第5話 大人しい友達が出来た!?
「ふぁ〜よく寝た……」
もう夜だな。
僕は確か──
うん、母さんに意識をもぎ取られたな!
あんなもん避けれるか!
【痛覚】を1にしとけば良かったな。そしたら、まだまだ訓練出来たのに……。
しかし、盾の扱いが上手いのはよくわかったな……これってスキルが習得出来たんじゃないだろうか?
あー、確かめる手段がほしい!
『鑑定』スキルが切にほしいっ!
どうやって習得するだろうか?
──ん?
何か近くに気配がする?
暗い部屋の中を視線を漂わせると──
女の子がいた。
「……誰?」
「私は……ス……フィア……」
フィア? というか誰だ!?
家にいるという事はお客さんなのかな??
100歩譲ってお客さんだとしよう! しかし、勝手に寝室に入ってくるとはいかがなものか!
これがこの世界の常識なのだろうか?
そういや……レラも普通に入ってきていたな……もう気にするのはやめよう……。
「フィアだね! 僕はロイドって言うんだ! ここで何してるの?」
「わ、私は……ロイ君が目覚めるのを……待ってた……」
とても声が小さい。暗くてよくわからないけど、輪郭から僕と同じぐらいの歳なのかもしれない。それに少ししか話してないけど、レラとは正反対のような子だな。
その時、丁度月明かりが窓から入り顔が見えた。
瞳と髪の毛は藍色で腰まで長さがある。将来レラと同じく美人になるのは間違いない容姿だ。胸も同年代とは思えないぐらいある。
更に月明かりが照らして、神秘的に見えた。
「綺麗だね……」
そう思わず声を出してしまった。
「──え?」
「うん、月が綺麗だね」
なんとか誤魔化した。
ヘタレと言われても構わない。僕は母さんとレラ以外の女性と話した事はあまりない。恥ずかしくてストレートに言う事は無理だ!
なんせ童貞ですから! なにより子供ですからね!
「……そう……ですね。起きたら……あちらへ……来るように言われて……います……」
あちらとはリビングのようだ。おそらく起きたら連れてくるように言われているのかもしれないな。
「じゃあ、行こうか?」
「きゃっ」
僕は立ち上がるとフィアは驚きバランスを崩したので、すかさず僕は倒れないように抱き止め──
「大丈夫?」
そう言葉をかける。
「……は……い。ありがとう……ございます……」
震えている?
しまったなぁ……この子、もしかしたら男の人が苦手なのかもしれない……。
今も僕に視線は合わせてくれない。
「大丈夫なら良かったよ。さぁ行こう」
「はい……」
フィアから手を離してリビングに向かう。
到着すると──
母さんとフィアと雰囲気が似た女性がいた。きっと母親なのだろう……ただこれだけは言える──
すんごい美人なんですけど!?
そして、すんごい豊満なおっぱいっ!
初対面だから失礼だし、ガン見はしないけど本当に凄い……顔ぐらい大きいぞ?
フィアも将来こんな感じになるのか!? 同年代だと思えない膨らみ方してるし……。
「やっと目が覚めたわね?」
母さんがやれやれと言わんばかりに声をかけてくる。
「母さん……久しぶりだったんだから手加減してよ……」
僕は苦笑いしながらそう言う。
「ロイと撃ち合えるのが楽しくて♪ この人はシャーリー。昔からの付き合いがある人よ」
母さんはお酒を飲んでいるようで気分が良さそうだ。
ただこれだけは言える。
撃ち合ってはいない! 木盾でひたすら防いでいただけだからね!
「はぁ……とりあえず、遅くなりましたが──初めましてロイドと言います」
「初めましてロイド君。私はシャーリーと言います。聖女をしてます」
シャーリーさんか……見た目が凄いお淑やかな人だ。
聖女してるならそれも当然か……ん?
んん?
「聖女?」
「はい、ライラとは聖女になる前からの付き合いで、聖女になった後は『聖天』で守って頂いていました」
「……畏まった方がいいですか?」
無礼かもしれないけど、こういうのは言葉に出して聞いた方が良い。こっちが勝手にやって責任を押し付けられるのは嫌だしね。子供だから許されるはず!
「ふふっ、普通で構いません。今回は古い友人として来ていますから」
僕を笑いながら見てはいるものの、目は笑ってない。
なんだろ? 見極めようとしてるのかな?
「わかりました。フィアのお母さんという認識でいきますね?」
「それで結構です。ロイド君は賢いですね。フィアとも仲良くしてあげて下さいね?」
「普通じゃないですか? はい、フィアはシャーリーさんに似てとても可愛いですね」
「あらあら、カイルみたいになりそうね」
シャーリーさんは顔を紅くするフィアを見ながらそんな事を言ってくる。
父さんの名前が出てくる辺り、父さんもこんな感じだったのかもしれないな。
でも、これって社交辞令だと思うんだけど……。
まさか脈あり!?
モテ期か!? まさか前世では訪れなかったモテ期なのか!?
