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 西暦2037年4月5日 復活祭の夜

 ドイツ連邦共和国 ノルトライン=ヴェストファーレン州 ミュンスターにて


 イエス・キリストの復活を祝う日の夜、私はシルフィーの要望に沿って“あるもの”を生み出しこの地へ放った。

 人気のないヴェストファーレン・ヴィルヘルム大学の敷地内で“あるもの”は隊列を組み行軍をしては消え、そして現れては消えという状況を繰り返す。


〈ウェストファリアの亡霊〉


 それはミュンスターにおける負の歴史……いや、この街やドイツという国のみならず、欧州全土における負の歴史である“三十年戦争の悪夢”。

 世界最大の宗教戦争と呼ばれる戦いにおいて、戦った兵士たちを模した“亡霊”だ。


 板金鎧で朽ちた躰を覆い、錆びた剣に割れた盾を持つ異形。

 行軍しているとはいえ、旧ナチスドイツが見せていたような軽快なグースステップには遠く及ばず、ざくざくとだらしなく大地を踏みしめ蠢くように彼らは動いている。

 だがこれで良い。恐怖というのは“理解できないもの”によってもたらされるからだ。

 シルフィーのオーダーでは〈深層心理を曝露する性質を持たせた人形〉ということであったが、彼女の話す目的に沿うならばいっそのこと〈恐怖心〉を煽る要素だって付け加えてやった方が良いに決まっている。


 実に良い出来栄えであると思う。私の中に謎の達成感すら込み上げてきた。

 もちろん、オーダー通り【この兵士を目の前にしたもの、或いはこの兵士を目撃した者は自らが深層心理に抱える“本音”や“解離による下意識”を表出させずにはいられなくなる】といった特性も仕込んでいる。




 振り返ること2036年11月。

 シルフィーが楽しい計画を陽気に喋り始めたあの日、彼女は不敵に、且つ目が笑っていない笑顔を私に向けたままこう話を続けた。


『アンジェリカ様、アンジェリカ様。あぁ、わたくしがお慕いするアンジェリカ様。貴女様の持つお力で“深層心理曝露の性質を持った人形”を生み出してくださいませ。

 見ただけで人々の深層心理に働きかけ、封じられ閉ざされた記憶を呼び起こすような人形。或いは亡霊。この世ならざる存在。異形で構いません。

 ご用意して頂ければ、とても面白いものをご覧頂くことができるはずです』


“構いません”、と。

 簡単に言ってくれる。

 まぁ、腰をあげる、もとい。詳細を考え、イメージをまとめて指を弾くまでの過程が面倒くさいだけで、実際のところは非常に簡単なことなのだが。


 しかし、シルフィーも突然話を切り出しておきながら、いきなりなことを言う。アビガイルといいこの子といい、彼女達は総統である自分のことを何だと思っているのだろうか。

 絶対の法やエニグマを便利屋が持つ魔法の道具などと思っているのではないかと疑いたくなる。


 この状況、溜め息ひとつ吐くくらいは大目にみて欲しい。


 とは言いつつ。私の顔には困惑などというものとは別の、間違いなく笑みという表情が浮かんでいたことだろう。

 そのような戯れも彼女達であるなら許そう。

 むしろ、求められるがままに、望まれたものを作ってあげようではないか。


 なぜなら、その先には私の心を震わせるだけの“楽しい結果”が待っていると約束されているのだから。




 さて、そんな経緯で生まれたこの〈心理曝露の性質を持つ亡霊〉を使って何をするのかについてだが、実の所はもう何をしなくてもいい。

 シルフィーの計画はこの亡霊を世に解き放った時点でほとんど完璧に完了するのだから。


 彼女が最初に言ったことを思い返す。


『人の心を煽るだけで戦争を起こすことが出来たなら、とてもとても素晴らしいことだと思いませんか?私は、わたくしはその方法を思いつきました』


 人の心を煽る。それで戦争は起きるのか。

 彼女が示した言葉はそれだけだ。


 詰まるところ今回の計画とは、“自分達が人々に何か働きかけを行った結果として何かが起きるのか”を観察するのではなく“きっかけを得た人々が自らの意思でどのような行動に出るのかを観察する”というものなのだ。

 シルフィーの描いた計画は、人々に対して“きっかけ”となる出来事を与え、そこから生じる感情を〈亡霊〉の持つ〈深層心理暴露の性質〉を通じて表出させて何が起きるのか経過を見ようというもの。

