第2話 まずは拠点を作ろう!

 スローライフするには拠点が無くてはならない。

 戦場跡はあの後、のんびりしてたらまたスケルトンが湧いてきた。

 あそこはいかん。無限にスケルトンが湧くみたいだ。


 だが、そこでちょいちょいレシピを得たぞ。


※骨の虫かご

 素材:骨×3


※骨のベル

 素材:骨×2


※骨の釣り竿

 素材:骨×4


 素材が骨であるということを除けば、日常生活やスローライフで使えそうなものである。

 フルプレートの腹の上で一通り作った。


 どうやら、フルプレートの上が安全地帯になっているっぽいのは、ここが俺の作業スペースだかららしい。

 そしてフルプレートは残念ながら持ち運ぶことはできなかった。


 名残惜しいがさらばだ、フルプレートの死体。


 所持品については、アイテムボックスのような機能があるようだ。

 骨の斧は手に持って、骨の盃と骨の虫かご、骨のベル、そして骨の釣り竿を収納。

 残り6個道具を持てるな。


 さて、骨のベルの使い方だが……。


「出てこい、出てこい」


 チリンチリン、と鳴らすと、スケルトンの幻が出現した。


「こいつら、ちょっと半実体みたいな感じなんだよな。家事を手伝わせるのに丁度いいかも知れない。やはりこの世界ではスローライフができるようだな」


 とりあえず幻のスケルトンに、骨の素材を持たせておくのだ。

 骨を従えながら、ずんずん戦場跡を行く。


 すると、街道が見えてきた。

 あちこちが破壊されているが、石畳の道が続いている。


「こりゃいい、人里に行けるぞスケルトン!」


『カタカタ』


「……お前にも名前をつけてやった方がいいかも知れないな。よし、骨次郎だ」


『カタカタ』


 道連れができてしまった。

 スケルトンだが、俺がベルで呼び出したやつなので味方であるという安心感がある。


「お前、この世界に詳しかったりする?」


『カタカタ』


「知らないか。知っててもしゃべれないよなー」


『カタカタ』


 カタカタ音を鳴らすことしかできないが、俺の言葉に反応するので喋りがいがあるというものだ。

 一方的にこいつに話しかけながら、街道を歩いた。

 

「おっ、荷馬車があるぞ」


『カタカタ』


「骨次郎、ちょっと様子見てこい」


『カタカタ』


 骨次郎、大変物分りがいい。

 先にトコトコ歩いていって、様子を見てくれた。


 振り返って手を振ってくる。


「安全みたいだな」


 後ろからついていったら、なんか何者かに食い散らかされたっぽい人間の家族の死体がある。

 あー、こりゃ腐り始めてますな。


「骨次郎、ちょっと死体を外にポイして」


『カタカタ』


 とりあえず死体は地面に斧で穴を掘り、埋めた。

 かなり嵩が減ってたので浅い穴でもいけた。


「ナムアミダブツ」


 お経を唱えておく。


『ウグワーッ! 死者を弔いました。50ptゲットです』


 そのポイントはなんなの?

 骨の道具を5個作ったときも、ウグワーッと聞こえた。

 どれどれ、ステータスを確認だ。


▶UGWポイント

 150pt


 なんなんだろうな、これは……。

 何かに後で交換できるのかな?

 ということは、何かしら色々やっておいた方がいいのではないだろうか。


 ちなみに、荷馬車を引く馬はやはり食われて死んでいた。

 骨になってしまっている。


「これが本当の馬の骨ってな。お前も弔ってやるか」


 骨を拾い上げたらだ。


『馬の骨を手に入れた!』

『新しいレシピが生まれた!』


 なんだと!?


▶DIYレシピ

 ※骨の鐘

 素材:骨のベル+馬の骨


 よし、レシピゲットだ。

 問題は、作れる場所が無いことだな……。


 不便だなあ、と思いながら戦場跡まで戻り、死体の腹を使って作業をした。

 よし、完成。

 骨の鐘を鳴らすと、カラーンと音がした。


 すると……。

 半透明の骨の馬が現れる。


「おおーっ!!」


 骨の馬はカタカタ言いながら、俺に鼻先を寄せてきた。


「馬ができてしまった。ということは、あの荷馬車を運用できるようになるな。よし、お前の名はホネノサンダーとする」


『カタカタ』


「どうした骨次郎? なに? この鎧が剥げそう? いいぞいいぞ。剥ごう剥ごう」


 骨次郎とホネノサンダーに押さえてもらい、斧を使って鎧の結合部を壊しながら引っ剥がす。

 うほー、腐敗臭!

 だが、フルプレートの腹の部分をゲットなのだ。


 これはどうやら、簡易作業台として使えるらしい。

 ホネノサンダーに積み込み、荷馬車まで戻ってきた。


 荷馬車は幌付き。

 こいつを骨次郎と一緒に起こし、ホネノサンダーにロープで繋ぐ。


「よし、この荷馬車を拠点とする!」


『カタカタ!』


『カタカタ』


 俺たち三人で快哉を上げる。

 まずはスローライフ、第一歩だ。


『ウグワーッ! 拠点を手に入れました。100ptゲットです』


 おっ、ポイント多いぞ!

 これでUGWポイントが250ptだ。


 しかし、死体とは言え人間がいたのは朗報だ。

 近くに人里があるぞ。

 俺は馬車を走らせることにした。


 とは言っても、御者の経験などない。

 ホネノサンダーに誠心誠意お願いするだけだ。


「いっちょ頼んます」


『カタカタ』


『カタカタカタ』


「なんだ、俺が馬に頭下げてるのがおかしいか? 仲間だぞ。人も馬も関係なく対等なのだ……!」


『カタ』


「分かってくれたか骨次郎」


 こうして、俺たちは街道を進んでいった。

 仲間もでき、拠点もできた。

 こうなってくると、腹が減るな。


 そうだ!

 確か、この荷馬車を襲った肉を食う何者かがいるはずである。

 そいつをどうにかして食えないものだろうか。


 考え込みながら進む俺の目に、遠くから上がる煙が映った。

 もうもうと、薄暗い空をさらに暗くするように立ち上っている。


「あれは……村が焼かれてるとかそういうのじゃないか?」


『カタ』


『カタカタ』


「ということは、食べ物があるのでは!? 行くぞ!」


▶レシピ

 骨の虫網

 骨のベル

 骨の釣り竿

 骨の鐘


 UGWポイント

 250pt

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る