第326話 修学旅行から帰ってきた息子の話。

 修学旅行から中三の息子が帰ってきた。

 それもものすごく不機嫌な顔をして……。


 これは我が家の記録として残すべく書く妄想日記である。修学旅行に行く前は「俺めっちゃ楽しみ! 班がすげぇいいんだよねぇ」と言ってたのに。彼に一体何があったのか。そこをちゃんと記録しておこうと思う。


 二泊三日の修学旅行。行き先は華の都大東京。1日目は企業研修&スカイツリー&屋形船ディナー。ディズニー系列ホテルで宿泊し、二日目の企業研修が終わった午後からはディズニーランド。最終日も企業研修で新幹線で帰ってくるという素晴らしいコース。


 なんと六万五千円も使って行ってきた。

 お一人様の旅行代金6万5千円。

 もう一度言おう。

 お一人様の旅行代金65,000円だ!

 65の後に、0が3つもつくのだ。

 凄い高い修学旅行。

 ちなみにお小遣いはマックス2万円。

 我が家も2万円渡してある。


「一生の思い出にきっとなるよねー。楽しくないはずないよねー」


 パパともそう話していた。だから6万5千円もお小遣い2万円も準備に色々購入してもありよりの有りだと思っていた。息子が楽しかったらいいなと。そうならお金をかけてもいいなと。


 しかし——。


「無茶苦茶嫌な思い出になったわ。最悪。行かんかったら良かった。自分のお土産買えてねぇし、お小遣い1万円も余ったし」

「え? じゃあその1万円返してね」

「…………」

「それにしても君、何があったというんだい? あんなに楽しみにしていたじゃないか」

「だってさ、お母さん聞いてよ。まじ鬱陶しい女が班の中にひとりいてさ。そいつがディズニーで勝手にお土産買いに行ったり姿消したりするもんで本当にめんどくさくて」

「へぇ。自分勝手系女子っているよねぇ」

「そんでさ、そいつが夜の女子会で班の女子に俺の悪口言うもんでさ、次の日他の女子(他2名)も俺のこと塩対応だとか言ってきて。まじ鬱陶しくてさ」

「へぇ。それでそれで?」

「スペースマウンテンに乗った時もさ、その鬱陶しい女が駄々こねてさ」

「ほう、駄々をこねたと?」

「そうやって。駄々こねてさ、俺の隣に座ることになってさ」

「うん? 駄々こねて2番の隣に座りたいと言ったのかい?」

「そうじゃないけどさ、駄々こねて色々あって俺の隣になったんだけどさ」

「ごめん、もっかいきくわ。駄々こねて、お前の隣になったんかい?」

「そうやって。でさ、暗くなったらさ『本当に隣にいるのか分からん』とか言って手を伸ばしてきてこうやって俺の手を握るんやって。きもっ! て、一生懸命手を外そうとするんだけど外してくれなくってさ。まじ最悪だった」

「………。2番君。それはその子は君のことが好きなんじゃ?」

「はぁ?! 最悪。絶対ないわ」

「でも今の手のつなぎ方、恋人つなぎ……」

「あーくそ! 行くんじゃなかった。修学旅行! 俺もう寝る!」

「あ、ちょっと、ま——」


 こうして彼は自分の部屋に戻って行った……。

 いや待て、1万円返却しろや。


 いやいやそれよりもですよ。その鬱陶しい女子は確かに鬱陶しいけれど、その駄々をこねるのと手を繋ごうとするのはさ、なんかあるっしょ? 普通に考えて。ちなみに2番君。自分ではモテないと思っているけれど3番ちゃん曰く「お兄ちゃん結構人気あるっぽい」そうで。


 今回一緒に行った班員は女子3名男子2名だけど、鬱陶しい女と呼ばれた子以外の女子2名とは、それぞれ遊びに出かけたりしている。


 仮にAちゃん、Bちゃんとすると、Aちゃんとは図書館で勉強会とか。その帰りに公園でボール遊びとか。その帰りはコンビニはしごに付き合わされて結局家に帰ったのが夜の九時とか。


 BちゃんはBちゃんで複雑な家庭環境を「2番君だけには話すね」と相談したりしている。Bちゃんの話を2番君から色々を聞くと、それも2番のことが好きなんじゃないかなって思うようなが多い。


 てことは何かい?

 もしかして2番君を好きかもな女子3人が同じ班だったってことなんかい?

 ハーレムやんけ!

 ラブコメみたいやんけ!

 気付かない鈍感男子にも程があるやろに!

 


 話を聞いた私と3番ちゃん(中一女子)はそう思ってニヤニヤしてしまったけど、2番君はそうは思わないようで、最悪な修学旅行だったらしい。


 せっかくのラブコメシュチュを棒にふったみたい。

 それに行かなきゃ良かっただなんて。


「こちとら準備も含めて十万近く使ってるんだぞー!」


 心の叫びを書いたところで、本日二度目の妄想日記はこの辺で。

 まあ無事に帰ってこれたので、よしとしますか。 

 うむ。


 そんな記録を書いておきたかった日記でした。

 お目汚しを失礼いたしました。



本当はこのネタを短編に落とし込んで記録したかったけど、時間オーバーでした。残念。青春って、いいね!


ちなみに昨年息子の鈍感プリを描いたものがありました。五分で読書用に書いて、見事!!落ちた作品です。この主人公よりもうちの子の方がもっと鈍感だった。


『中間テストは負けらんねぇhttps://kakuyomu.jp/works/16817139554627288598


お読みいただきありがとうございました!




 



 

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