第6話 凍てついた記憶の再来

「クロエ!クロエ!クロエ!クロエ!クロエ!」


私を呼ぶ声がする。この声はジェニーか。相変わらず騒がしい奴だ。私は何故かこいつと組むことが多いが相性は合わない。正反対のタイプだった。


「何だ?何事だ、ジェニー。私はあまり纏わり付かれるのは好きではないんだ。静かにしろ。私に要件があるんだろう?。」


「もう~!つれないんだから!そんなだから彼氏も出来ないのよ!私みたいにかわいい女の子にならないとね。戦闘に真剣になるのも良いけど女子たるものオシャレや恋愛にも、男にも熱心にならないと!私は恋に熱く生きてるの!彼氏にモテるのは鉄則だよ!」


「そんなものはいらん。」


「冗談でしょ!?クロエはやっぱり女心が無いわね~。なってないわ。」


クロエの苦手なタイプのジェニーが明朗快活と続ける。


「余計なお世話だ。私は要件を聞いたんだぞ。答えろ」


「相変わらず可愛げがないわね~わかったわよ。良いわね?クロエ。今度、私と貴女とケイトとジェシカ、マリーの五人で極秘潜入作戦をするよう司令官から命令があったの。それを伝えるように言われたのよ。詳しいことはしれに直接聞くけれども、今回の任務は何とブラジル、ベトナム、コンゴ、イラク、ルーマニアよ!世界中の戦場で戦うと言うことね。私たちの得意な国じゃない!また五人で世界中で暴れられるわ!アルティメットソルジャーの最強メンバーでね!」


五人には共同でこの五国での戦闘任務に当たるよう指示が来たのだ。アメリカへの反米工作が著しい地域への親米工作を行う。反米勢力を叩き親米勢力を生み出すのはこの五人の得意とするところだ。クロエは他の三人の名前を聞いて驚いた。 


「何だと!?私がお前やケイト達と?冗談じゃない。誰が!しかし上層部の命令とはな…」


「良いじゃないの。久しぶりに五人で世界中観光しながら遂行しましょうよ。訓練兵時代からの付き合いじゃないの」


「お前達とは違う。私は自分の信じた道をいく。相性が合わないんだ」


「私は好きなことをしたいだけよ。貴女が嫌うことでも私としては好きなことだもの。相性が合う合わないって不思議よね~」


「相性が合わないものは仕方ないだろうが」


「本当クロエは男前よね。私とは正反対。渋い女と恋する女、ケイトも加えてツンデレ女ってところかしら。ジェシカとポーラは癒し系と悪女かしらね。何だか全員にぴったりなイメージだわ」


「下らん」


「クロエは生真面目な人よね~」


「.....」


「あんたら、さっきからそこで何話してんのよ!」


「また大騒ぎしてるのかな?」


クロエやジェニーの冷静な、快活な声とはまた違う生意気そうな声と気だるそうな声がこだました。


「あああ!ケイト!ジェシカ!久しぶり~元気してた?」


「あーもう!調子狂うわよ!いちいちそんなべったり引っ付かなきゃ話せないわけ?」


「本当変わらないな~皆。相変わらず面白い人たちだね。ふふふ、気分転換にちょうどいいよ」


現れたのはケイトとジェシカだ。ケイトは気の強さに定評がある。生意気なところが玉に瑕だ。ジェシカは掴み所の無い飄々さが問題視される。しかし二人とも熟練者の軍人である。


