平凡受け短編集
のず
のってみたものの(ストーカー攻め)
深夜2時。
今日はバイト終わりに皆でゴハンを食べに行った、その帰り。大学生になってから住み始めた、一人暮らしのマンションはもうすぐそこだ。
エレベーターがない4階建てのマンションの3階に俺の部屋がある。飲み放題だったので、調子に乗ってアルコールを摂取した。だから、ちょっと足が重い。3階まで、階段をのろのろ上り、部屋の前で鍵をとりだした。
「今日、遅かったんだね。心配した。」
後ろから声が聞こえた。振り向くと、そこにイケメンがいた。
「ひどいな。なんで俺に連絡しないでどっか行ってたの?俺、ずっと待ってたんだよ?」
誰だろう。このイケメンは。何言ってるんだろう。このイケメンは。俺は、酔っ払っているせいか、思考回路がうまく機能していない。
「あー…。誰だっけ?」
こんなイケメンの知り合いはいなかったはずだ。
「酔っ払ってるの?自分の恋人によくそんなことが言えるね。」
なんだこいつは。こいつこそ酔っ払ってるのか?それとも電波系?よし、電波には電波で対抗しよう。
「うるさいよ。お前、浮気しただろ?だから、別れたんじゃないか。俺がいくらお前のこと好きでも、絶対に部屋には入れないからな。分かったら帰れよ!二度と俺の前に姿を見せんな!」
よし、言ってやったぜ。電波には電波だ。
イケメンが俺の言葉にひるんだスキに、俺は部屋に滑り込み、ドアを閉めようとした。が、ドアを閉める寸前、イケメンが足をドアに挟みこんだ。そして、無理やり部屋に入ってきやがった。入ってきただけでなく、俺をぎゅうっと抱きしめた。
俺がポカンとなっていると、イケメンは勢いよくしゃべりだした。
「浮気なんかしてない!友達と遊んでただけだってば。でも、嬉しいな。嫉妬してくれたんだ。俺、嬉しい。譲が友達と遊ぶなって言うなら、もう遊ばないよ。だから譲も俺以外は要らないよね?学校に行くのは仕方ないけど、バイトは辞めてくれるよね?お金の心配ならいらないよ。俺、結構稼いでるから。あ、それとも一緒に暮らす?うん、それがいいね。朝起きて、夜寝るまで一緒にいるんだ。それってすごく幸せなことだよね。譲もそう思うだろ?」
…なんか、オカシイぞ。どう収拾つけんだ?この状況を。
「あの、誤解だってことは分かった。もう嫉妬しないから、友達と遊んでいいよ。でも、俺も友達と遊んでいいかな?」
俺がそう言うと、イケメンは腕の力を強めた。
「…。仕方ないね。でも、友達は友達だからね。浮気したら、許さないからね。」
「うん。…分かった。」
すっかり酔いの醒めた頭で、俺はこのイケメンにどう対処しようか考えるのであった。
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