第264話 お化け屋敷を作る、の巻。

 昨日無事に『無明の闇夜に』を完結し、今日は朝から屋根裏部屋をお化け屋敷にしようと奮闘しています、な本日。


「めちゃくちゃ疲れたー!」


 謎解き脱出ゲームを一緒に自作していた大親友、Tちゃんと朝から打ち合わせをして、昼頃に集合。天ぷらを揚げて天丼を作って食べ、その後から夜の十時までずぅ〜っと! 屋根裏部屋をお化け屋敷に改造していました。


 十二畳くらいの屋根裏部屋、三角屋根なので所々天井が低い作りです。それに、部屋の真ん中には建物に必要な柱や梁が剥き出しになっていて、屋根裏部屋を二分しています。その梁や柱の構造を利用してダンボールを養生テープで貼り付け、通路や小さな隠し部屋を作るのがまずは今日の目標! いや……、目標と言うか、それをするだけでも結構大変な作業なので、そこまでしかできませんでした。


「うおー! 明日は一日いないし、明後日はTちゃんが仕事! 一人きりでお化け屋敷の仕込みは怖くって無理ゲーだー!」


 そうなのです。怖い話を書くのが楽しいなんて言いながらホラー&ミステリーの長編を書いたのに、私は怖い話が苦手なのです。いいや、怖い話というか、全般的に怖がりなのです……。例えばひとりで深夜にお風呂に入るなんて無理……。愛するパパちゃんと二人でお風呂に入るなら深夜でも大丈夫だけど、パパちゃんが出張でいない日は夜にお風呂には入りませんっ!


「だって、髪の毛洗っていて、後ろに誰かいたらと思うと怖いんだもん!」


 お風呂の窓ガラスに手の跡が急につき始めたらどうしようとか、湯船の足の間から黒い髪の毛がゆらゆら浮き上がってきたらどうしようとか、急に電気が消えたらどうしようとか、ああ、想像するだけで怖い! だからそんな私は、作り物だって分かってるけども自分で自作した、そのお化け屋敷にひとりで入るなんて、絶対無理なのです。


「どどど、どうしよう! 明日夕方から夕飯を作るまでの二時間でっ! Tちゃんがうちにいる間の二時間で! 全部仕込み終わらなくてはいけない……!」


 まだお化け屋敷のお話も決まっていません。なので、本日の妄想日記は自作お化け屋敷のショートストーリーを妄想してみようと思いました。その妄想をもとに、この後、お化け屋敷の雰囲気作りに必要な掲示物などをデザインして印刷しなくてはいけない。


「ガチ無理だわ。それに明日はお弁当作らないかん。でも、でも、でもぉー! ひとりでお化け屋敷の仕込みは怖いから、今日中にできることはやるっきゃねぇ……」


 と言うわけで、早速、怖いお話を妄想です! 過去に自作したお化け屋敷のネタは使いたくないので、除外して考えなくてはいけませんよね。それに、ハロウィンなので、お化け屋敷の中でミッションをクリアして、何かを見つけてきたらご褒美にお菓子をあげるって言うのがいいと思います。


「ううむ。呪われた洋館から目玉を探し出してお札と交換してくるのはやったし、UMA研究所から地図のかけらを探してくるのもやったしな——」


 そんな私とTちゃんの妄想をうまく書けるかわかりませんが、お化け屋敷の設定導入部分を書いてみようと思います。で、できるか不安だけど、ヘッドフォンの音楽をダンスミュージックから『絶対ひとりで聞いてはいけない恐怖のホラーミュージック』に変更して、早速行ってみよー!



***


【——呪われた実験室—— ヒトゾンビ化抗ウィルス薬を手に入れろ!】


『た……助けてぇ……ここから逃げ出せなぃ……。は……はやく……なんとかしなくては、このままだと……こ……のまま……だと……ブチッ——ツーツーツー……』


「隊長、これが、あの実験施設に侵入した隊員からの最後の通信です——」

「これが、最後の通信なのか——」

「はい、隊員は全部で四名。その四名全員の生命確認装置からの信号も……、この通信を最後に途切れました——」

「生命確認装置の信号が……。と言うことは、あの四人は——」

「もう、生存している可能性は低いと言うことです——」

「なんてことだ! それではあの実験施設からヒトゾンビ化ウィルスの抗ウィルス薬は持ち出せなかったと言うことになるじゃないかっ! くそっ! このままでは全人類が、いずれヒトゾンビ化ウィルスに感染し——生きた屍に! だがしかし、なんとしても、ヒトゾンビ化ウィルス抗ウィルス薬を手に入れねばならん! 致し方ない。ここにいる者全員で、あの恐ろしい実験施設に向かう!」

「ですが隊長! あの実験施設では恐ろしい動物実験や人体実験で生まれた怪物が——」

「仕方がないだろっ! 俺たちが、俺たちがなんとしても止めなくてはいけないいだ!」

「でもっ——」

「なんだ、言ってみろ!」

「はっ! 実は最後の通信の前に送られてきた網膜カメラの映像を見る限り、実験施設の最初の入り口で人感センサーが作動しブザーがなると、それに反応したかのように暗闇から得体の知れない何かが現れ、それに襲われているように見えました!」

「と、言うことは——」

「そのセンサーに反応した時点で、アウトかと」

「センサーに反応しないように進まねばならぬと言うことか?」

「おそらく……」

「と言うことは、人数が多くてはまずいと言うこと。ひとりずつ向かわねばいけないと言うことだ。よし、それではひとりずつ進み、あの実験施設の中のどこかにあるヒトゾンビ化ウィルス抗ウィルス薬を探し出し、持ち帰ってくるのだ! 大丈夫、君たちならできる! もちろん、最初に俺が向かおう! それが隊長たる者の使命だからな!」


 隊長は、そう言って恐ろしい実験施設の中へと入って行ったけれど、三時間以上たった今も、未だ帰ってこない——。最後に送られてきた網膜カメラの映像は、真っ赤に染まる実験室の底から伸びる白い手の映像だった。隊長の生命確認装置はまだ生きていることを知らせているけれど、だんだん心拍数が減っていくように見える。


「こうなれば、ひとりひとり実験施設の中に入るしかない。そして、隊長を助け出し、抗ウィルス薬を持ち帰るしかない。私は、いくわ——」



***


 バイオハザードか! なんてツッコミを入れながらTちゃんと妄想し、なんとかお化け屋敷のベースが完成した本日。実験室の入り口を入ると、防犯ブザーが鳴ります(笑) そんな仕掛けをする私たちは、段ボールで間仕切りをして通路や小部屋を作り、その上から農業用の真っ黒なビニールを貼りまして、屋根裏部屋に真っ暗なお化け屋敷を作りました。明日は、振動や音で動き出す全自動のお化けたちを何体か仕込み、ブラックライトの蛍光灯をつけて完成です。実験施設と言うだけあって、試験管や研究資料みたいなものも準備します。それに、目玉をたくさん——


 ふふふ、血走った目玉、いっぱい持ってるんですよねぇ——。


 完成したら、近況ノートに写真を少しだけ公開してみようかな。そんな、もう直ぐ日付が変わりそうな本日。夢中で書いていた『無明の闇夜に』のラストスパートで指を使いすぎ、また指の皮膚が破れてしまいそうなので、この辺にして終わりたいと思います。


「養生テープ十巻分くらいダンボールに貼って肩も背中もパンパンだぁ!」


 本日も御読みいただき、ありがとうございました。

 今日も一日平和に幸せに過ごせたことに感謝して。





 ——普通の日常に、ありがとうございました。



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