「そうよ~私はケイト大好きだもん。見ていて面白いし~、あの堅物女とは違って反応もかわいいし、髪綺麗だし。あっ!、勿論ジェシカも好きよ!おませな感じが良いわ~。」


「いちいち寄り付かなくて良いわよ!クロエもいたのね。あんたらほんと仲良いわよね~」


「私は仲良くした覚えはないのだがな」


「相変わらずだね君も」


「クロエったら冷たいわね~せっかくの再会なのに。だから可愛げがないって言うのよ。この冷酷非道!」


「何とでも言ってろ」


「仲良いじゃない…」


「そうだね…」


ケイトは思い出したように話を始めた。


「それはそうとあんたたち、私も任務に行くって命令がでたのね。はあ~!!!早くやりたくてうずうずしてきたわ!」


「お前いつになく凄いやる気だな」


「早く手柄をあげて出世したいんでしょう?」


「はあ!?そんなんじゃないわよ。私があんたたちより上ってところをこの作戦でアピールするのよ。私はいつまでもあんたらと互角じゃ嫌なのよ!」


ケイトは態度は悪いが確かな仕事をする技量で知られていた。その口さえ穏やかなら誰も非の打ち所のない働きぶりをする。まさにプロだ。


「私の凄さにひざまづくが良いわ!」


「おっと、私も忘れないでもらいたいね。久しぶりに君達の戦闘を見させてもらうよ。腕は落ちてないかどうかね」


ジェシカも海兵隊所属でやはり凄腕の兵士だ。上陸作戦での苛烈さは良く知られている。捕虜救出任務に出ることが多かった。


「あら、貴女達揃っていたの」


お上品な声がした。ポーラだ。ポーラ・リヴィングストン少佐。品があり、丁寧で清楚なお嬢様風の雰囲気を持つ兵士だ。


「ごきげんよう、皆さん。お久しぶりですわね。懐かしいわ」


ポーラの品性に騙されてはいけない。この女の本性はブラックなのだ。とても二面性があるのだった。


「今回は壮大なスケールの任務だそうですね。この私にこそふさわしい良い任務ですわ。楽しみです」


ポーラは自信満々に微笑む。その笑みの下には強い信念の心があった。彼女は他の四人とは格が違うと言う自負と自信があった。


「皆さんはどうかは知りませんが私はこの数年で格段に腕をあげしまたの。なにか教えてもらいたいことがありましたら遠慮なく私に聞いてくださいませ。手取り足取り教えて差し上げますわ」


ポーラは高笑いをする勢いで飄々と話す。


「お前に教えられるまでもない。」


「私は間に合ってるわよ」


「誰があんたなんかに教わるのよ」


「相当自惚れてるね」


四人は呆れた表情をした。だがこのポーラも精鋭として名を馳せた女だ。彼女は沿岸警備隊隊員として水際で他国の工作員を何十人と引っ捕らえていた。不審船の警備やテロリストの制圧など数え上げればキリがないほどの功績をあげている。沿岸での戦いはポーラの言うように五人中トップだ。




究極の兵器兵士であるクロエ・ドライデン少佐、ジェニー・ウォーデン少佐、ケイト・グレイ少佐、ジェシカ・ウィンステッド少佐、ポーラ・リヴィングストン少佐はアメリカ軍特殊部隊の次世代最精鋭兵士を生み出す人を超人的戦士へと指導する計画「アルティメット・ソルジャーズ」プロジェクトによって鍛えられた軍人だ。一人が五百人以上の兵士の戦闘力を持つと謳われる。特殊生体兵器と名付けられた兵士達は人間の姿をした兵器として地獄の特訓を幼少期から受けた。彼女達はアメリカ軍から世界中の戦闘技術を仕込まれ少年少女兵として活躍してきた。その中でも筆頭格とされたのがこの五人だった。陸軍のクロエ、海軍のジェニー、空軍のケイト、海兵隊のジェシカ、沿岸警備隊のポーラとされた。最強の世代であり最高傑作と評価された者達である。彼女達は仲間であると同時にライバルでもあった。五人とも性格が正反対なのですこぶる相性は悪い。しかし、どこか憎めない関係なのだ。実力も認めあっていた。クロエがリーダー格だが実力は拮抗している。


「人それぞれ得意分野があるだろう。お前は空でトップじゃないか。それでは不満か」


「私は空の戦いはよくわかんな~い」


「あんたらねぇ!私は空の戦いに誇りを持ってるのよ!泥臭い陸戦やダイビングの海戦とは違う。空戦はロマンがある戦いなのよ。私は空を制止、陸や海も下につけてやるわ!制空権は近代戦において戦局を左右する重要なファクターなのよ!」


「皆が存在してサポートし合うからこそお互いの得意な戦闘スタイルが発揮できるとは考えないのかな」


「この人にそのような頭はありませんわ」


「何ですって~!」


「本当の事を言っただけです。」


「覚えておきなさいよ!」


ケイトはプライドも高いのだった。勝ち気な性格と負けず嫌い、男勝りと我が強い性格。冷静沈着でクール、硬派なクロエやのんびりでマイペースの温厚なジェニー、自由気ままで穏やかなジェシカに品のある中にも嗜虐心を持つポーラとは確かに相性は合わない。ペースが乱されるのを嫌うケイトは馬が合う人だけと付き合いたかった。しかし同期であり戦友である彼女達には憎み合えない感情がある。信念があり精神的にも屈強な彼女達は愛国者の側面からも信頼しあっていた。


