第13話 短いポッキーゲームと長いキス

 この状況で「アレ」って何と聞いたら、答えが一つしかない!


 キスよ。


 でも、さすがにただ「キスしたい」と言って妹とそのままキスするのはかなり恥ずかしい。ハードルが高い。だから、何かが必要。計画みたいななにか。実は、妹とキスするための計画程度のことなら、ずっとまえから考えてたので問題がない。


 キスなんて、ポッキーを使えば簡単にできる!あいては妹だとしても!


 まあ、本来、兄から振られたときから一日も経ってるから、やっぱりいまは妹のほうがいいと思います。ええ、一日だけは早い?そんなことないよ!こんなに可愛い妹がいれば全然問題なし。実は、ずっと前から妹が好きだと思う。ただし、男の子と付き合わなきゃいけないと思って、代わりにお兄ちゃんに愛情を移そうとしてた。


 今なら、わたしは多分、いや、きっとそうだったと思う。なので……


「花、わたしがポッキーを念のために、なにか役に立たそうな状況が来るかなと思って、今日持ってきたなんだけどだけど」

「したいことがポッキーゲーム、ってこと?」

「そうだけど。いい?」

「お姉さんとならなんでもいい、もうなんでも言ってるんだけど……うん。いいよ」


 言葉を継ぐ代わりにわたしが箱から一枚のポッキーを取り出す。その端を口に加えて、そのまま妹を見て視線で他の端から食べるように促す。そしてゲームが始まり……と、すぐに終わる。わたしも花も躊躇なんて全然しないから、ポッキーがキスするまでの遠回りにほかならない、それ以上に何もなり得ない。数秒でわたしたちの唇があって、わたしたちはキスする。


 一回だけじゃない。何度も、何度も。


 だんだん、長くなってて。とても気持ちいいけど。。。なんというか、なんか、息が……できなくなってるんだけど……


 花、勝手にもう放してよ!確かにキスはしたかったけど、今は気絶するまでじゃないよ。わたしが三十秒くらい内心で文句を言い続けると、やっと花が放してくれる。わたしは開放された。


「わたしは確かにキスしたかった。でも、どう見てもあの最後のキスは超超超長過ぎ。わたしが気絶するかを疑う始めたほど!」

「意図的じゃなかったよ、私がただ、興奮しててつい……えと、許してもらえる?」

「かわいいから許すんだけど、さすがに少しくらい怒ってるよ!今花が謝ったら、あとであのキス以上に長いキスを補償としてしてくれるなら許してあげるよ」

「ごめん……でも、お姉ちゃん、その最後の部分は少し可笑しくない?」

「変なところ別になかったと思うけど?まあ、それをさておき、遅くなってるからもう帰ったほうがいい」

「はい!」


 そして、わたしたちは帰る。もちろん一緒に、手を繋いでたまま。

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