第4話 巻き上げる秋風は嵐の前触れか

それが、ね。

昼休憩から帰った後が、酷かったのよ!


どうして、こうなったの?

今って何時なの?13時半ぐらい?


「はあぁ!?吐きそう。」

わたし、田村アサミは

目眩を覚えながら、7階への階段を 全力駆け上がっている。


状況を説明すると、まず30分前に 話を戻さねばなのね。


昼食を終えて、シェアカンパニーダイニングのランチトレーを 片付けて、まだ休憩時間が残ってたから、ロッカールームで読書でもしようと、6階の 我がバンケットオフィスに戻ってきたわけなんだけども。


オフィスに入った途端に不穏な空気全開なのよ。


『はい!はい!解っております』


聞こえてきた、ミズキ先輩の不機嫌な電話応対ね。


え?ミズキ先輩、休憩は?取ってないの?ブラックまっしぐら?なんて思ってたのが間違い。


『ガチャガチャガチャ、タンッ』


電話しながらのー、ミズキ先輩の

PC=イライラタッチ音。


これ、絶対不測の事態勃発よ。


「ミズキ先輩、、

もしお昼まだなら、テイクアウト

してきましょうか、、、」


電話が終わったであろうタイミングで、ミズキ先輩に声を掛ければよ

「あ!タムラさん!良かった。

悪いけど、 緊急の案件が

出来たの。リミットは夕方の

メディアが動くまでになる

から手伝って欲しい。いい?」


電話を 放り投げての、わたしへのヘルプ要請よ。


げ、夕方って今日18時の?。

と思うけど、まずミズキ先輩のお昼を買いにシェアダイニングに、

とんぼ返りね。

で、

わたしが、手にランチ入りの袋を下げて戻る頃には、オフィスは 更に怒涛のカオスに化してたのよ。


「課長!搬入はとりあえず

エントランスホールにして

ください!でないと、これ以上

会場対応に支障が出ます。」


課長に詰め寄るミズキ先輩のデスクに、お昼の入った袋を 静かーに、置く。


「ミズキ先輩。あの、まず

買ってきたので、、お昼、

食べて、下さい。

その間、状況教えてもらえば

ヘルプ、入りますので、、」


ミズキ先輩が、課長に迫る内容を

鑑みて、わたしが、おずおずと手を上げたわけで。

まずはね、クールダウン。ね?


「それもそうね。」


ミズキ先輩は わたしの姿を、今ようやく捉えると、


「ステイ、ステイ」とか、酩酊しているように呟いて、 テイクアウトのサンドイッチを口にねじ込んだのね。


ダメだ。ミズキ先輩が、こんなにポンコツになるって、よっぽどだよね。

そうこうしているうちに、同僚お嬢さん達も

『『お昼頂きましたー』』

とかいって、お昼休憩を上がってきたので合流。合わせて、説明が始まった次第。



「まず、急遽。レセプション

メインの メディア会見を、

開く事 になりました。

会見主は、このヒルズビレッジ

所有財閥企業。 内容は、

環境省が発表した。バイオプラ

国内生産制度に 呼応して、

ペットボトルシップ 会見です。ここまでは、大丈夫?」


ミズキ先輩、怒りで手のサンドイッチを『グチャっ』て握り潰して

ますのよ。って、

しかも、

今何か覚えのあるモノがね、話にでたような。嫌な汗が、、


「ペットボトルシップという

エコシンボルを招聘し、

企業で国産バイオプラ生産を

宣言する主旨となります。」


同僚お嬢さん達も、ミズキ先輩の 潰れたサンドイッチに目が釘付けよ。

てか、ひえ!!今朝のペットボトルの船のこと?そんな大それたヤツ、だったの?

で、なんでうちなの↓↓↓

あ、各国要人がさ、いるからか。


「我々は本来なら メディア会見

場所のセッティング。これだけ

でも!急な案件モノだけど、

加えて、残念ながら バンケット

コーディネートも

丸投げされました!!!」


あー、そりゃ、ミズキ先輩も切れるよね。でも、今からじゃあ、どこだって、自分とこでやりたくないよ!


時間ないじゃない!15時、16時

の世界だよ!


「問題は、ペットボトルシップ

現物をレセプショ 展示する事。

私的には、

タワーロビーエントランスに

置く事を課長に談判中です。

以上、質問は?

すぐ 己の任務を構築して、

動きを申告してください!!」


マジ切れてる。同僚お嬢さん達さ

真っ青越えて白、灰、灰だよね。


でも時間ないのは

変わらない。とっとと、やろう。

船は来てるし、これ指示待ちよ。


「ミズキ先輩の案に、わたし、

、、賛成です。

ペットボトルシップも、

座トレで、ステージを簡易作成、

スタンションポールが立てば、

展示らしくなりそうだと、、。」


換気もいいので、

この時期の会見でならかえって

好印象だとも、控えめに 付け足しとく。

あとは、メモ書きで、ミズキ先輩に、


会見用ライティング台、メディア椅子、ホールから下に下ろせるよう、人員の依頼を、希望と、


展示パネル作成や、メディア用フライヤー資料は外注提案を箇条書きして渡すと。


ミズキ先輩は、一瞥して


「そうね。そうすれば、

メディアへの告知関係だけを

会見主の企業広報に、依頼も

しやすいわ。これで、いきます」


ミズキ先輩経由で、すぐ課長に

承認もらう。


バンケットで御用達便利屋に

そっと連絡。14時に来てよ!

