つながっている
出発の朝は快晴で目覚めも良かった。
荷物を持って家を出てタクシーを拾う。
「お客さん、どちらにお出かけですか?」
「フィンランドです。」
「いいですね。今の時期寒いけど、雪景色できれいでしょうね〜。」
「はい。寒いって聞いたのでいっぱい着込んできました。初めて行くのでワクワクしてます。」
他愛のない会話をしているうちに空港に到着した。
荷物を持って空港入口付近に行くと、キョロキョロしてる弥生を見つけて手を振る。
「弥生、おはよう。」
「おはよう!いよいよだね。楽しみだねー!」
ここにいるみんなは、これからどこに行くのかな。
スーツケースを引く人達を見て、そんな事を思う。
カウンターに向かい、チェックインをしスーツケースを預ける。
次に、少しドキドキしながら保安検査と出国審査を受けて、搭乗ロビーへ向かう。
出発時間まであと少しある。二人は順番にトイレに行き、開いてるソファに腰掛ける。
「あかり、昨日眠れた?私はいつも通りに寝れたけ
どさ。」
「普通に寝れたよ。昨日はあの夢見なかったな。」
「その場所に行けるんだもんね。そこを歩く時、何か頭にパーッと入ってくるかもよ。」
「それだったら良いよね。眠ってた記憶が蘇るみたいな感じになったりして。」
搭乗案内のアナウンスが流れた。
飛行機に乗り込み、約10時間の空の旅が始まった。
窓から見下ろす町並みが段々と小さくなっていき、やがて雲に追いつき青空が広がる。
機内食を食べたり、映画をみたり、写真を取ったりして過ごす。
熟睡はできなかった。こんなにきれいな景色、寝てしまうのはもったいない。目に焼き付ける。
あかりは改めて思う。
距離は離れていてもこの空はつながっていると。
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