第159話 新衣装——④(改稿)

<マネちゃん>『さあさあさあ!カンペを持ったスタッフが『巻きでお願いします!早く!』って必死に訴えてきていますが...満を持して登場!デビュー一年たたずで事務所ナンバーワンに輝いた、期待の新星!氷柱ゆいだー!』


アインやクロたちの時とは全く違う口上でマネちゃんはゆいを呼ぶ。


またステージ中央にスポットライトたちが集合して新衣装を纏ったゆいを照らす。


<ゆ い>『…次の曲は君の為に歌うから、君はボクだけを見ていて?』


少し耳を紅くしながらそうセリフを吐くゆい。


刹那の間を置いて会場中に歓声と歓喜の悲鳴が木霊した。


<アイン>『ちょっとゆいちゃん!?いつの間にそんな女たらしになっちゃったの

!?』


<マネちゃん>『ゆいちゃん...大きくなって...』


<ゆ い>『待って!めっっちゃ恥ずかしいんだけど///』


<アイン>『照れてるゆいちゃんカワイイ』


<ラムネ>『ゆいちゃんがこんなセリフをいうなんて...』


<ゆ い>『しょうがないでしょ!?だって読んでって言われたんだもん!』


最初は耳留まっていた紅色もいつの間にか顔全体にまで広がって、ゆいの羞恥心を全力で表している。


<アイン>『...ほう?頼んだらゆいちゃんはセリフを読んでくれると....』


<ゆ い>『絶対にやらないからね!』


<ラムネ>『…そうなんですね』


<ゆ い>『そんな露骨にがっかりしなくても...』


<ク ロ>『…我が王よ、御身の前に』


少し離れた場所で静観していたクロがゆいへと近づき、片膝をついて騎士の礼をして見せる。


<シ ロ>『…栄光ある王太子さま、御身の前に』


シロもクロに習い優雅にカーテシーをして挨拶をする。


<ゆ い>『え!?クロ先輩にシロ先輩!?なにやってるんですか!?』


<ク ロ>『何って、僕が騎士でシロが隣国のお姫様。ゆいが王子様なんだからこうして礼をするのも当たり前なんだよ?』


<ゆ い>『ボクいつの間に王子さまになったの!?』


ゆいが放った驚きの声をよそに、他のメンバーはクロたちに習って臣下の礼を取り始めた。


白いズボンとジャケットに金の刺繍。蒼いマントをその身に纏ったゆいの姿はまさしく王子と言えるだろう。


<ゆ い>『そ、そろそろやめてくれると嬉しい....かな?』


一体どう声を掛けていいか分からないゆいはしどろもどろにそう言った。


しかし、いつもなら誰かしらが切り上げる流れになるというのに、今回はその兆候が見られない。


<ゆ い>『あ、そう言うことかぁ』


視線だけを動かして何とか打開策を見出したようで、小さく息をついてその言葉を言った。


<ゆ い>『よい、おもてを上げよ』


<六道>『よくわかったな』


元の様に戻った六道がいたずらな笑みを作って言った。


<ラムネ>『これっていったい何のステージでしたっけ?』


<しゃちょー>『うちの事務所に異世界出身のヤツはいなかったんだけどなぁ』


まるで異世界に迷い込んでしまったような光景からいつもの雑談風景に戻って行く。


...しかし、そうして遊んでいる間にまた尺が伸びてしまっていることは紛れもない事実である。



ーーーー

更新遅れて本当に申し訳ございません!

予約近辺が落ち着いてきたと思うので、徐々に再開していきます!


そして、お知らせです。

第8回カクヨムコンに向けてお話をリメイクしようか考え中です。

もしかしたら実行するかもなのでよろしくお願いします(?)

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