特別編 Xmasは誰かと一緒?
<ラムネ>『皆さんこんばんは。セカプロ一期生の星空ラムネです。最近はコラボが多くて一人でやるのが違和感ありますね…』
いつもの澄んだラムネの声が若干遠くから聞こえてくることから察せるように、現在ラムネはキッチンから配信している。
<ラムネ>『タイトルにある通りで、クリスマスのお菓子作ります!』
:大丈夫そ?
:この間の料理教室の時にお菓子はできるって言ってたけど...
<ラムネ>『と言ってもクリスマスのお菓子にどんなものがあるか分からないので調べます!』
ゆいがデビューする前まではクールな歌姫だっただが、最近ではそれが嘘のように見えてくる。
ファンの間ではクールなラムネを惜しむ声が少なくないが、無理をしていたのではないかと言う憶測も飛び交っていたりするので、自然体となったラムネに好印象と新規リスナーを生み出している。
時折、『これとかどう?』など作るお菓子を相談すること20分。ようやくお菓子作りに着手した。
<ラムネ>『アイシングって意外と難しいんですね...』
色々なレシピを探した結果、アイシングクッキーに落ち着いたラムネは、少しぎこちない手つきで着々とクッキーを焼いていく。工程もアイシングでイラストを描くと言う最終段階に入ったところだ。
<ラムネ>『むむむ.....』
集中したのか時頼可愛らしい唸りが聞こえてくる。アイシングは見た目よりも遥かに難しい。力加減や切り口の大きさ、単純な画力などが合わさってできるのだから、意外と人を選ぶ料理だったりするのだ。
だが、基本そこまで複雑なものを描かないので親子でも楽しむことができる。セカプロ内で考えるとマネちゃん以外は簡単に作ることができるであろう。
<ラムネ>『よしっ!できたー!』
緊張から解放された吐息が視聴者の耳を襲う。どうやら全部のアイシングが終わったようだ。
<ラムネ>『あとは乾かして待つだけですね!』
使った道具を洗い終わり、出来上がりまでの時間を雑談で埋めている時だった。
<ラムネ>『あれ?何か頼みましたっけ?』
配信には乗っていないが、ラムネの耳には確かにチャイムの音が聞こえた。
<ラムネ>『ごめんなさい、みんなちょっと待っていてくださいね』
:はーい
:なんか忘れてる気がする....
席を外すことを視聴者に手短に告げてラムネは足早に玄関に向かった。
◇◇◇
「はーいどちらさま~って....ゆいちゃん!?」
インターホン越しに確認してみると、そこには忘れもしない後輩の顔が写し出されていた。
「こんばんは、ラムネ先輩。急に押しかけちゃってごめんさい」
少し鼻を赤くしたゆいが軽く頭を下げる。
「ううん、全然大丈夫ですから!とりあえず上がってください!」
◇◇◇
<ラムネ>『戻りました~』
<ゆ い>『おじゃましまーす』
:おかえり~
:ゆいちゃん!?
:人増えた!
<ラムネ>『私ゆいちゃんが来ること忘れちゃってましたっけ?』
<ゆ い>『ううん、ボクが勝手に来ただけだから大丈夫だよ。それよりも配信にお邪魔しちゃったみたいで逆にごめんなさい』
<ラムネ>『全然!ゆいちゃんなら大歓迎です!』
<ゆ い>『ありがと〜』
:なるほど、これがエデンか...
:ラムゆいてえてえ
<ラムネ>『ちなみに、今日はどうしたんです?』
ラムネが本題とも言えることを聞くと、『実はね...』とゆいは持ってきていた大きめのバックから白い箱を取り出した。
<ゆ い>『ボクからのプレゼントだよ!』
<ラムネ>『ええ!嬉しい!ありがとう!』
ゆいの了承を取ってから箱を開けると、プリンの上にツリーに見立てたホイップクリームが乗せられており、そこにアラザンや砂糖細工のサンタなどが飾り付けられていた。
<ラムネ>『かわい〜!』
<ゆ い>『他のみんなには別の日に渡すんだけど、ラムネ先輩には直接渡したくて』
<ラムネ>『嬉しいこと言ってくれるじゃない!』
しっかりと写真を撮ってからラムネはそのプリンを口に運んだ。
<ラムネ>『んー!美味しい!これ、全部自分で作ったの?』
<ゆ い>『うん、そうだよ』
先程撮った写真を配信に載せると、案の定「食べたい」や「かわいい」などのゆいを褒めるコメントが流れ出す。
<ラムネ>『ゆいちゃんと比べると全然だけど、私もさっきアイシングクッキーを作ったから良かったら食べてく?後1時間くらい待たなきゃだけど』
<ゆ い>『いいんですか!....って、ラムネ先輩?』
<ラムネ>『どうしたの?』
<ゆ い>『アイシングクッキーって今作りました?』
<ラムネ>『そうだよ?』
<ゆ い>『それだったら、乾燥には10時間くらい掛かるはずなんですが....』
<ラムネ>『ええ!?うそ!?』
慌ててレシピを確認してみると、『10時間ほど乾燥させて完成』としっかり記載されていた。
:あー
:そういえばそうだったね
:痛恨のミス!
<ラムネ>『うぅ.....』
<ゆ い>『だ、大丈夫ですか?』
あからさまに落ち込むラムネに優しく声を掛ける。
<ラムネ>『....ゆいちゃん』
<ゆ い>『はい?』
<ラムネ>『今日、泊まってく?』
<ゆ い>『はい!?』
混乱したラムネの発言に混乱するゆいの声が配信を駆け抜ける。
アイン、六道とクロシロがオフコラボタコパをしているように、コチラもどうやらそうなりそう雰囲気が漂い始めた。
ここから3時間後、お泊まり配信があったとか....
◇◇◇
一方その頃.....
<しゃちょー>『.......みんな楽しそうだな』
<柊>『そうですね』
<しゃちょー>『なんで俺誘われてないんだろ....』
<柊>『社長だからでは?』
<しゃちょー>『なんでだよ!』
<柊>『私に言われても。あ、これで上がりますね』
扉の向こうへと消えていく柊の背中を静かに見送った後、しゃちょーは声を大にして言った。
<しゃちょー>『なんでだよ!』
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