こんな個性が尖った登場人物の昔話は嫌だ
狐猫
著作権を気にしないウサギのカチカチ山
昔昔あるところにおじいさんとおばあさんがいました。二人が畑で作業をしていると狸が現れていつもいたずらをしてきます。等々腹を立てたおじいさんは狸を捕まえて狸汁にしてやると言って罠で捕まえました。捕まった狸は命乞いをし、おばあさんを殴って逃げてしまいました。おじいさんはウサギに相談をしてウサギが狸を芝刈りに誘うとろから始まりです。
(おじいさんに狸をどうにかしてくれと頼まれたはいいものの、そもそもなんでウサギに狸退治を頼むのだろうか。僕だってそこまで暇ではないし、人間界には猟友会があるじゃないか。)
ウサギにしては少々愚痴っぽくはなってしまいましたが、頼まれたものはしょうがない。やるしかないのです。
(ちなみに言っておくが僕は殺し屋ではない。こんなことを日常茶飯事していると思われれば他のウサギへの風評被害になりかねないので一応注意しておこうかな。)
可愛くないウサギですね。
ウサギは狸が住んでいるであろう森の縄張りにつきました。ここから狸を見つけなくてはならないのですが、思いのほか直ぐに見つかります。草の上でスヤスヤと気持ちよさそうに寝ているのです。
(寝姿はまるでド〇えもんだな。あれ、これもうこの場で殺せない?)
目の前には今回のターゲットである狸が無防備で寝ています。この場で仕留めることは容易ではないか。そう思ったのでしょうが、一応これは子供たちが読む昔話です。この昔話を読んで得た教訓が「寝ていると襲われる」であれば後々の教育に色々と影響が出そうです。それは避けましょう。なので、とりあえず起こすことにしました。
「おい狸!芝刈り行こうぜ!」
今度はサ〇エさんですか。著作権が怖くないのでしょうか。書き手泣かせ、ナレーション泣かせな困ったウサギです。
「お、ウサギ。どうした。芝刈り?」
「そうだよ。行こうよ。はいこれ狸が持つ薪だよ」
「え、え、え、おう」
「さあ行こう!風のようにブ〇ズアイ!」
・・・・もう知りません。物語を進めましょう。なんとか強引に説得して芝刈りへ連れていくことができたウサギですが、もちろん薪を背負わせたのは理由がちゃんとあります。ウサギはしっかりと狸の後ろに付きながら機会を伺います。
(狸め。もっと集中を逸らしてくれないかな)
急に呼び出されたので何か警戒されているのでしょうか。中々タイミングができません。膠着状態が続いていましたが、等々狸がウサギから意識を逸らしました。
(よし!今だ!)
さぁ、絶好の機会です。この物語のメインでもあるこの場面。もちろんウサギが咄嗟にポケットから取り出したものは火打いs…
「ZIPPO!」
おっと。まさかやってくれましたウサギさん。カチカチしない気です。このままでは物語の名前が変わってしまいます。そんな渋いもので火をつけないでください。小さい子にZIPPOなんて通じませんよ。
「知るか!これで火をつけるんだ」
カチカチ山改めZIPPO山ですが、狸は自分の薪に火がついたので大慌て。
「なんだ、なんだ、火が。熱い熱い」
「どうしたの狸。すぐにそれを降ろして早く」
火がついている薪を降ろしても狸の背中には火傷があります。親切なウサギは何かを塗ってあげるようですね。
「じっとしてて。今薬を塗るから」
そうして取り出したのは・・・ヨードチンキ?
「消毒液だよ。ヨードチンキ」
なんかこのウサギの年代がわかる気がします。
「うわぁ!痛いよ」
狸はかなり痛がっています。それもそのはず。火傷に思いっきり消毒液をぶちまけたのですからかなりの痛みでしょう。本当なら唐辛子を塗るはずなのですけども。そこはまぁいいでしょう。
「いい薬は滲みるものだよ。ねえ釣りに行こうよ」
「え!?この状況で?」
ごもっともです。
「そうだよ。ほらこっち」
「ちょっと待ってよ」
無理やり狸を湖に連れていき、船を作らせます。
「狸は体が重いから頑丈な泥の船を作りなよ」
「うん。わかった」
急に史実通りですね。当たり前なのですが、なぜか怖いものです。狸は急いで船を作って完成させました。二匹は湖に出て釣りを楽しんでいましたが、異変は起こります。狸の船に水が浸入してきます。
「わ!水が」
「そりゃ泥だからな」
「助けてよ」
「おばあさんを殴った罰さ」
「そんな。ごめんなさい」
「もう遅いんだよ。狸」
泥の船は完全に水に溶けてしまいました。そこには溺れている狸とそれを見て陸を指さすウサギ。ノルマントン号事件の絵そっくりな描写です。
「じゃあな。狸」
「クソ・・」
最期はしんみりと終わりましたが、これにて一件落着。狸も可哀そうな気はしますが、仕方がありません。カチカチ山はこのような物語構成です。それを崩すわけにはいきません。ただ、このウサギだいぶサイコパスだと思うのはおかしいでしょうか。結構やることグロイですよね。
以上ZIPPO山でした。
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