第120話 着々と進む...けど
あの会議からも数日が経過してつい先ほど無事にイベント直前生放送を終えることができた。
結局一夜経っても父さんから連絡は無かったのできっとさほど重要な話では無かったのだろう。
でも気になるものは気になるので本人に直接聞いてみたのだが...
「あ、あー...別に大した話ではなかったんだ。夏休みの宿題の調子はどうだ~的な話だったからな」
そう言ってぎこちなく笑う父さん。本当は何か言いたい事があったのだろうけど、あの時ボクが席を外しちゃったから...
そんなことを思いつつもボクも笑いながら返す。
「え~学生にそれ聞いちゃうの~?まあ、ほとんど終わったからいいけどね」
「お!それは凄いな、俺なんて学生時代は...」
「どうせ最終日までやってなかったんでしょ~」
「いや、提出日までやってなかった」
「ええ...」
そんな他愛もない話を交わしてボクらは別れた。
母さんがボクの家に来た日から随分と経つ。あの時は感情に身を任せちゃったけど、もしもう一度話せるなら...
気持ちが落ち込む話を考えていたのに気が付き頭を振る様にしてその思考を忘れる。
あの日から数日はお姉ちゃんも父さんも一切ボクの家に来なかったけど、お姉ちゃんは前までの頻度とまではいかないが家に来るようになった。前にその理由を尋ねてみたことがあったけど、「前までが来過ぎてたのよ」と笑って言っていた。
みんな笑っていたけど、それは所謂屈託のない笑みではなくて、どこか取り繕っているようなそんな気がする。
こういうのをなんて言うんだろう...
そうだ、みんなギクシャクしている感じを覚えた。
そんなことを放送終了後のスタジオで一人考えていたら、草薙さんが話しかけてきた。
「考え事しているみたいだけど、今大丈夫かな?」
放送中とは違い少し遠慮気味に訪ねてくる草薙さん。その雰囲気からマネージャーとして話しかけてきた事を察して、草薙さんに向き直る。
「あ、はい、大丈夫ですよ」
「ありがとう、実はなんだけど...イベントの最後あたりで、親しい人からの手紙みたいなコーナーを作ろうと思うんだよね。アイドルとかが最後に手紙を読むみたいな認識でいいんだけど...」
「え、ボク引退ですか!?」
「違う違う違う!そうじゃなくてー、前ラムネさんの記念ライブでサプライズとしてやったことがあるんだけど、それが結構リスナーさんに受けたみたいでね?このイベントはこの事務所にとって大きな節目だからやってみようかな〜って」
軽く冗談を挟みながら説明を聞いた。それでふと思ったことを聞いてみる。
「それって、サプライズとかにしなくていいんですか?」
普段の様子を見て考えるに、そうしてやるのがいつもの流れのような気がする。
「流石に今回はやらないよ。こんなに規模が大きくなったし、なんならリアルライブだからね。ああ、もちろん嫌なら断って貰って大丈夫だからね!」
最後の方を語気を強めて言った草薙さん。
中々無茶のある話なのでそうしたのだろう。
ボクは少し悩み、返事を返す。
「うーん、お任せします」
「ええ!?」
想定外の返答に驚く草薙さん。
「流石に人数が多いから多分許可が降りた全員をやるんじゃないんでしょ?だったら人数が足りなかった時とか様にね?...それに来るとは限らないし」
「うん?ま、まあ、ゆうきくんがそう言うなら...」
草薙は口元に手を持っていき、少し考える仕草をする。
「まだこの話は確定してないからなんとも言えないし、頓挫するかもだから気にしないでね。もし確定したらまた伝えるね!それじゃあ私はこれで」
「あ、お疲れ様です!」
そうして草薙さんとも別れたボクは帰ろうかと思っていたが、莉奈さん達に
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