第109話 うな丼かカレーか
誰もいないリビングで、アイスコーヒーを飲みながら『伝書猫』を執筆している、本日。
きっと、衣替えをしたり、早急にやらなくてはいけないことがあるはずだけど、書くとその先が見えるという、気まますぎる執筆スタイルなので、書かねば私もその謎が解けないのだ。さらっと執筆って言っちゃった。ちょっとかっこいい。
つまり、書かねば、一体どんな事件なのか、誰が犯人なのか、いや犯人は知ってるけども、そこはしっかりしてないと書けない。そう、誰が犯人で、どうやってそこに持っていくかを、書かねば私も見えてこないのだ。なんということか。一体どうなってるんだそのミステリーは?! そんな執筆スタイルはありなのか? あ、また執筆って言っちゃった。ちょっとかっこいい。
とまぁ、そんな時間が最高潮に楽しい今日この頃なのである。窓を開け放ち、そうすると爬虫類ケースの匂いが少しリビングに漂ってくるけれど、まぁそれも許容範囲として、書き書きしている。で、だ。
「うなぎが無性に食べたいーーー!」
おっと、生の声が漏れている。さっきまで天然鰻のうな丼と、肝吸いを食べているシーンを書いていた物で。おほほ。
番宣を兼ねて? になってしまうかもしれないけれど、『伝書猫』に登場してくる主人公は実家をモデルに多分している「海鮮ゆきちゃん」という架空の定食屋さんで働いている普通の主婦だ。私が普通の主婦なので、ミステリーを書きたいと思ったら、設定上そうなってしまった。てへ。狭い世界で生きているので致し方ないのである。私の行動範囲も猫と変わらないほどきっと狭い気がする。と、そこは置いておいて。
その「海鮮ゆきちゃん」でのシーンは、大体今のところ賄いご飯のシーンが多い。というか、そればっかりかもしれない……。賄いご飯を食べながら、水曜サスペンス劇場が大好きな女将さんに主人公が振り回されていくだろうストーリーのはず……。多分、そのはずのお話だ。
ゆえ、賄いご飯を書くことになる。
「それが、めっちゃ楽しいの! もう脳内で味わいながら書いてるから、すんごい美味しい気分になれるの! でも実際は食べてないから、物足りないの! というか、その食べてるものが食べたくなってしまってしょうがないのー! 」
また、生の声が漏れてしまった。もう良い、カッコつけてないで、生の声でこの先は行こうと思う。
「でも、食べたことないものは書けないの! だから、脳内の記憶の中を探って、あれとかこれとか出してくるの! でも、そこは足りないところもあるんですよ。例えば、今日さっき書いていた、天然鰻のうな丼でいうと、天然鰻は食べたことがあるんですよ、でも、そんなに美味しい味付けじゃなくて残念すぎたんです。で、そうなると、美味しい鰻の蒲焼の記憶とミックスするんですよね。そうすると脳内では最高なお料理ができちゃうんです! はぅ! 食べたい! どこにいったらそれを食べれるんだー!」
そんな感じなのです。でも今日のお昼ご飯は昨日の残りのカレー。それにチーズトッピングで福神漬けです。どう転んでも天然鰻のうな丼にはならない。どう頑張っても、脳内再生はうな丼、目の前にはカレー。
「これはうな丼だ。黄金に輝く天然鰻のうな丼だ……」
やってみましたが、やっぱりカレーはカレーでした。まずもって匂いからしてカレー。鰻じゃない。鰻の蒲焼きじゃないんだー! カレーでした。もうそれはそれは普通のカレー。なんなら子供の口に合わせたカレー……甘口です。
どうしたら鰻のお口になれるんでしょう。以前書いたように、できると思い込んでやればできるんでしょうか。スプーン曲げた時みたいに?
でもやっぱりカレーでした。もうカレーを美味しくいただきました。
そんな本日ですが、『伝書猫』がいよいよ事件の香りを醸し出してきました。全くもって関係ない事件になるかもしれないけれど、ミステリー好きの女将さんが、週刊誌に載っているわよと言って、猟奇的殺人事件の話を持ち出してきました。
おいおい、猟奇的殺人事件って、あなた、書けるんですか? 脳内お花畑なのに? と自分でツッコミを入れながら、過去に実際にあった事件をネットで調べたりしています。恐ろしい事件がたくさんあって、その事件の記事をネットで読んでるだけで、背筋が凍りそうです。
そこにきて、ニュースを見ると、いろいろ考えてしまいます。
猟奇的な殺人事件だらけの戦争。
もうそれが戦場では日常?
戦争は恐ろしいと思います。それが日常? そうじゃないはずなのに。
朝の番組で、東大の入学式に映画作家の河瀨直美さんの祝辞を紹介していました。ネットではいろいろな意見が飛びかったそうですが、私は、その通りだと思ってみていました。全文は、《令和4年度東京大学学部入学式 祝辞》と検索すると出てきますので、ご興味のある方は是非。
悪を作ると正義ができる。でもそれは反対から見たら、正義が悪になり、悪は正義になる。争いの質とは、そういうものだと思っています。だから、簡単に考えれるように、「悪」を作りたくなってしまう。
本質、真理に迫るスピーチだったんじゃないかと思いました。
尊重しあい、手を取り合える、そんな未来を子供たちに渡していきたいと、思います。カレーかうな丼かで悩んでるなんて、幸せです。感謝して、今日という日を大切に生きていきたいです。今日は真面目に書いてみました。やはり、真面目に書かなくては。たまには。明日あたりはボケてくるかもしれません。あ、また自分に前振りしちゃった……。
*
本日もお読みいただきまして、誠にありがとうございました。
もし良ければ、ご一緒に。
――黙祷。
戦争のない世界を望んでいます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます