第110話 ...増えました
<かなで>『ごちそうさま~やっぱりゆーくんが作るごはんは美味しいね~』
無事に朝ごはんを食べて満足げにそう言うかなで。それとは対照的に力なく伏せる者が若干二名ほど。
<アイン>『結局もらえなかった....』
<マネちゃん>『もうアインさんの話には乗らない』
その二人をよそにゆいは食器を運び、洗い始めようとするとそれを六道が止めに入る。
<六道>『洗い物は俺がやるからゆいは座っててくれ』
<ゆ い>『え?でも...』
<六道>『後輩に朝ごはんを食べさせてもらって、後片付けまでやらせるのは先輩として面目が立たないからな。なにより、久しぶりにあんなに美味しい朝飯をごちそうになったんだ。このくらいやらないと罰が当たる』
<ゆ い>『そ、そこまで言うのなら...すいません、お願いします』
申し訳なさそうに言うゆいに対して腕まくりをしながら六道は答える。
<六道>『ああ、任された』
【コメント】
:素晴らしい
:さすが六道
:セリフが背中は任せる的なやつw
:イケメンだ!
<アイン>『はへ~六ちゃんは働き者だね~』
洗い物を始めた六道を横目にアインはそう言った。
<マネちゃん>『あの、あそこまでとは言わないですけど、あれが普通です』
:アインはヒモタイプだな
:寄生してくるやーつ
:同棲したくないVtuberランキング1位
<ゆ い>『なんかこの配信でボク、まともに話してない気がする...』
<マネちゃん>『まあ、ごはん作ってましたからね』
<アイン>『簡単なことだ!これから話せばいい!』
<マネちゃん>『そもそもの原因はあなたでしょう』
軽口を叩きながら雑談を始めた数分、突然インターホンの音がまた部屋に響く。
<ゆ い>『...今日は来客の予定はないはずなんだけどなぁ』
:呼び鈴が聞こえてくるVの配信は希少
:嫌な予感しかないw
そしてゆいは一旦席を外す事を伝えて玄関に向かう。
◇◇◇
「よ!おはよう」
「ええっと、ごめんね?こんな朝早くに」
玄関に扉を開くとそこには事務所でよく見る顔ぶれがそろっていた。
「...とりあえず、入ってください」
最早ゆいはツッコムのを諦めて2人を家の中に入れたのだった。
◇◇◇
<アイン>『お、おかえり~ってぶっあっはっは!』
<六道>『...頭が痛くなってきた』
:お、戻ってきた?
:なになに!
:めっちゃ気になる
:何が起きてるんだ
<マネちゃん>『いや...なんでここにいるんですか...しゃちょー』
戻ってきたゆいの後ろにいる二人を見たアインは笑い、六道とマネちゃんはあたま抱えた。
<しゃちょー>『いや、俺だけじゃないぞ!ラムネもいる』
<ラムネ>『わ、私はしゃちょーにつれてこられただけで...』
:草
:しゃちょーがアポなし凸はもはや世紀末
:追加はいりまーす
:www
<ゆ い>『ええっと、ラムネお姉ちゃんはいいとして...しゃちょーはどうしてここにいるんですか?』
<しゃちょー>『ここに来たら朝飯にありつけると聞いてきた』
:www
:後輩に朝ご飯をねだるしゃちょーw
:駆け込み寺かな?
:ラムネちゃんはいいんだw
<六道>『...今後の付き合い方を少し改めた方がよさそうだ』
<しゃちょー>『そ、そんなこというなよ~な?』
<六道>『俺はゆいの味方なので』
<しゃちょー>『ま、マネ....』
<マネちゃん>『六道さんに同意です』
六道、マネちゃんがしゃちょーを拒否している中、アインだけが胸を張って言った。
<アイン>『大丈夫!私がついてる!』
<しゃちょー>『いや、お前は別にいい』
<アイン>『なぜ!?』
:個人の家にこの人数詰めてるのかよw
:しゃちょー...
:アインの扱いがwww
:だが、これでいい
<しゃちょー>『ち、ちなみに朝ご飯は...』
:まだいうかwww
:まじかよw
:www
<ゆ い>『あるとおもう?』
<しゃちょー>『まあ無いよね』
:草
:おお、切れ味が上がっている
:そうなるわな
<ゆ い>『あ、ラムネお姉ちゃんの分はあるから安心してね!』
<ラムネ>『うう、ごめんね?迷惑だったよね』
<ゆ い>『そんなことないよ!』
:扱いの差
:これが正常だ
:ゆいラムてぇてぇ
:かなで姉さん大丈夫かな?
<かなで>『なんか気づいたらいっぱい人いるんだけど...』
:草
:まあそうなるわなw
:さすがセカプロ、やることが違うわ(褒めてない)
しばらくしてアポなし凸企画は大波乱の中、幕を閉じた。
本来であれば炎上案件の内容だったが、放送終了後に公式から「事前に出演者全員から同意を得て行った企画です」と発表があり、事なきを得た。
ちなみにこの同意はお料理企画の時に取られたものなのだが、ゆいどころか運営以外の全員がすっかり忘れていたことは誰も知らない。
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