第134話 実況、大事ですから!

数分後、二人は大の字で倒れていた。


<アイン>『2人とも大丈夫〜?』


倒れるゆいのお腹をツンツンとしながらアインは聞いた。


<ゆ い>『あう...』


<アイン>『かわいい』


<ラムネ>『全力でやっちゃって大丈夫?まだ前半も終わってないですよー』


<マネちゃん>『現役高校生舐めてました...』


<ゆ い>『マネちゃんも凄かったよ...』


<しゃちょー>『てか、途中から電子音変わってなかったか?』


『流石にここまで来てシャトルランの音聞きたい人居ないと思うのでアレンジしてみました☆』


<ク ロ>『臨場感凄かったね』


<シ ロ>『多分そういうことじゃないと思うわ』


『因みに、さっきの楽曲はあの【おわっちゃったP】にアレンジをして頂きました!ありがとうございます!』


<しゃちょー>『マジかよ』


この情報に会場は驚きの声がチラホラ聞こえた。


【おわっちゃったP】は音ゲーマー泣かせの高速鬼畜曲を大量に投稿しているボカロPさんである。



そんなことを話している間にゆいとマネちゃんの体力が回復したようで2人ともなんとか立ち上がった。


『さて、倒れてた2人が復活したようなので腹筋、やりましょうか』


<アイン>『むりぃー』


<ク ロ>『...なあゆい、1回でも出来たら褒めてくれ』


アインは嫌だという表情で訴えているが、一方クロは諦めた表情でゆいに言った。


<シ ロ>『...クロは情けない』


<ク ロ>『し、シロには言われたくないかなー』


<シ ロ>『少なくとも腹筋はクロより出来る』


シロはゲーム配信だけではなく、歌の活動もしている関係で多少の自信があるようだ。


<ラムネ>『走るのは苦手ですけど、腹筋は結構やっているので...そのー、頑張ります』


シロと同じようにコメントをしようと思ったみたいだが、思ったように言葉が出なかったようだ。


<しゃちょー>『ゆいは大丈夫そうだな!』


<ゆ い>『どうしてそうなるの!?』


スタッフが準備をしている間を雑談で埋めていたのだが、どうやらとっくに終わっていたようで、いつもはカンペで教えてくれるのをスタッフが体を使って全力で教えてきた。


<ラムネ>『どうやら準備が終わっていたようですね、それじゃあ説明をお願いします』


<マネちゃん>『はいはーい!説明しますよ〜!今からやる腹筋は前後半に分けて三人ずつで行います!前半にアインさん、六道さん、クロさん。後半にラムネさん、シロさん、ゆいちゃんと言った感じのメンバーでやります!』


<六道>『おい、お前が入ってないだろう』


<マネちゃん>『あ、シャトルランで目立った成績を残せず、黙って拗ねていた六道さん!居たんですね』


<六道>『いい成績を出せなかったのは事実だが、別に拗ねてなどいない!それにずっと居たんだぞ?』


忘れられていたことにショックを受ける六道を無視してマネちゃんは先程の質問に答える。


<マネちゃん>『私が出ない理由ですけど、奇数になってしまうのと、実況がいた方が面白いって言うのが主な理由です』


<しゃちょー>『...で、本当は?』


<マネちゃん>『さっき死にかけたのに出来るわけないです。てか、やりたくないです。って...あ』


ポロッと本音が漏らしたマネちゃんに全員からの冷たく鋭い視線が見事に射抜いていた。

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