第318話 朝から新作こねくり中!

 お誕生日の本日。子供も学校に行き、今は家に私一人……、なんですよね。ですから、朝から、怪談話の、YouTubeを見ながら、傍にパソコンを置き、ネタ帳にメモをとっています……。


 本来怖がりの私としては、家中の電気という電気をつけたいのですけれど、ここ最近の光熱費の値上がりを考えると、電気代がやはり気になる。しょうがないやってことで、リビングだけ電気をつけて……。魔除けのエッセンシャルオイルを手首に塗りまして、そして、怪談動画を視聴しているわけです。


 朝から何をやってるんだ、と思う自分もどこかにはいますけれど、これも修行だと勝手に思い込みまして。それで、怖い話の動画視聴を始めたわけでございます。


 そうすると、なぜか誰もいないはずの背後がやけに気になる……。


 我が家の床は木のフローリング材を使っているのですが、お天気の良い日が続きますと、乾燥した床の木がたまに軋む……。


 ミシッ、ミシッ……


 背後でそんな音がいたしますと、びくりと身体が反射的に動いてしまうこともあります。ですが、今日は雨。湿気のある日にはそういう現象は少ない。


 ところが、動画視聴を一旦やめてこうして妄想日記を書くためにパソコンに向かっておりますと……。


 聴こえて来たんです。

 背後から、あの音が——。


 ミシッ、ミシッ……


 それでもわたくしは、少々気味悪く感じるものの、「そういうこともあるかもね」などと軽く考え、パソコンに向かっておりました。でも——


 ミシッ、ミシッ……

 ミシッ、ミシッ……


 だんだんと床の軋む音がこちらに向かって来ている気がする……。まさか、そんなわけはないと心のどこかで思いつつも、音は確実に近づいて来ます。怖がりの私は恐る恐る振り返る、のですが、家族は誰もいないわけですし、背後には誰もいません。


「やっぱり気のせいかも?」なんて思い直し、またパソコンに向かうのですけれど……。


 聴こえてくるんです……。


 ミシッ、ミシッ……

 ミシッ、ミシッ……

 ミシッ、ミシッ……

 ミシッ、ミシッ……


 だんだんと、だんだんとこちらに近づいてくるんです。


 全身が粟立ちまして。でも、まさか、そんな。と、また振り返るのですけれど、やはり、そこには誰もいない。


 家の中には私が一人。猫も何処かへ出かけていき、一匹も家の中にはいない。怖くなったわたくしは、両手を擦り合わせまして、結界を張るのですけれど、どことなく……、まだ薄ら気味悪い……。


 実話怪談なんて視聴していたからなのか、なんなのか——。このまま怪談話を視聴し続けていると、良くないことが起こる気がする……。例えばコンテストに落ちるとか……。ん?


 そんな妄想を書きまして、誕生日に長編ホラーの新作ネタをこねております……。


「皆様、おはようございます。こちらからは以上です」



 お読みいただき、ありがとうございました。

 今日も皆様にとっていい日になりますように……。




しばらく家に引き篭って友人にもほとんど会ってない私。


スマホの留守電マークに気づきタップすると、懐かしい友人が留守電を残してくれていました。日付は5月3日。ゴールデンウィーク中の留守電に私は今のいままで気づかなかった。そこで、「ごめん、今留守電聞いたわ」とメールをしましたところ、「和響にみんな会いたいって言ってるよ〜。あの日は田んぼでバーベキューだったから電話かけたのにぃ〜」と返信が返って来ました。


そこから何通かメールのやり取りをいたしまして。友人からの熱烈「会いたいよ〜」メッセージに心癒されまして。月末に友人のカフェで会う約束をいたしました。


「引き篭もりで絶賛増量中の私を見たら、みんなはびっくりするだろうか……」


背筋も凍る今日一番のホラー案件でした。


 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る