「物凄いやる気だな」


「私は海のプロなので良くわからないわ」


「空の戦い専門の戦闘を見てなさいよ!」


「ジェニー、話を戻すぞ。次の任務では何をするんだ?また新興国家への潜入か」


「この五つの地域は私達の得意分野の国家よね。まあ大方検討はつくわ。暗殺も同時にやるってわけ?」


「となるとそれぞれの戦闘能力でカバーして補い合う必要がありそうだね」


「私が戦闘に立ちますわ」


「潜入や暗殺の他に捕虜救出もあるそうよ。司令官の話では本任務は特殊生体兵器の五人が必要なんですって。赤道直下の国々は政情がとても不安定なのは知ってるわよね。こういう国には戦争犯罪人や死の商人、独裁者とかの物騒な輩が大量にいる。闇のビジネスやマフィアなんかも戦争利権に複雑に絡んでくるわ。彼らが親米なら問題はないけれど反米となると話しは違ってくるわ。アメリカの驚異になる存在は早めに排除する必要が出てくる。良い、四人とも。ブラジル、ベトナム、コンゴ、イラク、ルーマニアへは五人で行くそうなの。つまり私達は三人で一人の状態になるのよ。バラバラではなく常に一緒に行動することになる。今回の任務は最大級の戦力が予想されるほど巨大なものになるわ。警戒も難易度も高い。勿論危険もね。ただ事じゃないわ。何しろ私達五人に出撃命令が出ているんですもの。」


「何だと?お前達と私が一緒?」


「ちょっと!それはどういうことなのよ?」


「これはこれは」


「よろしいんじゃありませんこと」


「仕方ないでしょ。上が決めたことなんだから。それほどこの任務は重要なんでしょうね。それと基本は現地調達だそうよ。いつもの流れね。まあそういうわけだからよろしくね、クロエ!ケイト!ジェシカ!ポーラ!」


「仕方あるまい…」


「くぅぅぅ…」


「運命的な巡り合わせだね」


「よろしくお願いしますわ」


クロエとケイトは不満そうだったがジェニーは嬉しそうだった。久しぶりに戦友と任務に出られる。得意苦手な部分を五人で補い合いながら戦闘していれば絆が深まるかもしれない。ジェニーは出来れば五人仲良くしたかったのだ。かけがえのない戦友なのだから。特殊生体兵器はその存在自体が国家の最重要機密である。究極生命体は外部に知られるのはタブー。その生活も国に管理されている。普段は一般人を装っているがそのバックボーンはあまりにも特殊過ぎた。誰も信用できる人はいない。普通に生まれたいと考えたこともあった。同じ少女の頃から共に訓練を受けてきたクロエ、ジェニー、ケイトは相性の問題さえなければ心強い戦友であり同期であり唯一信頼できる人だった。訓練兵時代も五人はいつも一緒に行動していた。基本的な生活は形だけは送れたが、総合的に戦闘訓練ばかりだった。戦闘に参戦するようになってからは単独行動が基本で一緒に戦うことは少なかった。今回は久々の戦友との共同作戦である。皆、思うところはあった。


「あの四人と任務に出るのも久しぶりだな。腕は落ちていないか見てやるか。訓練兵の頃が懐かしいな」


「嬉しいわ。皆とまた戦えるなんてね。どれだけ強くなったか見せてもらいましょう」


「口ではああ言ってもやっぱ嬉しいわよね。何年ぶりかしら。私の戦いぶりについてこられるかしらね」


「司令が言うには軍上層部は私達の力を全力で発揮してもらいたいそうなの。世界的に暗躍する巨大国際的テロ組織のブラックマンバを壊滅させてほしいそうよ。話は良く聞くわ。このメンバーは人を超越したような身体能力を持っているらしいわ。黒ずくめの戦闘服を身に纏い、各種武器に精通し、死んだことさえもわからせない殺しのテクニックは傭兵達からは黒い死神の通称で恐れられているわ。特にリーダーの女は世界中で懸賞金が掛けられているほどの相手よ!構成員は一人で傭兵数百人分の戦力を持っているとされ、世界各地の戦場で目撃されている。対抗するには五人が戦闘力を一つに合わせる必要があるって何回も念を押されたわ。それほどの手強さの相手よ。総力を結集して立ち向かわないと。」


