5部 同じクラスになりたいなぁ
第58話 到着!?
さて、『オーランド帝国』に到着したのは良い事だ。例え道中で色々あったとしても最終試験はクリアした!
そう、例え──100歩譲ってシャーリーさん、母さん、姉さん、アールスレイ王国騎士団長アレクさんの魔力が込められたサインがしてある特殊な通行許可証で道中の街の中に入れた事もこの際はスルーしよう。
門番さんが顔面蒼白で触らぬ神に祟り無し状態で通してくれた事もだ!
僕達はたどり着いたのだ!
さて、街中に入ったのは良いけど肝心の待ち人がいない。
誰かがいると言っていたんだけどな……見渡す限り知ってる人はいない。
しかし、人が多い……。建物も僕が住んでた街とは比べ物にならないぐらい大きいし派手だな。
さすが帝国と呼ばれるだけある。お城も初めて見たけど大きすぎる。フィアは見慣れているのか普通だけど、レラは隣で目をキラキラさせてはしゃいでいる。
きっとお城では豪華な生活をしているんだろうなぁ。僕も稼いだら少しぐらい贅沢したい!
そんな事を思っていると──
「ロイド君」
後ろの方から声が聞こえて来たので振り向く。
「えっと、アレクさん?? 何故ここに??」
何故かアールスレイ王国の騎士団長さんがいた。
「私が急遽ロイド君達の案内を任されております。いやー試験前日ですが間に合って本当に良かった良かった」
「……前日?」
アレクさんは確かに知り合いだけど……まさか待ち人が身内じゃないとは……。いや、急遽と言っているから本来は違う人だったのだろう。
しかも試験明日なの!?
危なかった……。
「どうやら諸事情で本来ここに来られる方の到着が遅れているようですな。間に合わないと急遽、護衛でここにいる私の方へ案内するように連絡が入りましてな。中々到着しないので心配しておりました」
「護衛?」
「ええ、第3王女であられるユフィー様も学園に入学されますので」
……王女様とな……早々に関わり合いになりたくないフラグが来たんですけど!?
「あ、そうなんですね! 僕達は大丈夫なのでアレクさんも大変でしょうし、本職を全うして下さいね! では──」
うんうん、こういうのはスルーするに限るな!
さっさと入学試験の手続きや宿屋を確保する為に向かおうッ! なんせ試験が明日だからね!
「……離してくれませんかね?」
僕の肩に手を乗せて握力を込めるアレクさん。
普通に肩が痛い。
「いいえ、ここで離せば私はライラ様より強いお叱りを受けます……離せません」
アレクさんの表情は固い。
母さんがそんなに怖いのか……。
「……わかりました……とりあえずどうします?」
「まずは早急に試験の申し込みをして──王女様がお待ちになられている宿まで向かいます。そこで宿を取って頂きます。なぁに代金は我が王国が支払います故ご安心を」
試験の申し込みは大事だし、確かに宿は取らないとダメだ……だけど、王女様が泊まるような宿屋でなければならないわけじゃない。
「……その辺の宿屋で良いですよ?」
「なりませんッ! この生い先短い老骨を助けると思って来て下され! ライラ様から精一杯のおもてなしをするように言われておるのです。何卒──」
いきなり頭を地面に擦り付けるアレクさん。
騎士団長なのにそんな簡単に土下座してもいいの!?
周りの人が注目しだしている。
大の大人──というか豪華な鎧を来た人が子供に土下座している光景は目立つ。
「わ、わかりましたから! 立って下さい!」
僕は慌ててそう言う。
「──助かります! これでこの老骨ももう少し生き永らえる事が出来ましょう! さぁ、まずは入学試験の申し込みに向かいましょうぞ!」
そこまでの案件なの!?
まぁ、母さん怒らせたらヤバいのは知っている。以前の
うん、やっぱり良くない未来しか想像できないね!
◇◇◇
「「「おぉ〜」」」
僕達は学園まで到着し、感嘆の声を上げる。
とても大きいッ!
「ほっほっほ、ロイド君でも子供らしい所があるのですな」
そんなに僕は子供らしくないのか?!
「いやいや、子供ですからね? なんか建物が新しくないですか?」
「ほっほっほ、ご冗談を。どんな教育を受ければそうなるのやら……建物が新しいのは今年から4学年制になるからですな。大半が寮での生活になるので急ピッチで仕上げられたそうですぞ?」
僕はぴちぴちの10歳だぞ!? 中身は少し大人だけどね!
