第63話 50万人突破記念3Dライブ!!

とうとうライブ当日。ボクは事務所の中にあるスタジオに入り、モーショントラッキングを装着する。何度も練習したのでスムーズにつけることができた。


軽めのモーションテストを行って異常がないか最終チェックをする。


チェックは15分ほどですべて終わった。


「モデル異常なし...ステージシステムオールグリーン。さあ始めましょう!」


今回のライブの技術チーフがそう言うと少し周囲で歓喜の声が上がりすぐにライブ準備に取り掛かった。


「ゆうきくん、安心してください!絶っ対に最高のライブになりますよ!」


ボクの緊張が伝わったのか草薙さんがそう声をかけてくれた。


「は、はい!」


準備が整うまでに心の準備を済ませなきゃ...




「それではライブをはじめますよ!5!4!」


テレビの収録と同じようにジェスチャーをする配信スタッフさん。


ボクの目の前に設置されているモニターにはコメント欄と配信画面が表示されている。


今回から待機中のミニアニメが追加された。ゆいがフライパンでホットケーキを焼いているだけの単調なものだけど、コメントでの評判はすごく良くて内心ほっとしている。

そのミニアニメが流れなくなり、が映し出され文字通りライブの幕が開けた。



◇◇◇


<ゆ い>『聞こえる~?』


【コメント】

 :聞こえるよ~

 :キターーーーー

 :この時を待っていた!!!

 :3Dが出てくるまでスパチャは取っとく

 :どこにいるの?


<ゆ い>『聞こえるみたいだね、よかった!しずにい・しずねえのみんなこんにちは!セカンドプロダクション二期生の氷柱ゆいです!』



 :いえーい!!

 :ゆいちゃんどこにも映ってないよ

 :焦らすねぇ


<ゆ い>『あれ?もしかしてボク映ってないのかな?ちょっと待ってね...よっと』


この掛け声とともにいつも使うDが表示される。


<ゆ い>『これでどうだ!』


 :映ってるけど映ってないよ!

 :3Dかもーん!

 :そっちも可愛いけど3Dも見たい!!!


<ゆ い>『そっか...今のボクよりも新しいボクの方がみんな好きなんだ....』


 :そんなことないよ!

 :3Dの方も好きになりたい!

 :2Dも大好きだぁあああ


<ゆ い>『ふふっ、いじわるしてごめんね?それじゃあ一曲目行ってみよう!』


そう言ってボクと背景が光に包まれて消える。


先にステージが現れて、ボクがイントロ部分を歌い始めると3Dの体が配信に映し出された。


今回歌っている曲は今から8年ほど前のボカロ曲。youtubeなどの動画サイトが今ほど主流で無かった時代に爆発てきな人気を出した、伝説のボカロ曲だ。


 :かわいい!!!

 :この曲はだめだよ!!!

 :尊い

 :あああああ


圧倒的なかわいさを誇るこの曲からスタートするこのライブ!これ一本で複数の伝説が新たに生まれることをまだ誰も知らない。

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