夢想家
阿紋
1
「ねえ」
僕の隣であいつが言う。
「えっ、なに」
「今でも信じてるの」
「何を」
「僕のお嫁さんは宇宙からやってくるって」
「そう言って星を指さしてた」
「あの星からだって」
久しぶりに会ったのに何を言いだすんだろう。そんなこと覚えていたんだ。
僕はあいつの顔を見て微笑んだ。
「何笑ってるのよ」
あいつが僕を見てそう言う。
「そうだよ。まだ信じてる」
「だからまだ一人でいるんだ」
お前のほうだってそうだろう。お前は女なんだからそっちの方が問題だ。
「女とか男とか関係ないじゃない」
「何かって言うとお前は女だから。そればかり」
そう言いながらあいつは暗い川のほうをじっと見ている。
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