ハルミさんは怒らせたい

@tuzihime

第1話 ハルミとイナミ

俺は普通の会社で働く坂町 ハルミ、24歳!はっきり言おう!俺はモテる!女子からも人気で男子からも高評価!まさにリア充とは俺のためにある言葉だな!今日も時間通りに出社し、自分のデスクで仕事を始める…ふふんっ、今日もイケてる!と鏡を見ていると


「ハルミ先輩!」


おっと!後輩が来てしまったか…顔を整えてっと…ニマニマ顔から真顔に戻して対応した


「んー何?」


「あっ、あの…これなんですけど…」


「あぁ、この間頼んでいた資料ね…ん、おっけー!やればできるね!よく頑張りました。」


と俺は頭を撫でた、すると女の子は顔を真っ赤にして資料で顔を隠した


「あ、ありがとうございます…」


ん〜!たまらなく可愛い!ここの部署の女の子たちは全員可愛い!あぁ、こんなところで働けるなんてなんたるしあわせ…


「ハルミさん?今日も精がでますねぇ?」


「あれ?いなみんじゃん!!」


「稲見です!女子の頭を撫でるのはセクハラですと何度言えばわかるんですかっ!」


ハイタッチしようと手を出したが普通にスルーされてしまった…この子は稲見 高穂(いなみ たかほ)さん、メガネをかけていて黒くて長い髪をポニーテールにしたかわいい女の子!俺のマイエンジェル!ようするに彼女だ。人差し指をばっと出して俺に指さした。


「もしかして嫉妬しちゃった?」


俺は立ち上がりそっと彼女の顎をクイッと持ち上げた、彼女もかなり身長が高いのだが立つと俺の方が高い…そして笑顔を見せると煙が出たんじゃないかと思うくらい顔をボンッと真っ赤にして…はっと我に返ったように真顔になりメガネをクイッとあげた


「別に嫉妬なんてしていませんが?」


「えぇ?したよね?今絶対にしたよねぇ!!」


「してませんから…というか、させたと思ってるのなら普通やめませんかねぇ?」


「俺も我慢してるつもりなんだけど、みんな可愛すぎるからさぁ…」


「はぁ…もういいです…」


そしてため息をついて稲見さんは自分の持ち場に戻った…確認するようだがこう見えて付き合ってるんですよ僕達…


「だって…こうでもしないと俺のこと見てくれないじゃん…」


そう言って俺は自分のデスクに座り、作業を始めた。俺は小さい時から人と話すのが大好きで特に女子は何もしなくても話しかけてくれるから嬉しかった!会社に入ってからも色んな人と話すことで仲良くなっていった。でも、なぜか同期の稲見さんだけは俺に全く話しかけてくれなかった。そんな時だった


ーー

『稲見さんっ!』


『…なんですか?』


俺は彼女とどうしても話をしたいと思って話しかけたがギッと睨まれたうわぁ…めちゃくちゃ睨んでる…俺なんか悪いことしましたかねぇ?


『お昼一緒にどう?奢るよ〜?』


『なぜあなたとお昼を一緒にしないといけないのですか?』


『…えっ?』


ガタッと立ち上がってこちらを向かずそう言った。まず自分の目も見ようとしない…上司と話す時は目を見てテキパキと話すが同期だからか?


『私があなたと食事をして私にメリットがありますか?』


『あ…あの…』


『時間がもったいないので失礼します』


そういうと俺の横を通って出ていってしまった。すると近くにいた後輩が声をかけてきた。


『ハルミ先輩っ!稲見さんはやめておいた方がいいですよ?』


『なんで?』


『仕事はできるんですけど…人付き合い悪いというか…』


『私、社長と付き合ってるとか聞きますよ?』


『私は、裏で水商売やってるって聞きましたよ?』


色んな情報があるんだなぁ…でもなんか嘘っぽい…だってあれほど仕事をできる人がそんなことする必要が無いから。さっきの話し方からも分かる…


『ふーん、でも、それって噂だよね?』


『『は、はい…』』


『噂だけを信じて決めつけるのはおかしいんじゃないの?』


『えっと…』


『まぁ、信じるかどうかなんて君たち次第だけどね…俺は彼女の本当のことを知りたいんだ。教えてくれてありがと。』


俺はニコッと笑ってその場を後にし、ドアを開けると腕を組んだ稲見さんがいた。


『あれ?稲見さんどうかした?』


『…は、ハンバーグでしたら…』


顔を俯かせてモジモジしながら言ったので何を言ったのかよくわからなかった。


『なんて?』


『だからっ!ハンバーグなら…ご一緒します』


『ほんと!?やったー!じゃあ行こう!』


それから俺は彼女によく話しかけるようになり、現在に至るのだ。


「稲見さん!コピー機の調子が悪くて…」


「後で直しておきますのでそのまましておいて下さい。」


「稲見さん!ここ、これでいいですか?」


「えぇ、あとここのグラフのところもう少しわかりやすくした方がいいわ。こちらでは分かっても、相手からは分からない場合もあるから…」


「はい!」


今日もテキパキと仕事をこなす稲見さん…今までは周りから距離を置かれていたが今ではかなり丸くなり上司からも期待されていて後輩からも頼りにされていた…


「稲見さん〜こっちきてもらえますか?」


「分かったわ。」


「稲見さん…ミスしてしまって…」


「こっちにデータ送って…なおしておくから…」


頼りにされている彼女を見るのは嬉しいことだが…今まで誰も話しかけるどころか苦手意識をもってたやつが手のひら返して頼ってるところを見るのは少し複雑な気分だ…最初に彼女の良さに気づいたのは俺なのに…


