第36話 アホな父と優しい仲間③
「はぁ....もうこのくらいにしておきます」
草薙のその言葉で約二時間に及んだりんとへの大説教会が締めくくられた。
「ハイ。アリガトウゴザイマス.....モウアシガ.....」
足が限界になったのかうずくまってしまうりんと。
「六ちゃんはどこで寝る?」
「俺は適当に...」
「廊下で寝てたらゆうき君びっくりしちゃうよ」
「それもそうだな...机でも借りよう」
「え、六ちゃん机の上で寝るの?」
「アホ!」
「くーちゃんはどうするんだい?」
「そうですね...ソファを借りますかね」
「きりちゃんは?」
「私はしばらくゆうきくんの様子を見ていることにします」
「とりあえずりんとは床でしょ?それじゃあ私は...ここを借りる♪」
そういった莉奈はその幼女....小さい.....小柄な体形を利用してゆうきのベットに潜り込む。
「おい、なにやってるんだりー!」
「すやぁ」
「はぁ....もうしらん」
もう起こる気力がなくなった六条はローテーブルへ向かい、それに合わせて各々寝場所に着く。
「だれか....助けてくれよぉ」
足がしびれて動けないりんとは助けを求めたがもうその部屋には誰もおらず、気が付いたころにはもう眠っていたのだった。
◇◇◇
「まあ、その...あれだ!色々あったんだよ」
時を戻してゆうきが起きた時の事。昨晩のことを思い出して目を背けるりんと。
「ゆうきくんがあんな甘えた声で『かえっちゃやだぁ』なんて言われたら誰も帰れないよ」
いつの間にか起きた莉奈がそう付け加える。
「とりあえずごはんにしよう!お腹空いてるでしょう?」
「...はい!」
熱を測ってみると平熱に戻っていたので一安心。
朝ごはんを食べながら莉奈が面白半分な形で昨日会ったことを伝え、りんとがとった行動も説明した。
「悪かった。許してくれ」
「何を謝っているの?」
「それは俺が、体調が悪かったお前を放置したり、熱が上がっているのに適切な処置をしなかったり...」
「それは、父さんの中ではボクは大丈夫って判断したってことだよね?」
「まあ、そう...だな」
「なら、謝ること無いよ?」
「そうなのか?」
「だって、父さんの価値観?というかこれに関する感覚が莉奈さんたちのそれが違っただけだから」
「ゆうき君。そんな簡単に片づけていいのか?」
「大丈夫だよ。だから、ボクから何か言ったりすることはないよ」
「ゆうきくんが良いのなら私はいいんだけど...」
すこし変わった考えを出したゆうきに一行は少し唖然とする。その空気を換えたのはゆうきだった。
「まあ、結果的にボクは無事だしね!莉奈さんたちが来てくれたおかげだよ!ありがとう!」
「そんなにストレートに言われると照れるな//」
「リーが照れてる...」
六条は莉奈のその姿が信じられない様子。
「お詫びになるかどうかわからないけど、もしボクに出来る事なら何でも言ってほしいかな!」
この瞬間ゆうきは嫌な汗が流れるのを感じた。心無しか莉奈の目が光って見えたからである。
「ほう?なんでもって言ったよね今!」
(あ、やっちゃった感じかなこれ)
ゆうきは心の中で少し後悔をするのであった。
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