「へぇ〜、さすが各国がお金を出してるだけあるんですね。人材確保って大事ですもんね」
「……」
とても失礼な目を僕に向けてきた。
「なんですか?」
「そういう所が子供らしくありませんな」
「……さぁ、早く受付済ませましょう!」
僕は何も聞かなかった事にした。
しばらく中に進むと──
『受付』と書かれた場所に長蛇の列が出来ていた。
僕より少し年上の男女が整列させながら案内している。おそらく在校生である1年生と2年生が受付などを行なっているのだろう。
整列している人達に王侯貴族はいない気がする。見た感じ庶民ばかりだ。
「ここには貴族とかはいないんですね」
「えぇ、貴族様は別の受付になりますな。それにほとんどが既に受付は済ませているはずです。なんせ試験は明日ですからな」
「へぇ〜特別待遇なんですね……」
試験が明日で良かったのかもしれないな。貴族と会ってトラブルになるのはごめんだし。
「まぁ、トラブルを避ける為の処置でしょう。頭の悪い子もいますからな。たまに自分は偉いと勘違いして無礼罪で殺そうとかする子供もいますからな」
学園生活に不安しかないんですけど!?
「大人しくするようにしますね」
「はっはっは、無理ですな!」
言い切られた!?
「僕は入学試験しか本気は出しません」
「ロイド君の本気は気になりますな。まぁ、でもけっこうトップは難しいかもしれませんぞ? あそこにいる女の子は拳聖の娘さんですな、他にも現剣聖の娘さんや大賢者の再来と呼ばれてる女の子もいると聞いてますからな。それに貴族様は『血統スキル』待ちがたくさんおられますし、そのスキルはどれも強力ですぞ? ささ、並びましょう」
僕達は列に並ぶ。
血統スキル? そういえばシャーリーさんの講義で説明があったな……。
確か──
血縁に継承する事が出来る特殊なスキルでそれは血を媒体にしていると聞いた。これは昔に王侯貴族が自分達の優位性を保つ為に特殊な方法を使って血とスキルを繋いだそうだ。
今では禁忌とされているらしいけどね。
その為、昔から存在する王侯貴族は産まれた時から勝ち組が決定されている。
それは何故か?
──この世はスキルが全てという認識の人が多いからだ。
それに恵まれてるというのはそれだけで力になる。スキルだって買おうと思えば買える世の中だからね。
そういう人達を相手に僕は試験を受けた上でトップに立たなければならない。
気合いは十分。
と言っても今日は受付だけなんだけどね!
「
物思いに耽っていると皇帝という言葉が聞こえて反応する。
あー、ダメだな。呼ばれたく無いが為に過剰に反応してしまう。
きっと、この国の
僕は周りを見渡す──
「──ロロ?」
「はいッ! 貴方の従僕であるロロですよ!
旅の道中で会ったロロが僕に大きな声で
そういえば、ロロも学園に行くとか言っていたな……口止めするの忘れてたぁぁぁぁっ!!!
周りの視線が超痛いッ!
目立ってるよ! めっちゃ目立ってるよ!
とりあえず──
ロロを黙らせるか……今もずっと『
「ロロ──」
「
「少し黙ろうか? ──果てろ」
「え、あ、ふ、ふぉぉぉんッ──」
僕はロロに触れ──
大先生と『絶頂』スキルのコンボで沈黙させる。
ロロは男だが、容姿は女の子みたいだから変な気分だ。なんというか男なのにエロさがある!
実はこいつ女の子じゃないのか?
そう旅の道中でも思ったが胸は全くないッ!
発言も男っぽいからな……。
とりあえず場は収まったか──と思っていると。
次々と声が上がる──
「おい、あいつって先生を吹っ飛ばしてた奴だろ? それを一瞬で気絶させやがったぞ?!」
うぉいッ! ロロ、お前先生吹っ飛ばすとか何やってんのさ!
「なるほど、
いやいや、僕は別に呼ばれたくないよ!?
「竜人相手に瞬殺か、面白い。母さんの言っていた奴か──学園生活が楽しみだ」
母さんが言ってた!? なにそれ!? 僕ってばそんなに有名なの!?
後、僕を獲物を見るような目で見ないでくれませんかねぇ!?
「ふーん、父さん達が言ってた通り──不思議な力を使うようね」
父さん達ってだれさ!? 本当に僕って有名なの!?
「ふむ、ロイド君の二つ名は『
アレクさんも二つ名認定しないでくれませんかね!?
周りも『双聖壁』の息子って聞いてざわついてるよ!?
後、最後の納得した顔が腹立つから止めてッ!
『絶頂』スキルにこんな使い方があるとかも呟かないでくれませんかねぇ!?
まだ受付だけで試験が始まってすらないのに凄く目立ってるよッ!?
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