第15話 ギャラリーの面々に

「「「本当に有り難うございました。」」」


わたし達、

係長とミズキ先輩の3人で

ギャラリー『武々1B』へ

お礼挨拶に来ていて、

係長達も一通り、

ギャラリーオーナーのハジメさんにお礼を告げれたのね。


「田村 あさみです。図々しくも

貴社のダレンさんと、ケイトウ

さんにも私的に助力を頂きまし

た事、事後報告となりまして、

申し訳ございませんでした。」


わたしも、お願いしたとはいえ

雑用に2人を使った事に

お詫びするの。


心ばかりの御礼と、

バンケット部の本元、

ヒルズタワー上階のホテルに、

ギャラリーの方々を、

バンケット部から

ディナー招待をして、

丁度

ドライシェリーを、

ギャラリースタッフ様にと、

アペリティフ

サーブされたところですの。


「田村 あさみさん~かぁ、、。

シオンくんも 久しぶりなんだ

よねぇ?ごめんねぇ。

こっちが 無理言ったみたいに

なっちゃったねぇ~。」


ハジメオーナーの視線が、

いかにも

上から下まで、

わたしを観察してくる。


係長とミズキ先輩が退出すると、

わたしだけハジメオーナーに

呼び止められたのには、

焦っているのよね。


シオンちゃんから、

わたしの事は聞いていると

思うのだけど、、

『プライベートアイ』関係で

一時訓練を受けている事もね。


「今回は本当に有り難うございま

した。シオンさんにもステージ

セットアップまでヘルプ頂きま

して、アーティストまで、、」


「あ~、いいのいいの~。どぉせ

ボトルシップ招聘した、うちの

得意先の事情もあるんだから

ぁ。それにぃ、シップドライバ

ーが、アーティストだったから

ラッキーだったんだよねぇ~」


わたしに

タレ目をウィンクさせて、

笑う白スーツのギャラリスト。


武久 一。


業界では『ギャラリスト探偵』と

呼ばれることもある人なの。


前菜がサーブされる前に

お暇したいのに、


「アサミさんは、

このヒルズビレッジで

お仕事、されてたのですね。」


ハジメオーナーの秘書さんが、

お洒落な眼鏡を指で直しながら、

聞いてきたの。


「このタワーに入る

ブランドホテルのバンケット

ホールでコーディネーターを

してます。また お世話になる

事も、あると思いますので、」


同じヒルズタワーでオフィスを

構える同士。

今回みたいなこともあるはず。


「Oh ! アサミ、誰かと同じムード

を見たよーだと思ってましたら

そうです!ハジメオーナーに

似てますの。オーナーって、

イケメンですなのに、イメージ

のこらない、似てるのです↑↑」


突然ケイトウが意外に、

鋭いことを叫びましたのね。


「ケイトって、さっきから

やたらアサミちゃん、

見てるよねっー。なにー。」


「ノー!『ショサ』?キレイと

思ってるのですわ。シオーン、

睨んでも カワイイだけね。」


シオンちゃんが話をそらして、

くれた。ここはすぐ退散しよう。


「あの、わたしは、これで。」


わたしも黒ふち眼鏡を直して、

レストランの個室から

退却をはかる。

なのに、


「OK~。あ、でぇ、アサミくん

とこのホールってぇ、モダン

アートでもぉ マッチングしそう

なのかなぁ? どう、アサミくん」


シオンちゃんと再会した時に、

早速オファーされた内容を、

聞かれてしまった。


「実は、サイドの壁画部分は

ミラーとか、天井空から 黒に

グラデーションした カラー壁に

入れ替えができます。

ボールルームダンスや、

晩餐、授賞式にも 対応できる

仕様なので、ホールの対応は

多角的に可能です。なんなりと」


わたしが答えると

シオンちゃんがすかさず、


「あっ!そう!そうだった。

オーナー、ここのサロンホール!

本格派でしたよっー。

アールデコなステンドグラス

まで、ありましたからっ!

ギャラリーでも

使えそうですよっ充分!!」


売り込んでくれる。

ありがたいのどけど、、


そしたら秘書さんの 眼鏡が、

キラリと光って、


「じゃあ、本当に鏡の間みたいに

なると。向かい庭園が映りこむ

と印象かわりますねこれは。」


凄く乗り気にされたのね。

これは近いうちに、

ミズキ先輩と バンケットホール

チェックしないと。


「では、オーナー、

バンケットホールで 開催する

ギャラリーアート作品はリスト

アップしておきますので。」


静かにドライシェリーを

飲んでいたダレンが、

口を開いた。


「ダレン、よろしく~。

クルーズギャラリーが

終わったらぁ、すぐにフライヤー

印刷手配してぇ、あ、その前に

アサミくんにぃ

ホールスケジューリング

しといてもらわないとねぇ。」


すぐに退却と思っていたのに、

ハジメオーナーから聞いた、

クルーズギャラリーに

反応してしまう、わたし。


「クルーズギャラリー?という

ことは、船をギャラリーですか?

ゴージャスですね。初めて

聞きました。勉強になります」


ハジメオーナーは、

人懐っこい表情をみせつつも、

残念そうな声をあげるの。


「あぁ、そっかぁ~。今回はぁ

神戸港から チャーターで、

こっちに持ってきてるんだけど、

ほら、国家式典で入港は最終日

なんだよねん。アサミくんも

ぜひともクルーザー、案内した

かったなぁ。残念だよぉ~。」


その言葉に、わたしも納得。

首都圏は今、厳戒体制なのよね。


「もしなんでしたら、最終日に

返却マリーナを こちらにすれば

良いのでは?ダレンやケイトウの

後学の為にも。変更しましょ。」


「う~ん。ならぁ、そうしよっ

かあ~。ヨミくんが言うには、

ちゃんと手配もしてくれるし

ぃ。じゃあ、アサミちゃん、

式典最終日にクルーズギャラリ

ー、ここのマリーナに入れるか

らぁ、招待するねん~。」


出来そうな

お洒落眼鏡秘書さんの

鶴の一声で

クルーズギャラリー体験が

決まってしまった!


「Hey アサミ!!今日は女子会

するです。一緒にドウですか!」


今日は、

ホテルルームも ギャラリーで

リザーブと聞いている。

なるほど、この後

真夜中の女子会ですか!


「すいません。今日は、ディナー

に呼んで頂いただけでも 。

有り難うございます。明日の仕事

の準備もあるので、お暇させて

頂きますね。お声かけ 嬉しい

です。またの機会には、ぜひ!」


シオンちゃんとも話たいけど、

今日と明日はさすがに、

バンケット準備で忙しい。


「イエス!またランチプリーズ」


まだ、知り合いすくない

タワーでの、

得難いランチフレンドだもの。


「この出会いに 主よ感謝します

といった、顔かケイトウ?」


ニマニマとした顔で、

ダレンがケイトウに揶揄してる


「ランチは絶対女子オンリー!!

ダレンはロンリーランチでしょ。

ザマアみろです!アサミまたね」


本当は仲がいい2人。


「それでは、今日は有り難うござ

いました。失礼しますね。」


わたしは、

シオンちゃんにも合図を送って、

ギャラリーの皆さんに

挨拶をしたよ。


今日は、、さすが疲れたの。


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