「超人兵士の相手は究極兵士ということか。油断ならない相手だな。中東で多国籍軍を混乱させたとかアメリカ軍を壊滅させたとか海賊と手を組んでるとか最近よく聞く連中か。存在そのものがフィクションのような。我々と良く似た連中じゃないか。まるで特殊生体兵器のような伝説だな」


「何だか気になる連中なのよねそいつら。他人じゃないというか、似ているものを感じるの。前々から嫌だったけれど、とんでもないやつら。でも実力は本物よ。戦闘員の纏ってる雰囲気が違う。殺しになれたプロの戦闘集団よ。」


相性の合う合わないは別として五人は信頼しあっていた。特殊な環境で共に育った昔馴染みの存在なのである。アメリカのために生命を捧げて魂も売ってきた気心が知れた仲なのである。愛国心も人一倍強い。この共闘で感じ取るものがあればと五人は内心では思っていた。


「司令官から部屋に来るように言われているわ。行きましょう!詳しい説明があるはずよ」


「この作戦は世界中に展開するアメリカ軍部隊の支援も重要だろう。大規模な作戦だからな。全世界的規模の戦闘になる」


「ほんと上層部も面白いこと考えるわよね。私達を集めていったいどんな化け物を狩ってもらいたいのかしら。ターゲットは恐竜とかなんじゃないの~」


五人は仲良く基地の通路を歩き司令官室に向かった。任務の詳細を直接的に受ける必要がある。五人はドアの前に並んだ。


ドアをノックし五人で入る。パソコンの打ち込みに追われていた将軍が五人に気づいて顔をあげる。この基地を預かるランバート大将である。


「久しぶりだな五人共!子供の頃とは比較にならないほど立派になった。そして美しくもなった!な」


将軍は嬉しそうに笑った。彼は彼女達の直属の上司である。常に彼から任務が下されるのだ。


「司令、本任務のことでまいりました。今回の任務は我々五人での共同作戦だと伺っています。ターゲットは世界中に拠点を持つ超巨大国際的テロリスト組織ブラックマンバ。人間離れした強さを誇るあのテロ組織の構成員は一体何者なんですか」


ジェニーはブラックマンバ構成員の恐ろしいまでの強さを知っていた。やつらは情け容赦ない残虐軍団だ。独特なブービートラップを駆使し、たちまち部隊を消してしまう。その身体能力は異常だった。あまりの強さに戦場が静まり返るとされている。


「国際的テロリスト組織ブラックマンバは世界中に拠点を持つ大規模テロ組織であり巨大企業だ。世界中に顧客ネットワークの人脈を持っている。様々なビジネスを展開し豊富な資金と武器で傭兵を操り戦場で稼ぐ。捕虜の拷問もお手のもの。破壊工作では煙のように消えてしまう。高い科学技術力で高性能兵器を独自で開発している。そのビジネス範囲は広範囲に及び、総合商社の様相を呈している。この他にも情報はたくさんあるが謎が多くとにかく恐ろしい組織だ。我が軍の被害も尋常なレベルではない。速やかに手を打つ必要がある。彼女達の壊滅は世界各国の願いでもあるんだ。君達五人でなければとても全面的に相手には出来ないだろう。」


将軍は五人を流して見た後ゆっくりと一言一言話し出した。それはあまりにも驚くべき内容だった。五人に密接に関係する事柄だったのだ。


「国際的テロリスト組織ブラックマンバは君達と同じ特殊生体兵器が主要メンバーだ。最高指導者と幹部達は第一世代最強と謳われた兵士となっている。末端の兵士も彼女達から特殊な軍事訓練を受けたいわば模造特殊生体兵器と言える。第五世代の君達だからこそ相手に出来る相手なのだよ。新式と旧式の対決になる。彼女達は戦闘技術を全てマスターしている強敵だ。決して油断はするな。ブラックマンバリーダーのガブリエル・ウッドリングは元アメリカ軍特殊部隊の隊長だった。世界中の戦場で戦う内に闇のビジネスに魅了された彼女は部隊ごと戦線から離脱しテロ組織を結成したのだ。彼女達はテロリストに成り下がったのだ。アメリカのためよりも金のために戦う存在になったのだ。彼女達は機密も握っているため厄介な存在でもあるんだよ。君達には彼女達の捕獲をしてもらいたい。機密保持の面からも必要なことなのだ」