そこから僕達は久しぶりに複数人で晩御飯を食べながら談笑した──
◇◇◇
────
────────
────────────
「ひゃん……あ、あぁん……き、気持ち……良い……わぁぁあん……」
父さんや母さんの昔話を聞けてとても楽しい食事だった。──途中までは……。
途中──
母さんが「ロイってば肩揉みが凄い上手なのよ? シャーリーもやってもらいなさいよ。疲れが吹っ飛ぶわっ!」と熱弁したせいだ!
本当、勘弁して下さい! こんな美人さんの艶っぽい声とか童貞には厳しいんです!
息子は反応してないけど、むずむずするんです!
鼻血が出そうだよ!
しかも座って肩揉みしてるから──
上から谷間が見えるんだ!
知ってるか?
大きな胸の谷間が揺れると『ぷるんぷるんっ』と波打つんだぜ?
ま・さ・に!
豊満なおっぱいの柔らかさを僕に教えてくれている!
──耐えろ、これは精神修行だ。
無心だ……無心を心掛けろ! 目線は頭だ!
前と横──そして上以外見るな! 下は見たらダメだ!
「お母様……私もしてほしい……」
「ダメよ! これはフィアにはまだ早いわっ!」
恍惚の表情から一変し、厳しい形相でフィアにそう言うが、口元に涎が垂れている。説得力なんて皆無だろう。
確かにフィアにはまだ早い気がする。だってこの肩揉み──ご期待に添えれるように【性感度】使ってるし……。
でも、フィアのお陰で肩揉みは終了する事が出来た。
その際に「しばらくいますので、またして下さいね?」とシャーリーさんに目力を込めて言われた僕は頷く他なかった。
◆
私はスフィア──
聖女の娘。そして次代の聖女候補の1人。
周りはそう言う目でしか見てくれない……。
私の発言でお母様に迷惑がかかる。そう思うと声がいつしかはっきり出なくなってしまった。
暗い、人形みたいとか──聖女の娘なのに魔法がいまいちとか出来損ないと、よく陰口を言われた。
当然ながら友達もいない。誰も私を見てくれません。
そんなお母様は私の為に元『聖天』の隊長であるライラ様の所へ息抜きをしに行くと言ってくれました。
ライラ様には私と同年代の子供がいるらしく、お母様は会わせたいと言う。
少し辺境にある場所まで『聖天』4人の護衛付きで旅をする。
私はライラ様の事をあまり知らない。
『聖天』の4人に元上司であるライラ様の事を聞くと──
「鬼だな」
「敵なしですね」
「怖い……」
「凄い人です」
と言われた。
何人か顔が引き攣っていた気がするのは気のせいなんでしょうか?
旅は続き、やっとライラ様の家に到着すると──
庭の方から木と木がぶつかる音が聞こえてきました。
中に入り、視線を向けると──
金髪の男の子と女性が模擬戦をしていました。
女性がライラ様、男の子が息子さんと判断して、お母様と一緒にそのまま観戦します。
男の子の方は盾を使い──目にも止まらぬライラ様の速い攻撃を防いでいます。
ライラ様は引退されたと言っても、現役の『聖天』の皆さんは勝てないと言われるぐらい強い人。
手加減してるとはいえ、あれだけの猛襲を防ぐなんて子供が出来るはずがない──そう思ってしまいました。
けれど、目の前の男の子は苦笑いを浮かべているものの防いでいます。
途中から木と木がぶつかる音がどんどん早くなっていき、男の子は防ぐだけじゃなく、避けながら捌いていきます。
私はその光景に『格好良い』と魅了されました。
胸の奥が熱くなりました。
最終的にはライラ様の攻撃で宙を舞って終わり──
その後、私はお母様の言付けでベットで眠るロイ君が起きるまで待ちます。
ロイ君は剣の才能は皆無。『開花の儀』でも戦闘系のスキルは授けられず、少し落ち込んだ日々があったそうです。
それでもずっと諦めずに冒険者になろうとしているとライラ様から聞きました。
どんな苦境であっても立ち向かい、挑戦する姿勢に心を打たれました。
今の私に足りていない気持ち──そう思いました。
ロイ君が起きると話しかけてくれましたが、思い通りに声が出ませんでした。
それでも笑顔で話しかけてくれると、とても顔が熱くなります。
転びかける私をぎゅっと抱き支えてくれた時は胸がドキドキしてしまいました。
それにこの人はお母様が聖女と知っても他の人達と違い、普通に会話をしてくれます。もちろん私にも。
それが堪らなく嬉しい。
私はロイ君に恋をしたんだなぁと思いました。
お母様は別に聖女にならなくて良いと言ってくれます。本当にならなくて良いなら──
私もロイ君と一緒に冒険者をやりたい!
これからしばらく一緒に過ごせると思うと嬉しくて堪りません。
お母様も私とロイ君の仲を応援してくれてるみたいだし頑張りたい。
「ロイド君を婿に迎えればあの肩揉みがいつでもしてもらえるかも……」
とか言ってたし……。
ここにいる間にお母様が普段見せない顔で受けていた肩揉みを私もしてもらいたいなぁ。
男の人って胸とか大好きみたいだし、私もよく見られるから触られたり、見られるの凄く嫌なんだけど──
ロイ君ならいいかな?
だって、お母様の胸にも目線は向けてないし──とても好感が持てましたから──
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