派遣会社を通してじゃあ間に合わないの。


「外注の当て、ちゃんとあるん

でしょうね。もう、数時間の話

よ、普通はアウトでしょ。」


ミズキ先輩の眼光が刺さる。

でも、すぐ頭に浮かんだのは、

実はギャラリー『武々1B』なのね。


「確実と、、は言い切れません。

まず、、お願いして、きます。」


今までね、あのオフィスに数回行って、大判のプリンターや、印刷機器が充実しているの知ったのよ。


ギャラリーで作品展示して、展示パネル資材もある。


「いいわ、そこに当たるしか

ないんだし。任せます。問題は、

急に取材陣が 集まるのかと、

そのために 必要なる、派手な

オープンレセプショーへの

何かだわって!できるか!!」


あ、ブチブチ切れ。


おお、ゆるふわボブの同僚お嬢さん、検索してるのね。


「ゆるキャラとか、ナチュラ

リスト著名人トークショーが

ふつうあるのですよね。でも

今から頼むの、無理ですよー。」


課長に、タワー警備室に、ロビーエントランス使用諸々提出書類を承認してもらいつつ、


「なくても、、ミズキ先輩。

、、最悪メディア会見は、

その、出来るようしますね。」


とにかくね、

夕方のニュースに乗せるには

もう時間との戦いなのよ。


「その通り!!最低ラインを

死守して、準備!

タムラさんは、外注とタワー

警備室、ホール備品、

手配人員でセッティング。」


はい!ミズキ先輩。

それと、もう1つメモですよ。

さすが、ミズキ先輩は、再び一瞥して、


「貴女達は、依頼主の財閥企業

広報へ交渉して、 メディアに

取材の手配をお願い する。

テレビに来てもらわないと

意味ないから重要。会見資料も。

はい、散って、すぐ 動く!!」


はい、そうです!


どうせなら同僚お嬢さん達に、財閥企業のオフィスへ行ってもらうのが 最良ね。

上の階にいけば行くほど、イケメンエリートに会えるだろうし。


『キャー、最上位オフィス!!』


モチベーション、が凄い、ダダ上がりだよね、あはは。


わたしは、1つ上の階に走る。


あそこなら、メディア資料の輪転

かけも、パネル作成もできる。


「はあ、はあ。ごめんなさい。

ケイトウ、ダレン。ちょっと

仕事の方で助けて下さい。」


時間が惜しい、電話かけながら、

1つ上の階へ、階段を駆け登って、ギャラリーのオフィスに出現!


「Oh!アサミ!どうしましたの!

階段で、きたのですね!ダレン!

飲み物プリーズ。アサミ汗だく

エマージェンシーなのです↑↑」


ケイトウが、オフィスのスキップフロアーから飛んできてくれる。

いい人だよ。


わたしは、状況を伝えて、お願いした。


「ありがとう、ごめんなさい。

とても急ぎで、外注扱いで

パネル作成と、このオフィス

印刷機で、資料を100部刷って

欲しいんです。こんなこと

お願い出来る義理ではないと

思うんですけど。」


このオフィスは、基本 この2人しかいない。それもあって、依頼がね、しやすいの。ごめんね。


「ペットボトルシップ?ケイトウ

確か、本部組がクルーズ

ギャラリーで参加していた、

トリエンナーレで、そんな話

シオン姫から報告に

あったヤツではないのか?」


ダレンが、壁際のアイアンステップから『タタッ』って降りてくれながら、情報くれるのがさすが!


「Yes!エコアート扱いで

イベントをしたって、シオーン

から、レポートされたですわ。」


シオン?!!ナイス!我が同志!

そういえば、なんか芸術祭にも参加してるんだよシオンはね。

なら、

ハジメオーナーに直電かけた

方が、情報もらえるぞと、コールトークして、


ダレンがわたしに電話を よこしてくれる。


あ、電話の向こうからギャラリーオーナーハジメさんの声、聞こえるんだよね。


「あれぇ?アサミちゃんかなぁ?

ダレンが電話してくれたけどぉ

舟、

そっちにも招待されたんだねぇ。

あぁ~、確かさぁ、

ペットボトルシップでぇ

イベントイリュージョンあった

よん~。 ピッタリだよぉ

アーティストだと思うけどぉ。

私からぁ、

繋ぎとってあげるねぇ。」


じゃあ、窓口はダレンでって言われて、ニッコリする?ダレンに

電話を返す。ん?


そう!神だよ!神きたのよ!


レセプションショーに!ツテが出てきたのよ。持つべきは、友達の友達は、みんな友達のワ。ね。


「アサミ!!すぐプリントアウト

する資料をアドレスにですわ!」


ケイトウもさライトブラウンの巻き髪をポニーテールに上げはじめてる。

だからわたしは、ミズキ先輩に

耳で電話はさみながら、報告して、ジェスチャーでケイトウとダレン達にお礼。


諸々をメモしたり、資料内容を約束をしながら、エレベーターで警備室に行って、ヘルプの外部員迎えやら、音響機材の下ろすのに

動く。


わたしたちのバンケットホールは、ホテルの1部とはいえ、半分子会社扱いだからね、バンケットコーディネーターなんてイベント会社スタッフと変わらないのよ。


まあ、こんな風に、全力疾走な仕事の 空気感。わたしは嫌いじゃない。


ただね、色気は、無いなって。

本当自分でも心底思うけどね 、

どこかで、背中に予感がした

のよね。

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