第52話 力強ッ!?

「ほら、家に着いたわよ? 起きなさい」


 気がつくと家の床に寝転がされていた。母さんが僕を起こしてくれる。


 そういえば、エレノアさんの時と違って緊急度もなかったから流れに身を任せて──おっぱいに埋もれていたら窒息したんだった……。


 本当ありがとうございます! 気持ち良くて最高でしたッ!


 まさに夢心地ッ!



「あっ、起きたわね? ロイってばよく気を失ってるわよね」


「よっと、そうだね」


 僕は起き上がりレラにそう返す。おっぱいで気を失ったは初めてだ! とは言わない。


「それで、領主様の所ではどうでしたか? お母様の表情からとてもがあったように思うのですが?」


 母さん達を見ながらフィアも笑顔で聞いてくる。


 確かに母さん達はざまぁの成功で確かに満面の笑みを浮かべている。僕の為に怒ってくれた事には感謝しているし、僕も多少はすっきりした!



 うん、良い事かどうかと聞かれると──


 見方によりけりだね!


 まぁ、向こうは自業自得だけど!


「まぁ、そうだね……僕は大変だったけどね……」


「気になる言い方ね! 教えてよ!」


「そうですね、気になります。何があったんですか?」


「えっとね〜────」


 僕は領主邸での出来事を話して行く──



 2人は黙って聞いてくれなかった。


「はぁ!? 領主ぶっ飛ばしに行くわよッ!」


「許しませんッ!」


 ──と頻繁に言われ、2人の殺気がびんびん感じる結果になった。


 まぁ、確かにあれだけ必死に街を守ったのに元凶と言われてはこれも仕方ないだろう。2人や母さん達の気持ちはわかる。


 でも、今はそれほど怒ってないんだよね……ムカっとしたけど、あまりにも母さん達の『威圧』や脅しで可哀想という気持ちが先行してしまうから……。


 領主さんや騎士団長さんは気が気じゃなかっただろう。


 猛獣の檻の中に突っ込まれた気分だったに違いない!


「まぁまぁ、でもちゃんと黙らせて誤解も解けたし──母さん達のお陰で僕達は後ろ盾も得れたから良いんじゃないかな?」


 親のネームバリューがあるもは言え、僕とレラは平民だし、フィアも聖女候補じゃなくなったはずだから後ろ盾があるのはありがたい事だ!


「「むぅ……」」


「そういえば──母さん、最後になんて言ったの?」


 母さんが領主さんに言った言葉が気になるので聞いてみる。


「え? あぁ、最後に復讐でもしたら一族郎党皆殺しにするって言った後に、領主のままでいたいなら指示に従いなさいって言っただけよ?」


「え?」


 僕は聞き間違いかと思って声を出す。


 ちょ、ちょっと! 何サラッととんでもない事言ってんのさ!?


 最後の笑みは領主として残れる事に対してだったの!?


 これが異世界版の飴と鞭の使い方か!?


 というか母さんにそんな権力あるのか!?


「力こそ正義」


 眼鏡をクイっと人差し指で上げながら姉さんから声が聞こえてきた。


「王族とか貴族を黙らせるには圧倒的な武力が必要よ。使える物は何でも使いなさい」


 母さんも続いて言う。


 うん、やっぱり──どんな力でもあった方がいいんだね……。


 領主さんが今の地位に残るには国に報告する騎士団長辺りに脅しているに違いない。



「とりあえず、後は僕達が試験を頑張れば問題ないらしいよ? 学費も問題ないしね!」


「しかし……制度が変わるのですね……試験にも影響が出そうですね……」


「でも、学費の心配がなくなっただけありがたいわ! ロイ達のお陰で安心して試験が受けられる!」


「確かに母さん達も試験内容がわからないって言ってたけど──やってきた事は無駄にはならないはずだよ! 学費の問題がなくなったなら安心だよね!」


「そうですね……でも、免除の件はどこの学園でもありますから頑張らないと──ですね」


「「…………」」


 最後のフィアの言葉に僕とレラは押し黙る。


 わ・す・れ・て・たぁぁぁぁっ!


 学科免除しないとダンジョン潜ったり、訓練する時間がなくなるんだった!


 学費が問題ないなら母さんにトップで合格するように言われてたけど、適度に手を抜いて受けるつもりだったのに!


 僕、目立ちたくないし!


「この際、4年もあるなら──レラちゃんやフィアちゃんは出来る範囲でいいわ。でも──ロイ、貴方だけはトップで通過しなさい。じゃないと後悔するわよ?」


 母さんから念押しされる。


「……はい」


 やっぱり、僕はまだまだ頑張らないとダメらしい。


 正直なんとかなると思ってるけどね!


『アイギス』さんがいたら余裕でしょ!


 なるようになれって感じさ! フィアやレラと一緒に通えるなら問題なし!


 訓練だって休みの日に3人で頑張ればいいじゃないか!


 うんうん、そうしよう!




「子供は大変だな。さて──俺達はもうすぐ帰らなければならないな」


「そうですね……寂しいですが、私達は1週間後には戻ります」


 師匠とユラさんの言葉にシャーリーさん、姉さん、リリアさんは寂しそうな表情を浮かべる。


「1週間後ですか……早いですね」


「そうだな。仕事も溜まってるだろうしな……まぁ、お前らも試験頑張れよ。それと──ロイッ、これを受け取れ」


「これは?」


 何やら手紙を渡される。


「これは──ガスタール流盾術道場本部の紹介状だ。これ以上は期間的に教えられん。それに俺には細かい事を教える事はできん。だから暇ができたらこれを持って行ってこい」


 おぉ!? それはありがい! アイギスさんの性能ばっかりに頼ってたらいつか痛い目に合うかもしれないし、本格的に学べる機会が得られるのは嬉しい!


