第36話梅シロップと梅ジャム
よしさんにも梅ジュースを飲んでもらうと、とても喜んでくれた。
与一君とよしさんの反応を見る限りりゅうさんにあげても問題なさそうだ。
壺に入っている梅の実は取り除いて梅ジャムにしようかな。
鍋に梅の実と梅シロップ少々、蜂蜜、水を入れて混ぜながら煮ていき、実が柔らかくなったら実をほぐし、種を取り除く。
その後は煮詰めれば完成。
冷めたものを味見してみたが甘酸っぱくて美味しかった。
お料理の隠し味に使ったりも出来るし我ながらいいものを作ったと思う。
梅ジュースに入れて果肉入りなんてのも悪くない。
「あら、いい匂い…。今度は何を作ったんだい?」
「あっ、よしさん。今、梅ジャム作ってたんですが食べてみませんか?」
「いいのかい。」
小皿に梅ジャムを載せてよしさんに渡す。
よしさんは箸で梅ジャムをすくい口に運ぶ。
「甘酸っぱくて美味しい!あのじゅーすとか言うのと同じ味がするねぇ。」
「梅ジュースに使ってる梅の実を使ってますからね。お料理にも使えるかなと思って作ってみました。」
「いいわね。そのまま食べても美味しいもの。」
たしかに、そのまま食べても美味しい。
私もだけどよしさんも甘いの好きだからね。
気に入ると思った。
今日はちょうどりゅうさんも来るのでその時に梅シロップと梅ジャムを渡そうと思っている。
夕方頃にりゅさんが一人でやって来た。
時次さんといつも一緒に来るんだけど…仕事かな。
いつも注文してもらっている三色おにぎりを渡す。
そして梅ジャムも後から渡した。
「こちら、ご注文分のおにぎりです。それから…これを。買い物をした時にご迷惑おかけして申し訳ございませんでした。」
梅シロップと梅ジャムをりゅうさんに渡し、頭を下げる。
りゅさんはキョトンとしている。
あれ…覚えてない?
「あぁ、あれは私の方が非があっただろう。急に怒って悪かったね。君に怒ったわけじゃ無いから気にしなくていいよ。これは…?」
私に怒ってた訳じゃないんだ。
それは良かったけど、あの時一体何に怒ってたんだろう。
「菜、これは何?」
「梅シロップと梅ジャムです。梅シロップと梅ジャムは梅と蜂蜜、同じ材料で作っているので味は大体一緒です。えーっと、ここで少し味見していきますか?」
味は一緒なんだけど、別物だから一応ね。
説明が難しくなってしまったので味見してもらうことにした。
そっちの方が早い。
「頂こうかな。」
梅シロップで梅ジュースを作り、小皿に載せた梅ジャムを持って行く。
作っている時、時次さんの声が聞こえたので急遽二人分用意した。
梅ジュースと梅ジャムを運ぶとりゅさんの隣には時次さんがいて何か話しているようだった。
私が近づくと話を止め二人ともこちらを振り向く。
「時次さん、お疲れ様です。時次さんも良かったら梅ジュースと梅ジャムどうぞ。」
「菜さんもせいがでますね。。じゅ、じゅーすとじゃむですか…?」
ジュースとジャムの説明しなきゃ。
「ジュースは甘い飲み物で、ジャムは甘く煮詰めたものです。」
「なるほど、そういう事ですか。では頂きます。」
りゅうさんは私と時次さんが話している間に飲んでいた。
なので、一番最初にジュースとジャムに反応したのはりゅさんだった。
「…美味しい。このじゅーす、本当に蜂蜜と梅だけ?」
「ジュースにはお水が入ってます。梅のシロップは先程も説明した通り梅と蜂蜜だけしか入ってないのでこのままでは濃すぎます。なのでお水を入れて好きな濃さに調節しながらジュースとして楽しんでください。」
「さすが、菜さんですね。甘いのに梅が入っているおかげでさっぱりと飲めますね。このじゃむとやらも同じ味ではりますがまた違う。」
時次さんこそ最高の食レポありがとうございます。
心の中で深々とお辞儀をした。
「ジャムの方はお好みでジュースの方に入れてもいいですよ。お料理にも使えますし、そのまま食べても美味しいので好きなように食べて下さい。」
ジュースの中にジャムを入れると、梅の実が入っている事ありジュースで飲むよりも梅感が増し美味しい。
あっ、さっそくりゅうさんもやっている。
「こっちの方が好きかな。梅の味が強くなった気がする。」
やっぱりりゅうさんは梅感がある方が好きみたい。
「じゃむを入れたものも美味しいですが、私はさっきの方が好きですね。飲みやすいのがいい。」
時次さんは何も入れないジュースが好きらしい。
人の好みは色々あるから自分の好きな方を選んで美味しく飲んでもらいたい。
時次さんの後ろでりゅうさんが考え込んでいるのが見えた。
「りゅうさん、どうかしましたか?」
「あぁ、この二つお酒に合うかなって考えてたんだ。菜はどう思う?」
すごく真剣に考えていると思ったら…。
梅だけじゃなくてお酒も好きなんだという事が十分伝わってきた。
どうって言われても分からないよ。
「どうでしょうか…想像が付きませんね。今回の梅は甘いですから。」
そう、いつもりゅうさんが食べている梅はしょっぱくて酸っぱいのだが、今回は甘酸っぱい。
持って帰って自分で試してもらわないと合うか合わないか分からない。
味見が終わり時次さんとりゅうさんが立ち上がる。
そろそろ帰るみたいだ。
「これ、本当に貰っていいの?」
「りゅうさんの為に作ったものですから貰ってくれると嬉しいです。」
「わかった。ありがとう、菜。」
りゅうさんは私に礼を言うと時次さんと一緒に帰って行った。
日が空いてしまったが、無事に梅シロップと梅ジャム渡せて良かった。
与一君にも感謝しなくちゃね。
そうだ、与一君に何か作ってあげようかな。
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