第299話 中学校の入学式が無事?終了、の巻。

 PTA会長として祝辞を述べねばならぬ大役を果たした、本日。


「ああああ! 最後に名前を言い忘れた!」


 反省。そして、反省に次ぐ反省。めちゃくちゃ読む練習していたのに、最後の最後、日付と学校名、役職名、自分の名前を言い忘れてしまいました……。とほほ。とはいえ、終わったあと、列席された保護者の方や先生方から「素晴らしかった」とお声がけいただき、感謝です。何度も口をまわしたり、当日の今日の朝まで原稿見直してたりと、頑張った甲斐がありました!


 こんな経験は人生においてもう二度と、いや、あと卒業式の祝辞があるけども。PTA会長をする機会はもう二度と来ないと思うので、本日読んだ祝辞をここに記録しておきたいと思います。良かったら、お付き合いくださいませ。



***


『中学校入学式 祝辞』


 新入生の皆さん、本日はご入学、誠におめでとうございます。春のこの良き日に、皆さんのご入学に際し、PTAを代表し、祝辞を述べさせていただきます。


 大きなランドセルを背負い、小学校に入学をした時から比べると、皆さんは本当に立派に成長されました。今日、制服姿の皆さんを拝見し、いよいよ中学校生活が始まるのだと思うと、胸が熱くなります。


 私達保護者は、あなた方、子供たちのことを愛しています。それは無償の愛であり、決して消えることのない愛情です。 

 

 中学生になり、思春期真っ只中に突入する皆さんは、時にはお父さんやお母さんが鬱陶しいと思うこともあるかも知れません。


『愛の反対は憎しみではない、無関心だ』と、ノーベル平和賞を受賞したマザー・テレサは言いました。本当にその通りだと、私は常々思っています。我が子を愛し、無関心になれないからこそ、親は人生の先輩として、時にうるさく言うのです。皆さんは、どうか、それを知っていてください。

 

 心がぶつかり合うことを恐れていては、成長はできません。それは私達大人も同じことです。だからこそ、悩んだ時、苦しい時は、ありのままのあなたの心で、私達大人にぶつかってきてください。そして、この中学校三年間で、自分がいかに愛されている存在なのかを知ってください。自分という存在がいかに素晴らしいかを知ってください。


「思春期ドンとこい!」と、私たち保護者は愛と情熱を持って、全力で皆さんを受け入れます。


 皆さんの才能は無限大で、未来は可能性に溢れています。部活に委員会、どんどん、いろんなことに挑戦して、青春を謳歌してください。未来に向かって歩いていく皆さんを、私達保護者は心から応援しています。



 保護者の皆様、本日は、お子様のご入学、誠におめでとうございます。


 私も同じく新入生の母親です。産声を聞いてからこれまでの十二年間、大変なこともありましたよね。だからこそ、まずはここまで本当によくやってきたと、自分で自分を褒めてあげましょう。そして、また気持ちを新たに、ここから先の子供たちを、共に応援していきましょう。


 最後になりましたが、本日、このような入学式を開いていただきましたことを、先生方はじめ、来賓の皆様、そして在校生の皆様に感謝申し上げます。



 さあ、いよいよ中学校生活の始まりです!

 あなたが紡ぐ物語の、新章開幕!

 皆さんのご活躍を、心から楽しみにしております。


 以上を持ちまして、私からのお祝いの言葉とさせていただきます。

 本日は本当におめでとうございます。



 令和5年4月7日 PTA会長 和響



***


 さーて! この後は家族で焼肉を食べて入学のお祝い会だ! と、言いたいところなのに——。


「PTA会長会が夜七時からあるだなんて……」


 教育委員会よ、市内の小中学校の入学式、卒業式の日程はどこよりもはやく分かるはずですよね? なぜ、その日に会議を被せてくるんですか? 入学式や卒業式に出るPTA会長がいない想定なのですか? 家族でお祝いをする時間よりもPTA会長会の方が優先順位が高いなんて、あり得ない。


「すいません、本日は子供の入学のお祝いをする為に、私は七時四十五分になったらお先に失礼いたします」と、最初にお話ししようと思っています。だから、焼肉屋さんの予約は八時にしておきました。


「いますぐにでも! ビールで喉を潤したいどー!」


 そうか、ノンアルコールビールなら飲めるか。今すぐ買いに走って行こうと思ったところで、本日はこの辺で。お読みいただき、誠にありがとうございました。



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