第141話 いざポーズを決めてと言われても...

クロやラムネが恥ずかしがりながらもポーズを決めて何度かテレポートした頃、ゆいは困り果てていた。


最初のうちはラムネやクロたちのポーズを真似していたのだが、それは何かが違う気がして自分で考えるようになったのはいいものの、そんな可愛いポーズと無縁であったゆいにはその引き出しは全くないのだ。


<ゆ い>(ど、どうしよう....どんなポーズ取ればいいかわからないよぉ...)


それ見かねたのかマネちゃんがゆいに助言を送った。


<マネちゃん>『手でハート作ってください!』


<ゆ い>『え、えっと...こう、かな?』


ゆいはマネちゃんに言われた通りにぎこちない手つきでハートを作った。

慣れないことをやるのはやっぱり恥ずかしいらしく、赤面とまではいかないもののその頬はしっかりと朱を帯びていた。


<マネちゃん>『いいよ!いいよ!その調子だよ!』


<アイン>『今のマネちゃんすっごくおっさんクサいよ...』


マネちゃんと同じように観客たちも唸りをあげた。


それに耐えきれなくなったのか恥ずかしがりながらゆいはジャンプをした。


テレポートした先にはちょうどラムネがポーズを取ろうとしていた時だった。


<ラムネ>『あ、ゆいちゃん!』


ゆいのことに気が付いたラムネがひょこひょことゆいの方に寄っていく。


<マネちゃん>『そこ!そこで両手を指を絡ませて目線こっち!!』


その瞬間を逃さなかったマネちゃんはここぞとばかりにポーズを指名してきた。


<ラムネ>『え...えっと...こうすればいいのかな?』


マネちゃんがそこまで望むならというような空気でラムネはゆいと指名のあったポーズを取る。


<マネちゃん>『良い!凄く良いですよ!そのままぺたんと座ってみてください!!』


実際には手元にはないが、まるで一眼レフを構えるカメラマンのようなポーズをしてだすマネちゃん。


<ゆ い>『よいっしょ...と...これでいいのかな?』


俗にいうぺったん座りをしてマネちゃんの方を見るゆい。その視線は必然的に上目使いになっていた。


<マネちゃん>『ああ!良い!ありがとうございます!!』


<六 道>『だ、大丈夫か?真面目に心配になるテンションなんだが...』


<マネちゃん>『大丈夫です!』


<六 道>『そ、そうか』


企画開始前とは天と地の差と言えるテンションで捲し立てるマネちゃんの気迫は、六道を気圧すほどまで高まっていた。


それに比例するように観客たちは更なる盛り上がりを見せている。


一方その頃、しゃちょーはと言うと...


<しゃちょー>(わからん....どんなポーズが良いんだ?)


顎に手を置いて考えてしまうしゃちょー。

後にこれは『考えるしゃちょー』として語り継がれたのだった....多分。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る