第4話 転機は突然に③
「えっと、、、その、、えっと、、、」
今まで父さんと話していたけど、周りには知らない人だらけ。
その父さんも纏う雰囲気が変わっている。おかげでまた言葉が詰まってたぢろいでしまう。
「そうなるのもわからんでもないが、あまり時間がないもんでな...悪いが持ち帰って考えさせてやれないんだ」
「...少しだけ考えさせてくれない?」
「行ってこい」
そう言われてボクはソファーに座り直して意識をこの大きな決断のために深く落とす。
◇
「あ、あれ?ゆうきちゃん?」
草薙が様子が変わったゆうきに心配そうに声をかけた。
それでも反応がないゆうきを揺さぶろうとした。
「動かさないでやってくれ、あの子の癖なんだ」
「癖ですか?」
同じようにゆうきに近づいていた六条からも声が上がる。
「そう、あの子は考え事しているとなんていうんだ?意識が思考に向くっていうのかな?こっちからの干渉に反応がなくなるんだよ。本人の体感時間と現実が程遠くなるくらいにな」
「でも、それってさ、案外普通のことじゃないの~」
俺の茶菓子を食べながらちんちく...
「いま絶対ちんちくりんって思ったよね??」
「いやあの子の場合は少し違くてな」
「無視すんな!」
「普通いくら集中したからって三日も考え込むか?しかも本人体感5分だし」
なあゆうき、お前が思ってるほどお前の価値は低くないぞ。
まあ、男としてはあれだが、
身長164㎝
艶やかな黒髪は肩まで伸ばし、CMに出てくるような肌。
容姿端麗という言葉が具現化したようなその姿。
それに...
「それよりもさ~この子かわいいね~」
ゆうきの周りを行ったり来たりしながら興奮気味で言う莉奈。
「モデルでも十分活躍できますよ」
なぜか誇らしげに言う草薙。
「たしかに、テレビに出ても違和感ないな」
頷きながら答える六条。
この一時間足らずでこの界隈のビックネームたちを虜にしているんだぞ?
これでもお前は自分はそんなのじゃないって言うんだろうな。
「あー、一応言っておくが、ゆうきは男の子だぞ」
「「「え?」」」
「ほんと」
まあやっぱりそうなるわな
「「こんなかわいい男の子なんて...良いじゃない(ですか)!男の娘!」」
前のめりになりながら興奮する莉奈と草薙。
「容姿ならまだしも声まで...」
驚きつつも納得した様子を見せる六条。
「な?言ったろ、すごいんだって俺の息子は」
そろって頷く三人を見て少し胸を張ってしまう。
昔言っただろう?お前はデカくなると、世界で大活躍できると。
「マスタ~」
流体のようにすり寄りながら莉奈は話しかけてくる。
「どうした?」
「ゆうきクンを私に頂戴!」
「ぜっっったいに!!やらん!!」
「ずるいです!リーダーじゃなくて私にください!」
「最初のクールはどこに行ったんだ草薙!そして渡さんぞ!」
なあ、早く戻ってこい。準備は済んでるぞ。
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