第3話 仕事
私は月1ペースで大掃除をすることにしている。大掃除と言っても排水溝や換気口などを掃除するくらいだ。月1の大掃除は私の独断。私は掃除に関しては神経質だ。床に髪の毛が落ちているのを見るだけでイライラとしてしまう。最近やっとゴミを見つけたらその都度捨てれば良いと気付いたのでイラつくことは少し減った。
私がしている家事の大半を夫は知らない。それは夫の出勤中や睡眠中にしているからでもあるし、夫に共有していないからでもある。私は自分に関しては前時代的な価値観を押し付けがちで、家事は嫁の自分がやらなければならないと思っている。夫は
「2人の家だから2人でやれば良い」
と言う。しかし私はそれでも自分がすべきだと思うし、夫は取り掛かりが遅い。とんでもなく遅い。夫が家事をやり始めるまでの間で大抵のことは終わってしまう。
そんな中、私は掃除をしながら
(こんなことをしているなんて奴は知らないことだろう)
とやや自慢げに考えている。
時たま、自分に何かあった時のために掃除の詳細を伝えておくべきではと思う時がある。けれど私と夫の汚いの基準は大きく異なる。私は毎日掃除をしないと落ち着かない。一方、夫は全くそんなことはない。そのため伝えたところであまり意味をなさないだろう。
それに私は夫の仕事を知らない。夫に何かあったところで私が代わりに出勤などできやしない。掃除もきっと同じようなものだろう。それぞれできることをすることで今日も我が家は成立している。
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