第67話 ちゃんとした石碑があった

 飛空艇で、ブンブンと空の迷宮の上を飛び回るのである。


「廻天将軍怖かったねー。タマルとラムザーでわざと目立つように動いてくれたでしょ! 私たち全然狙われなかったもん」


「お分かりいただけただろうか。そこら辺に気づいてくれるの、ちょっと嬉しいな」


「もうそれなりに付き合い長いもん。分かるよー」


 ポタルが俺の肩をもみもみした。

 なかなかいい心地である。


『これからどうしますかな? 空の上では、廻天将軍を一撃で捕らえるというのはなかなか難しそうですな。パチンコも避けますし』


「そうだなあ。あいつは傲慢だが油断しない。なかなかヤバイやつだ。なので、パチンコを避けられない策を考える。パチンコが当たれば勝てるからな」


『オー、そこを断言できるの、タマルさんはトゥルーに豪傑でーす!』


「あいつらも別に無敵とか最強なわけじゃなく、人間よりも数十倍耐久力とか運動力とか筋力が高いだけだからな」


『普通に絶望的な差ではないですかな?』


「俺の世界だと、人間は自分たちよりもずっと強くてとんでもない生き物を知恵とか道具で狩ってきたんだ。俺を見ろ。道具と用意さえきちんと整ってればどんな怪物も、サクッとやれる」


『まあ、普通ドラゴンに肉薄しようとする胆力はありませんな』


「あの時も俺に気づいてドラゴンが暴れたら終わりだったが、暴れられないようにした。なのであの勝利は必然なのだ。今度も必然で勝とう。今回は普通に準備が足りてない。計画的にスローライフしない者はおバカである。これ、俺の名言ね」


『オー、自分で名言と! パワフルなコンフィデンスを感じまーす!』


「フフフ……。それはそうと戦ったら負けかなと思っているので、一方的にハントするための素材を探そう。もっと探そう。クラッカーは使い捨てなんだ」


 使用済みのクラッカーが、薄れて消えていく。

 ゴミが残ったりしない、エコ構造なのだ。


「よし、骨三郎キャノン、骨四郎、骨五郎、骨六郎、骨七郎、骨八郎、全員で下に注目。変なのがあったら教えてね」


『カタカタ!』


 操舵担当の骨次郎以外が、わーっと舷側へ走る。

 

『骨ってこんなにいたの……? もしかしてまだまだ隠し玉を持ってるんじゃない?』


「色々あるぞ」


『色々……。あの時、マンイーターが壊滅しなかったのって運が良かったのねえ』


「うむ。マンイーターがこっちと同盟っぽくなってくれて良かった。取り尽くさなくて済んだからな」


 俺は基本、身内には甘いのだ。


『カタカタ!』


「タマルー、骨三郎が何か見つけたってー!」


「なんだなんだ」


 俺もドタドタと舷側へ。

 下には、小高い丘が見える。

 大半が緑に覆われているが、そうでない部分は赤い煉瓦っぽい構造材になっている。


 そこに、石碑があった。

 サブカル梁山泊の石碑かな?


 飛空艇を停めて降りてみる。


『タマル様、どうしてピッケルを高く構えているのですかな?』


「サブカル梁山泊の石碑を砕いたら浮遊石があったからさ」


『今回も貴重な石碑を粉砕すると! 過去を振り返らない主義ですなあ!』


「あんまり有用じゃなかったら残す……」


 まあ、石碑を読んでみようじゃないか。


「三行!」


「三行ー!」


 俺の宣言で、ポタルが盛り上がった。


・人は世界が星であることを突き止め、その外へ上がるために空中都市を作り上げた。

・人が作り上げた機械は神を名乗り、人を滅ぼし始めた。

・地上を追われた人は散り散りになり、残り僅かな人間が空中都市に残ったがもうダメぽ。


「だってさ」


『ははあ、創造神も兄弟神も、元は人が作ったものだったのですな。では兄弟神が召喚した我らも人の手によるものなのかも知れませんなー』


『サラッとナチュラルにワールドシークレットが語られましたねー』


「あっ、タマル! この石碑あちこちピカピカ光ってるよ!」


「なんだと!? えいやー!!」


『あーっ! タマル様が一撃で石碑を粉砕したーっ!』


『いつもながらヘシテーションがナッシングでーす!』


「なあにそれ」


『躊躇っていう意味でーす』


『オリハルコンをゲット!』

『機械端子をゲット!』

『機械部品をゲット!』


『新しいレシピが生まれた!』


▶DIYレシピ

 ※ドローン

 素材:オリハルコン+機械端子+機械部品


「おお、面白そうなのできたじゃないか!」


 トンカントンカンDIYしたドローンは、言うなればミニミニ飛空艇みたいな感じである。

 物を運べそう。


 ポルポルと違って意思はなさそうだな。

 だが、俺が作ったアイテムというのが違う。

 破壊不能オブジェクトでもあるからだ。


 ブーンとドローンが飛ぶ。


「可愛いー! ちっちゃーい」


 空を飛んだポタルが、ドローンをつんつんした。

 空中でよろけるドローン。


「よし、こっちこい」


 ドローンがブーンと寄ってきた。


『ピピー!』


 そこへポルポルが走ってきて、ガシーンとドローンと合体だ。

 うおーっ!

 こんな仕組みがーっ!!


 スカイポルポルの完成である。


『ピピピー』


「なるほど、ドラゴンの時はオブジェクトを押して役に立ったりできなかったから、今回は自分の出番だと」


『ピピー』


 砲口から鼻息みたいなのを吹いている。

 やる気満々だなポルポル!

 よし、これで廻天将軍にもう一回挑んで、ゲットしてやるのだ。


『ウグワーッ! 人類の歴史の真実に触れました! 2000ptゲット!』


▶DIYレシピ

 ドローン


 UGWポイント

 3700pt

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る