第161話 復活と再発見
<アイン>『あ、あれ?ま、円って引退したんじゃなかったっけ?』
珍しく動揺を露わにしながら質問をするアインはかなり新鮮に映った。
< 円 >『確かに私もその気だったんですが、引退するのを止めました』
<マネちゃん>『あ、あの~?もう二度と放送に映ることは無いって言ってませんでしたっけ?』
< 円 >『その前に多分とつけてました。”多分”の副詞は「断定はできないが,そうなる,またはそうである可能性が高いと推量するさま」なので、つまりはそういう事です』
<マネちゃん>『後半アバウト過ぎませんか!?』
<アイン>『うわっ、このやりづらい独特な感じ、確かに本物の円だ...』
直接の面識のあるアインとマネちゃんは驚きと懐かしさで会話をしていたが、面識が無い他のメンバーどうしたらいいか分からないといった表情を浮かべていた。
<ラムネ>『え、ええっと...円先輩でいいんですかね?』
< 円 >『いえ、私が活動していたのはセカンドプロダクションができる前なので、皆さんは私の先輩です。ただ、デビュー時期が色々あれなので便宜上0期生を名乗らせてもらいます』
<ゆ い>『つまり...ボクの後輩って事?』
恐る恐ると言った様子で聞くゆいに円は笑顔で答える。
< 円 >『ええ、そうですね。よろしくお願いします、ゆい先輩』
<ゆ い>『ふぁ、はい!』
<アイン>『と言うことは、円は私の後輩でもあると考えていいんだよね!』
先ほどの戸惑いとは打って変わり、水を得た魚というか新しいオモチャを貰った子供のようなテンションで円に詰め寄る。
< 円 >『いえ、私があなたのマスターであるということは変わりません』
<アイン>『そんなぁ~』
< 円 >『だってそうでしょう。私が貴女を作ったんですから』
<ラムネ>『え!?どういうことですか!?』
<マネちゃん>『そう言えばそうでしたね...』
マネちゃんとゆいは思い出したらしいが、ラムネやクロと言った面々は思い当たる節が無いらしく、首を傾げた。
< 円 >『おや、ゆい先輩は知っていらしたのですね』
<ゆ い>『い、一応』
< 円 >『ならゆい先輩が説明してください。私はちょっと面倒なので』
<ゆ い>『え、わかったよ。えっと、アイン先輩ってヒューマノイドじゃないですか』
<三人>『ああー!!』
そう、アインの言動で忘れている、或いは知らないという人も多いが、実はアインは元々”人と同レベルのAI”というコンセプトで開発されていた人型ロボット、ヒューマノイドなのだ。
< 円 >『常に何かに興味を持ち、ちょっかいを出すというプログラムにしたんですが、どうしてこんなちゃらんぽらんが出来上がったんでしょう。不思議です』
<マネちゃん>『十中八九それが原因です』
本当に不思議そうに首を傾げる円に何年かぶりにどついたマネちゃんだった。
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