差し返す暇なんてない。蜂はかなり小さいのでどこでも隠れられる。ここまで小さな刺客がくるのは想定外であった。
「どこだ!出てこい!」
俺がその刺客に背を向けてしまったらしい強烈な羽音が背後から聞こえた。水瓶からだ。
(まずい、後ろをとられた。間に合え!)
その場で緊急回避をした。
「(ガタッ」
俺は際どい体勢で回避したので壁にぶつかってしまった。だが、受け身をしっかりとっているのでダメージはない。
「なに!避けただと」
「お前の針に刺されたらひとたまりもないぜ。避けれてよかったよ」
「背後を取れたのに」
「それと、お前らの甘さは俺に出口を与えたこと…これで俺は逃げれるぜ。じゃあな」
俺は急いで玄関から出た。その時大きな影が私を包んだ。
「な、なにぃ」
それは大きな臼だった。これがどうやらヒノキの匂いの正体だったようで、家の屋根に登っていたらしい。
「残念だったな。これで観念しなさい」
「ふっ。嫌だね。」
(→↓➘+A 昇竜拳コマンド)
「昇〜竜〜拳」
「そんな攻撃効かんわ」
その言葉の通り俺の攻撃は臼にら全く通用せず跳ね返されてしまい、臼の下敷きになってしまった。
(あ、負けた)
「これで私達の勝ちだな。猿よ」
しょうがない。負けは負けなのだから俺は潔く負けを認めよう。
「あぁ俺の負けだ」
一段落して臼が俺の上からどいた時、何故彼らが俺を奇襲したのか聞かされた。カニの復讐だったようだ。
そこから俺は改心して彼らと仲良く過ごしましたとさ。めでたしめでたし。
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