第4話 「無謀な旅」



「魔王を倒しに行くのなら、僕も連れていってもらう。それが、このパーティの解散条件だ……!」


 冒険者を辞め、魔王討伐のために結成される新たなパーティに加わらなければならなかった。

 早かれ遅かれジークとのパーティは解散する予定だ。


 それでも彼は付いてくると、どこまでも真っ直ぐな眼差しで私に告げた。

 どこまでも直向きな青年である。

 私のように特別な力を持っているわけでもなく、ある程度の魔物なら倒せるぐらいの実力しかない彼を連れていってもメリットがあるのか?


 無いのだ。





 時はさらに流れ、パーティが結成された。


 メンバーのリーダーは私勇者エリーシャ。

 前衛は魔剣士ロイド、聖騎士アレク。

 後衛は大賢者エマ、占星術師ジェシカ。

 そこに冒険者ギルドで大した成績もないジークが加わったのだ。


 荷物運びとして加入を許したのだが、過酷な道のりを人並みのジークでは簡単に付いてこれるはずもなかった。パーティメンバーらそんな彼を邪魔者のように扱った。

 罵倒して、飯抜きにして、高圧的な態度をとった。


 魔王の領域に入れば、並みの人間では魔物の餌食となってしまう。

 ジークは恰好の的だ、戦う能力はないので皆で守らなければならない。

 それを悪く思ったのか彼は時々、皆の役に立ちたいが為に敵前へと飛び出ることがあった。

 それは無謀ともいえる奇行、誰もが冷や汗をかいた。


 最終的に敵は主力パーティである私たちによって倒されるのだが、決まって私はボロボロのジークに怒鳴る。

 彼も決まって言い訳を言う「相手は呪いを帯びていた、皆が触れたら危険だ」と。

 血管が切れるかと思った、だからといってお前が役に立つはずがないだろうと叫んだ。

 死んでいたら、私は……。


 怒りによるものなのか、それともかつての想いのせいなのか、私は顔を真っ赤にして彼を睨みつけていた。

 ジークは呆気にとられた様子だ。


 まだ私を女の子扱いする、その態度が気に食わなかった。

 飯抜きだけでは足りない、私は彼の頬を思いっ切り殴った。

 覚醒した勇者の力は凄まじい。


 無論、ジークはそれで気絶をした。

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