「──はいッ! ありがとうございますッ!」


「お前は前向きだな。普通はあそこまで出来たら慢心するもんだがな……それに今の力なら冒険者で言えば余裕で中堅以上だぞ?」


「いや、だって腕輪の力使わないと大した事ないじゃないですか!」


「まぁな、精進しろ。あ、そうそう言い忘れてたが──俺の使っていた【盾反射シールドリフレクション】は魔力を使う。これはどの流派でも師範クラスになれば魔力を応用して技を使ってくる。魔力の使い方を覚えたお前ならいつか出来るだろう。精進しろ!」


「わかりましたッ!」


 僕は勢い良く返事をするが──


 ……流派の違いってスキルの組み合わせって前に言ってなかった? と、ふと思い出す。


 もしかして、秘伝みたいなものだから今まで教えてくれなかったのかもしれないな!


 いや……師匠の事だ……忘れてたな?


 誤魔化す仕草をする師匠を見るに言い忘れてたいたに違いない。


 周りを見ると母さんはレラと、シャーリーさんはフィアに話をしていた。


 師弟関係だもんな。僕みたいに何かアドバイスをしているのかもしれないな!



 一通り話が終わったようだ。


 シャーリーさんが僕の方に向く。


「さて、ロイド君……今日は約束通り──私がしてあげましょう」


 シャーリーさんの言葉に全員が僕に注目する。


 師匠は「お前、墓穴掘って何してんの?」とか言ってるし!


 ユラさんも野獣を見るみたいな目をやめてくれ! 断じてそんな約束してないんだ!


 リリアさんも何か「パンは分け合いなさいと神様は言ってました」とか小言を言ってるぞ!? 


 レラとフィアからは尋常じゃない殺気が出てるんですけど!?


 母さんと姉さんは事情を知っているから普通だけど、ヒートアップしてる人達を止めてくれないかな!?


「フィアとレラちゃんは今後、チャンスはあるでしょう。だからここは私に譲ってもらいます。リリアは手を出す可能性があるので却下です」


 レラとフィアもシャーリーさんの『』という言葉に強く頷いている。リリアさんは悔しそうだ。


 魔法を教えてもらう約束だったはずなのに添い寝でどんどん話が進んでいくぅぅぅぅ!




 ◆




 ふふふふふふふっ。ついに添い寝をもぎ取りました。


 私は気付いたのです。ロイド君とだけで気持ちが良いとッ!


 簡単なボディタッチだけでなく──


 にしたらどれだけの快感が得られるのか、想像しただけで身震いします。


 フィアとレラちゃんはこれからいくらでもチャンスはあります。しかし、私はもう少ししかここにいれません。譲れません。


 ロイド君は聡いですから、どうやって断ってくるか悩みましたが──


 この子は女性からの頼み事は断りきれない紳士です。


 多少強引な方が良いでしょう。フィア達にも教えておかないといけませんね。


 残りの短期間でフィアにも色々と教えられる事は教えてしまわないといけません。


 それは明日からで良いでしょう。


 今は──


「さぁ、ロイド君──ベットへ参りましょう」


「……魔法の約束は……」


「私とユラが明日、必ず教えましょう」


 もちろん、約束を反故にしたりしませんよ?


「でも、声が……周りに……」


 今日はやけに渋りますね。


「いつも防音の結界を張っていますので安心して下さい」


「え?」


 そういえば教えていませんでしたね。音は私が遮断して、リリアが認識阻害系のスキルを使っていますし、私達のプライベートはちゃんと守られていますよ?


「これで問題はないでしょう? さぁ参りますよ」


「ええ?! ──力強ッ!?」


 私は問答無用でロイド君の腕を引っ張りながら歩きます。


 鉄球振り回してますからね。それにロイド君に強化系のスキルが無いのは確認済みですから抵抗は無駄ですよ?




 ────


 ────────


 ────────────




「ま、待って下さい! まだ心の準備が──」


 待ちませんよ〜♪


「……ん……あっ……やっぱり……良い……」


 私はロイド君にハグしながらベットに倒れ込みます。


 あぁ、凄く──良い……。


 やっぱり私の予想は大当たりでしたね。


「むぐぅ」


 逃がしませんよッ!


 私腕に力を込めて、抜け出そうとするロイド君をがっちりとホールドします。


「んんん、ンッ──ん、ううん……ンゥウンぅぅッん」


 もう少し……もう少しで──


 ──


「…………」


「ロ、ロイ……ド君……?」


 腕の中のロイド君を見ると青白くなっていました。


 またやってしまった……。



 直ぐに『回復魔法』を使います。


 顔色は直ぐに良くなりましたが──


 不完全燃焼です……。


 でも、このイキそうでイケない状態が朝まで続くのもありかもしれません。




 ◆




「はぁ、はぁぁん……もっと……もう少し……ンンッ──ん……」


「ん? 朝?」


 僕はで目が覚める


 動けない?


 そういえば、シャーリーさんにヘッドロックをおっぱいでされて──そのまま気を失ったんだったな……。


 今もヘッドロック──いや、パイロックをされているから動けない!


 というか本当──力が強いッ!


 抜け出せないよ!?




 目覚まし時計が喘ぎ声って……。


 さすがにこんな朝は予想外だよ!


 そんな事を思いながら、シャーリーさんが目覚めるまで悶々としながら待つ事にした──


 当然、僕は紳士だから揉んだり、破廉恥な事はしていないッ!


 あ、でも顔に当たってる服一枚先の生おっぱい──最高でしたッ!


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