第7話 お姫抱っこ
「はい、ここで立ててね」
目の前の地面を指差すと、お姉ちゃんが歩み寄って、わたしの前に止まる。そしてわたしも迫る、お姉ちゃんの背中とお尻に手を回す、そのままお姉ちゃんを持ち上げる。
結果は、当然、お姉ちゃんがわたしの、二の腕の力だけで、地面から離れる、上目遣いで腕の中からわたしを見上げている。
それは何だといえば、答えは一つだけ。完璧で無敵なお姫抱っこである。
はい、私とお姉ちゃんの、二人だけの、特別なお姫抱っこ!
お姉ちゃんが自分の腕にいるなんて、すごくすごいすごいすごすぎて何は何なのか分からなくなる、集中しないと意識が飛びちゃうくらいのレベルにマジにいろいろないみで本気で、ええと...... すごい。すごいはすごいね。語彙の弱さを嘆くところ。次の機会まで勉強しよう。日本語を。
結局お姫抱っこする機会がそんなにないかも。あってもいいけれど。これからわたしの人生を終わるまで、お姉ちゃんを担ぐ事になっても、考えたらそれはそれなりにかなり素敵な状況。そうしよう。お姉ちゃんが何を言っても、下ろす事はまずない。後でもない。いつまで経ってもない。
しかし、そうすれば授業の時とかすこし困るかもしれない。読んだある本には、女子高生が姫抱っこされているながら数学問題を解決するシーンがあったけれど、現実でそういう事はかなりありえない気がする。ちなみに、その本はかなり面白かった。とっくに主人公と主人公の妹のシーンは。
まあ、姉妹が付き合うという、ええと、まだ付き合っていないんだけれど、デートの例の約束くらいがあるからもうほとんど付き合っているみたいなものだろう、ええと、脱線したのは認めるからやり直そう。
姉妹が付き合うなんて、非現実的の展開になると言う人だって結構いるはず。
だから、現実は不便ならば、現実を捨ててもいい。
「あの、花、時間が少なくなかった? このままで大丈夫?」
わたしがぼーっとしてと、胸の前からお姉ちゃんの声がする。もう遅刻しかけているのはたしかにね、と頷きながら時間を確認とするけれど、誰かを担ぐと流石に無理。お姉ちゃんにちょっと聞いてみる。
「時間、どれくらいある?」
「ええと、5分くらいみたい。やっぱり私が歩いたほうはいいかも?」
「いいえ、大丈夫よ。わたしがはしるから」
「走る? このままで? なにかの聞き間違い?」
答えず、わたしがが猛然ダッシュで学校へ走り始める。
結界から言えば、やはり遅刻していたけれど。まあ、お姉ちゃんと一緒ならそれはそれでいいかもしれない。
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