夢の足跡
三日目の朝。
あかりは緊張していた。
今日は夢日記を頼りに実際に街を歩く。
朝食を食べ出かける準備をする。
少しコーヒーを飲み、防寒着をしっかり纏いホテルを出る。雪が少しちらついていた。
地図と夢日記を見ながら予想して通りを歩く。
フィンランド国立図書館へは色々なパターンの道があるため、地図だけでは分からない。
建ってる店も夢と違うため判断が難しい。
道を変えながら夢で見た通りを探す。
一つ似たような通りはあったけど、同じ通りでは無かった。
休みなく歩いた二人は、慣れない雪道もあり足に疲れがきていた。
「お昼も近いし、そこの店でランチ食べよう!」
「そうだね。お腹すいたー。」
シナモンロールを食べお腹が満たされる。
「あ〜美味しかった。また気合い入れて探すぞー。」
窓辺から見えるきれいな雪景色が、一層美しく幻想的な世界を作っている。
この極寒の地を彩る雪は無くてはならないものだ。
そんな事を思いながら店を出る。
何箇所か通りを歩き、まだ行ってない所は残り2箇所になった。地図を見て通りに向かう。
周りの景色を確認しながら歩き始めて数分、あかりの足が止まった。
「あれ…ここってもしかして、夢で見た所かも。」
「ホント?ちょっと夢日記見せて。」
ノートと景色を、何度も交互に見比べる。
二人は顔を見合わせ「ここだ!」
声が揃う。
「やったじゃん!ついに見つけたよ〜!」
周りの建ってる店は変わっていたが、通りは夢で見たのと同じだった。
クリスマス前であちこちにツリーが飾られていて、この通りにも飾ってある。夢とは違う場所にあり、大きさも今のほうが大きい。
一歩一歩、図書館に向かって歩く。
何度も夢で見た道…辿り着いた…
あかりの目からは涙が流れていた。
懐かしく心寂しい。
自分にはどうする事もできない感情に包まれる。
弥生はあかりの肩を抱き、二人はゆっくりと前に進んで行く。
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