おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様だった~
第7話 新しい仲間を紹介するぜ! おしゃれな衣装ケースだ!
第7話 新しい仲間を紹介するぜ! おしゃれな衣装ケースだ!
「新しい仲間を紹介するぜ! おしゃれな衣装ケースだ!」
『ほう! この色あい、形……。見たこともない素材でできている……。これに何を収めるのですかな?』
「衣装とかかな……」
「へえー、可愛い箱! ねえねえ、何も入ってないし、これ私の寝床にしていい?」
「ダメ……!」
「けちー!」
ポタルに羽でペチペチ叩かれる。
ははは、よせよせ。
しかし現実では女の子にこうしてペチられることもなかったし、これはこれでいいものだ。
『
「まだ衣装が何もないだけだ。俺はキャラメイクされたままの普段着だろう」
『確かに、タマル様はこのヘルズテーブルを歩くには正気とは思えぬような薄着ですな』
「歩き始めて三分で狩られて死ぬわよね」
『カタカタ』
散々な言われようである。
「しかしこうして俺は生きていて、理想的スローライフのために邁進しているのだ。どんな世界でもその気になれば生き残れるもんだ。俺が証拠だ」
『我にはどうしてタマル様がまだ生きていられるのかさっぱり分からん……』
「もしかして人間の世界はそんな感じなのかも知れない?」
『いや、タマル様は絶対人間ではない。間違いなく魔人候寄りだ』
「あー、私を捕まえた虫網の技があったわ」
「ご理解いただけたようで嬉しい。じゃあ、次の目的を話すけどいい?」
どうぞどうぞ、と二人は頷いた。
『目的なんてものがあったのですな』
「その場のノリで生きてるんだと思った」
「うるさいよ? 次はな、この衣装ケースの中を満たす衣装を探す。近くに魔人候の流血男爵というのがいるらしいんで、こいつの城に行って色々漁ってこようと思う」
『エッ!! いきなり魔人候の領地に攻め込む!?』
「ノリで生きてる!!」
「うるさいよ!? おしゃれな衣装とか、そういうのは強力な魔人とかモンスターとかの住まいにしか無いらしいじゃない。魔人商店で聞いたよ」
『あの双子、余計なことをタマル様に吹き込んだな……』
「魔人商店ってなに!? 今度私も行く!」
魔人商店大人気だな。
あそこは行く度に欲しくなってしまう商品が並んでいるので、全くポイントが貯まらないのだ。
なお、今回は250pt使った。
それから新しい収穫なのだが、魔人候を捕まえて売り払うと、アイテムボックスの収納量が30個までに増やしてくれるらしい。
今回魔人候のところに行くのは、そういう意味もあるのだ。
俺のアイテムボックス収納量のために、犠牲になってもらおうか魔人候。
『とりあえずトロル装備を入れておきましょう』
「うわあ、おしゃれな衣装ケース最初の収納品が、もちもちしたトロル装備になっちまった。なんてことするんだラムザー」
『この間まで地面に転がしてましたからな。モチモチした装備でも我の気モチ的には微妙でしたぞ』
「まーたダジャレを言う」
『言ってませんぞ』
荷馬車は流血男爵領へと入っていく。
どこからどこまでが領地なのか、この世界は分かりやすい。
石造りのおどろおどろしいゲートがあるのだ。
街道からゲートをくぐると、途端に周囲の空気が変わった。
ねっとりとした、まさに血が粘つくような空気。
周囲がまるで、日暮れ前のような明度である。
そんな中で、少し先から争う声が聞こえてきた。
「なんだろ? ちょっと見てくるね!」
ポタルが羽ばたき、上空から争いを眺める。
すぐに戻ってきた。
「オークの集団と、なんか赤い色の荒くれ者っぽいのが戦ってる!」
『赤い色のが流血男爵の手勢でしょうな。ブラッディアンという下位の魔人ですぞ』
毒の血を持ち、その毒を体内に入れると流血が止まらなくなるやつらしい。
たちが悪いな。
「数は?」
「オークが十匹と、ブラッディアン? が七匹くらい」
「なるほど、それならアイテムボックスに余裕があるな」
『タマル様、まさか……』
「ちょっとポイントを稼いで行こうか」
こうして、俺たちは争いに介入したのである。
荷馬車がガラガラやって来たので、争う一団がこちらに注目する。
そして俺は目の前に、ふわふわベッドとおしゃれな衣装ケースを置いた。
間に、人ひとりがやっと通れるくらいの隙間を開ける。
「順番に来い」
虫網を構えるのである。
『もがーっ!!』
『ぶひーっ!!』
激高するブラッディアンとオーク。
俺に向かって押し寄せようとして、ふわふわベッドと衣装ケースにぼいーんっと阻まれた。
これで回り道してこない辺り、頭に血が登っているのだろう。
これらのオブジェクトは破壊不能である。
武器をガンガン叩きつけているが、ぼいんっぼいんっと跳ね返されるばかりでびくともしない。
こうして奴らは、ベッドとケースの隙間をうんしょ、うんしょ、とくぐってきた。
くぐってきたところを……、
「そいっ!」
ピョインッ!と音がして、通過してきたオークが消えた。
虫取り網でゲットされたのだ。
アイテムボックスにオークのアイコンがちょこん、と出現する。
『もがーっ!!』
今度はブラッディアンをピョインッとゲット。
次はオーク、次はブラッディアン。
ブラッディアン、オーク、オーク、ブラッディアン……。
最後にオークが三匹くらい残って、ハッとした顔をした。
『ブ、ブ、ブヒー!』
『ああ、彼奴ら、タマル様がとんでもないことをしていた事にようやく気づいたようですな』
「順番待ちしてて頭が冷えたのね」
「おい待てお前ら! あと三匹いるんだろ! なあ! 来いよ! この隙間を通ってこっちに来いよなあ!」
『タマル様怖いなー』
「狂気を感じるわ」
『カタカタ』
ひどい言われようである。
『ブヒィィィィ』
『ば、化け物ー!』
『荷馬車に乗った魔人候ー!!』
オークたちは逃げ去ってしまった。
うう……。
せっかくアイテムボックスのスペースを20個全部空けたのに……。
仕方なく魔人商店で売ってきた。
「オークが一匹60ptで、ブラッディアンは一匹150ptですので、1470ptになりまぁす!」
「うひょお!!」
1000ptを越えた!!
テンションが上ってまいりました。
「ブラッディアンを取り尽くすしかねえ……。俺のスローライフのために、流血男爵領は犠牲になってもらう……!!」
UGWポイント
2070pt
「ところで2000ptを使うとゴッドモジュールに新しい設備が追加されますが」
「なんだって」
双子の魔人娘は、俺を上目遣いで見つめた。
「タマルさんが手に入れた珍しい装備や、珍しい怪物を展示しておける博物館でえす。解放なさいますか~?」
「ますか~?」
「します」
文化的娯楽は、スローライフには欠かせないもんな!
UGWポイント
70pt
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます