第127話 イベントスタート?
いきなり全員で歌う新曲から始まったこのイベント。一曲目が終わった瞬間、分身が見えるほどの速さで振られたペンライトと歓声で埋め尽くされた。
<アイン>『ありがと~!あらためて、いきなり新曲から始まりましたセカンドプロダクション初の全体リアルライブイベント!【future!feat.Second Production】のDay1がスタートです!!』
いつもより上がったテンションでそう宣言するアインに六道が詰め寄る。
<六道>『ちょっとまてアイン!Day1なんて聞いてないぞ!』
<アイン>『え、もしかしてしゃちょー!また言ってなかったんでしょ!』
疑いの目を一身に受けたしゃちょーは両手と首を全力で振った。
<しゃちょー>『いやいやいや!俺は何も知らないぞ!』
<ラムネ>『あ、あの~結局Day1ってどういう事なんです?』
<ク ロ>『簡単な話さ、今回のこのイベントはDay3まであるってことだよ』
<ラムネ>『そうなんですか!?』
<シ ロ>『クロ、嘘はよくないです』
<ク ロ>『いや、僕は嘘なんて言ってないよ』
<ゆ い>『えーっと...えーっと』
ライブ本番にも関わらず揉みくちゃになるメンバーを諭すようにSEと一緒にテロップが表示された。
『そんなものはありません』
米印と共に表示されたその文字を見て、会場が笑いでどよめいた。
<ゆ い>『それはさておき、今から始まるこのイベントは新曲を盛りだくさんでお届けします!』
<ラムネ>『その通りです!それに、今回は音楽だけじゃないありません!』
<マネちゃん>『しっかりと企画も用意していますのでお楽しみに!』
<ク ロ>『それからこのライブは同時配信もやっているよ!さすがに全部を無料では見れないけど、アーカイブも残るからぜひチケットを買ってみてほしい』
<しゃちょー>『宣伝はあらかた終わったし、早速始めますか!』
打ち合わせではここに賛同するような形に収まるはずだったが...そうは問屋が卸さないようだ。
<しゃちょー>『なんでお前ら黙るんだよ!』
<アイン>『だって...しゃちょーに言われてやるのなんかヤだ』
<マネちゃん>『右に同じくです』
<六道>『...すまん。左に同じくだ』
<しゃちょー>『俺、社長なんだけど!?』
<三人>『『『だからだけど?』』』
<しゃちょー>『だー!なんなんだお前ら!』
また笑いが起きて少ししたタイミングでゆいがコールをかける。
<ゆ い>『そ、それじゃあみんな!始めるよー!』
「「「おお!」」」
ペンライトを掲げながらそう返す観客たち。
場の雰囲気が変わりいよいよライブスタート!...そうなりかけた時だった。
<アイン>『え、えっとね?ゆいちゃん』
<ゆ い>『どうかしました?』
申し訳なさそうにアインは言った。
<アイン>『そ、その〜ね?自己紹介...まだやってないん..だよね』
そう言われた瞬間、ゆいの表情は赤面に涙目になってしまう。
<ゆ い>『あうっ...その...』
<マネちゃん>『うちのゆいを泣かせるなんてどういうことですか?』
<アイン>『ゆ、ゆいちゃんごめんね!』
珍しく焦るアインに追い討ちをかける六道。
<六道>『今のはさすがに看過できないな。後で少し話そうか』
<アイン>『ええ!?ろくちゃんまで!?えっと、えっと、ゆいちゃんほんとごめんよ〜』
こうして開幕挨拶は無事に終わりそうでならなかったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます