夢想家

阿紋

「ねえ」

 僕の隣であいつが言う。

「えっ、なに」

「今でも信じてるの」

「何を」

「僕のお嫁さんは宇宙からやってくるって」

「そう言って星を指さしてた」

「あの星からだって」

 久しぶりに会ったのに何を言いだすんだろう。そんなこと覚えていたんだ。

 僕はあいつの顔を見て微笑んだ。

「何笑ってるのよ」

 あいつが僕を見てそう言う。

「そうだよ。まだ信じてる」

「だからまだ一人でいるんだ」

 お前のほうだってそうだろう。お前は女なんだからそっちの方が問題だ。

「女とか男とか関係ないじゃない」

「何かって言うとお前は女だから。そればかり」

 そう言いながらあいつは暗い川のほうをじっと見ている。

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