五人は驚きを隠せなかった。世界中でその名を恐れられるブラックマンバの構成員が自分達と同じ究極兵士だったとは知らなかった。アルティメット・ソルジャーズプロジェクトは五回実施され第一世代から第五世代の五世代の特殊生体兵器が作り出された。ブラックマンバメンバーは初代の第一世代、クロエ達は最終世代の第五世代に相当する。その存在は非常に高度な国家機密で保護され極一部の限られた人間にしか閲覧は出来ない。特殊生体兵器にもレベルやクラス、ランクと言った階級は存在する。究極兵士は末端兵士でさえ特殊部隊隊員五百人以上の戦闘能力を持つとされる。一般兵士だと5五千人以上となる。クロエ達最強レベルの究極兵士は軍団や戦闘団、師団相当の戦力となり五万人から十五万人以上と恐れられる無敵の力を誇っていた。まさに個人が軍隊相当の究極の存在なのである。伝説の世代は敵味方同様だ。ブラックマンバメンバーも第一世代最強の究極兵士が揃っていた。確かにこの五人でなければ太刀打ち出来ないだろう。その激突の様相はまるで一国と一国の戦争のようだ。数人で国レベルの戦闘規模なのである。


「ブラックマンバ幹部は超貴重な第一世代トップクラスの兵士だ。無力化しても殺さずに持ち帰ってもらいたい。その存在は危険であると同時に財産でもある。」


司令官は五人を見つめ直して慎重に話す。


「ブラックマンバリーダーのガブリエルは要注意人物だがアビゲイルやスカーレットという女達にも用心が必要だ。魔術師やブービートラップの天才と恐れられている兵士だからな。彼女達はアメリカ軍に所属していた当時からコントロールしきれない部分はあった。軍司令部も相当手を焼いていたんだ。ブラックマンバ最高指導者層はまさに手に負えないやつらなのだ。」


「アルティメットソルジャーに残虐すぎて味方にも恐れられた部隊がいたとは聞いたことがありましたが彼女達のことだったとは。」


「君達の最重要任務はブラックマンバの壊滅だ。そして幹部の確保。テロリストの拠点の制圧。国家機密の奪還と再建不可能にさせるべくテロ組織の闇のネットワークを消してもらいたい。」


「「「「「わかりました」」」」」


五人は同時に返事をしていた。


「全世界の平和を守るための作戦になるぞ。失敗は許されない。取り逃がしたとも言えない。失敗すれば君達にもそれ相応の処罰があるだろう。」


「我々が絶対に成功させます!」


クロエがハッキリ言った。正直ブラックマンバとは戦ってみたかった。あれほどの戦力を持つテロ組織はそうはいない。


「クロエの戦士の血が騒いでいるわ」


「あんたもでしょう!私もだけど」


ジェニーやケイトもヤル気満々だ。


「やはり私たちにしかできない仕事だよね」


「皆様、私の足を引っ張らないことね」


「全地球規模の戦闘になるが頼んだぞ君達!」


司令官は安心して彼女達を見送った。


基地の廊下を歩きながら五人が話している。


「ブラックマンバは倒さねばならない存在だ。我々と同じ特殊生体兵器が首領とあっては機密保持の観点からも尚更生け捕りにする必要がある。あの組織が勢力を拡大したらその被害は計り知れない」


「ガブリエルって女は凄腕の兵士で名を馳せているわ。彼女の伝説は教えてもらったことがあるの。一人で南米の麻薬組織を壊滅させたとか、東南アジアの武装勢力を全滅させたとか、中部アフリカの海賊を討伐したとか信じられない話ばっかりだったわ」


「第一世代最強は伊達じゃないってわけね。私達は第五世代最強だけどファーストシリーズは地獄を乗り越えているだけあって精神的にも精強そうね。第一世代の戦士は特殊な改良も受けているみたいだけど、私達の方が上よ!ファイナルシリーズのプライドを見せてやるわ!」


「懐かしいね、また五人で戦える。今までにないミッションだよ。成功すれば報酬も大きいだろうね。皆覚悟はできているようだね」


「世界中に私の華麗な戦歴を知らしめるチャンスですわ!ブラックマンバは相手として不足なしです。皆私についてきなさい」


五人は信念を胸に秘めながら基地を去った。この作戦は彼女達にとって今までに経験したことの無い戦闘になった。史上最大級の戦闘だったのである。

etc.....

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