「稲見さん〜これお願いします!」


「分かった」


「いなみんチューしてくれないかなぁ?」


「分かっ…なにしてるんですかハルミさん?」


「ほら、ちゅ〜!」


「しませんから、早く持ち場に戻ってください。」


そういうと立ち上がって俺のデスクまで送ってくれた


「ちぇ、でもありがとここまで送ってくれて!」


「ッツ!?と、途中までだとまた来そうだったからですよっ…失礼します。」


頬を真っ赤にして自分の持ち場に戻っていった。なんて可愛いんだろう…ほんとに俺は幸せ者だなぁ…


ーー

そして仕事も終わり、今日は俺も稲見さんも定時だった。稲見さんと帰ろうとすると先に後輩が腕を引っ張っていた。


「稲見さんこの後、女子で集まって飲みに行きませんかっ!」


「いいわよ」


「そうですよね…ってえっ!?いいんですかっ!?」


いつも断るのに!と後輩がそう言っていた…えっ!?いつもの見に行くのを断るあの稲見さんが!?


「だからそう言ってるじゃない…行きましょ」


「はいっ!」


「ごめん〜いなみん今日借りていっていい?」


「はぁ?今日は飲みに行きま…」


「大丈夫ですっ!稲見さん!また絶対誘いますから!!」


「えっ…えっ!?」


「その時も断らないでくださいねっ!!お疲れ様でした!」


ほらっ!夫婦水入らずでと言われたが別にそこまでいってないんだけど…


「えぇ…お疲れ様…。」


ーー

「はぁ…で?なんで私をとめたのよ?」


「今日は…ウチで2人でに飲みたいなって…」


コンビニにより、つまみとお酒何本か買って来た。


「まぁ、いいけどそういうのは前もって言ってほしかったわ」


「なんで?」


「い、色々準備があるのっ!!」


家で飲むだけなのになんの準備がいるんだろうか?とか思っていたがそれを忘れるくらいの事件が起きていた…


「ハルミぃぃぃ…のんでるかぁぁぁ?」


「いなみん酔いすぎだよ!」


「酔ってないです…ひっく!」


完全に酔ってるし…まさかチューハイ1本でここまでとは思わなかった…


「ハルミぃぃ…もう1本持ってこぉい!」


「もう終わり!これ以上飲んだらどうなるかしれたもんじゃないよ!」


「酒ぇ…お酒ぇ…」


ちょっと悪いことしちゃったなぁ…色々と。とそんなことを考えていると今度は後ろから抱きついてきた!胸が…めちゃくちゃ大きい胸がっ!


「ハルミぃぃぃ…いつも頑張ってるね…よしよし…」


「いなみん?」


「私が冷たくしても…ひっく…優しくしてくれて…よしよし…偉いねぇ…」


「完全に酔うと甘え上戸になるのね…よくこんなんで飲みに行くとか言えたなぁ…」


もしほかの男がいたらと思うとほんとに良かったと思うよ…まぁ、迎えに行くなりその場に行くなりなんなりするけどな!


「…ハルミは息しててえらいわねぇ…」


「いや息はするでしょ…怖すぎ。」


「…好きよハルミ。」


「……」


俺は肩をガッと掴んで押し倒した…全くこの人は…普段しっかりしてるのに…こんな弱いところ見せられたら我慢できなくなるだろ?


「ハル…ミ?」


「はぁ…今日は寝てくださいっ。」


「じゃあベットまで連れてって?」


抱っこ抱っこと手を広げてきたので、なんとか理性を保ち自分のベットまでお姫様抱っこで運んだ。すぴーすぴーと寝ている。まったく…ここまで弱いなんて…今まで飲みに断ってたのは弱かったからか?


「んあっつい…」


「!?」


布団を剥いでボタンをふたつくらいとった…ぶるんっと胸が揺れブラが見えてしまっていた…白いフリルの下着だった…もしかして準備って…と妄想してしまい慌てて首を横に振った!


「いかんいかん!風呂に入るか…」


被せすぎたらまたどかされそうなのでタオルケットをかぶせてあげた


ーー

「んぁぁ…頭痛い…」


「おはよ、いなみん!」


ん〜っと伸びをしていた稲見さんは俺の顔を見ると固まってしまった…


「おはよう…ハルミさ…え?」


「今日は休みだからもう少し寝てていいよ?」


「あ…あ…」


「可愛い寝顔ずっと見てたんだァ…ねぇ、怒ってる?おこってるぅ?」


「し、シャワー借りますっ!」


「あぁ、そっち扉の向こうだよ!」


そしてその間に朝食とコーヒーの準備をして、全て完了したと同時にシャワー室から出てきた。


「すみません…シャワーを借りてしまって…」


「べつにいいよ!それに付き合ってるのに一緒に暮らせてないって言うのがおかしいんだよっ!?」


「…そうですよね。」


うんうんというと稲見さんは少ししゅんとした顔をした…あっ…まずいこと言っちゃったかも


「…あっ!別に強制したい訳じゃなくて!その…えと…」


「じゃあ同棲してみますか?」


「…え?」


「冗談です。」


「もう!からかわないでよ!!」


真顔で言うから本気にしちゃったじゃん!急に拗ねたと思ったら真顔になったり笑ったり!忙しいなぁほんと!


「いつもからかってるんですからたまには仕返しですっ。」


「もう!」


「でも、前向きに考えさせてもらいます。」


「え?」


「さっ、ご飯食べましょうか。」


ぷんぷんと怒っているせいで重要な所をしっかりと聞き取れなかった!今すごいこと言ったよね!!


「ねぇ!なんて言ったの!?なんて!?」


「うん、おいしいですコレ。」


「ねぇ!なんていったのぉぉぉ!?」

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