 人々が普段ひた隠しにしている深層心理を対外的に表出させることで意図的な争いが生み出せるのかを確認する為の実験。

 争いの炎は“人々が自ら持つ意思によって”引き起こされるものとなるはずだ。

 故に、これ以上私が何をする必要もない。準備は既に整えられている。

 あとは事前に蒔かれた宗派対立の引き金という種に対し、亡霊に出会う人々がどういう行動を起こすのか見守るだけで良いのである。


 では、そのような状況を生み出すためには誰のどんな深層心理を表出させて何をさせるべきなのか。

 ここが肝心となるわけで、私も計画の趣旨を聞いた時に確認したことなのだが、彼女はそれを指してこう言った。


『きっかけとなる事象。対立のきっかけとなる理由。そうした人々がもっとも簡単に争いへと至る〈要素〉は古来より決まっております。そして、それは“たったひとつ”あればよいのです』と。


 彼女が狙いを定めた“ひとつ”のものとはキリスト教における〈宗派対立〉であった。

 世界の多くの宗教がそうであるが、キリスト教も古くからローマカトリック派とプロテスタント派による血なまぐさい争いを行っていたのは歴史が証明している通りである。

 同じキリスト教徒でありながら、自分達の信仰する思想こそが正しいと叫び、〈お前達は間違っている〉とことあるごとに互いを糾弾し合う関係性は今日に至るまで続いている。

 特に、戦争の歴史を振り返り紐解けば分かる通り、カトリック派によるプロテスタント派の弾圧は凄まじいものであった。


 自分は千年の時を生きる中で、それを直接この目で見てきたから間違いないと断言する。


 彼らが行ってきたこととは〈人間が人間に対して行うことではない〉と誰もが思うようなことであった。

 ヴァチカンの彼らが全ての争いを主導してきたわけでもないことは付け加えておこう。それでも、世界各地で繰り広げられた宗教戦争に深い関りを持っていたことや、宗教観と相違するという理由で罪なき人々を弾圧してきたことは事実である。

 まぁ、彼らの行いに対しては“挨拶代わり”というほど気軽に罪人を処刑してきた私が言えたことでもないが。


 宗教対立における歴史の中でシルフィーが目を付けたのは〈三十年戦争〉と呼ばれる戦いであった。

 この戦争は歴史上で最も激しい宗教戦争であったと言われている。

 プロテスタントに対する弾圧に耐えかねた人々が引き起こしたプラハ窓外放出事件をきっかけとして、西暦1618年に開戦された動乱はヴェストファーレン条約が締結される1648年まで続くこととなり、終戦を迎えるまでの三十年の間に欧州全土で延べ800万人もの死者を出すに至った。

 彼女は嬉々として私に仔細を説明をする中で〈実験を行う地はミュンスターが良い〉と提示したが、この理由はミュンスターという街が“ヴェストファーレン条約が締結された地であるから”というものである。-ヴェストファーレン条約はミュンスター講和条約とオスナブリュック講和条約の総称である-

 他にも、ミュンスターは16世紀に再洗礼派によるカトリックと福音主義に対する反乱、いわゆる〈ミュンスターの反乱〉と呼ばれる宗教戦争を起こした地でもあり、宗教にまつわる争いが絶えなかった地ということでも適地であると彼女は語った。

 これらを踏まえてシルフィーは“宗派対立を煽る布石-カトリックとプロテスタントが争う為のきっかけ-”を提示すれば、自ずと“三十年戦争のような惨禍を現代に蘇らせる”ことが出来るだろうという見立てを示し、私の問いに答えたのだ。


 続けて彼女は、その為に必要な〈カトリックとプロテスタント〉が対立する為の“小さなきっかけ”を作るにはどうしたら良いのかをさらに私に説いた。


 尚、余談ではあるがドイツではカトリック派の他はプロテスタントの支柱的一派である〈福音主義派〉が信仰勢力の多くの割合を占めている。

 故に、仮にミュンスターの地で宗派対決の色合いを濃くさせるならば、プロテスタントという単語を用いずに〈カトリックと福音主義〉の対立と言う方が印象としては正しい。


 シルフィー曰く、小さなきっかけとは〈単にどちらの思想が優れているか〉であったり、〈どちらの思想が正しいのか〉などということを言い争わせる場を作り出すような、そんなチープなもので構わないという。

 例として彼女が挙げた1つの方法論は、カトリックか福音主義かは問わず、キリスト教においてある程度の影響力を持つ人物に〈キリスト教における宗派とは何か〉を大衆の前で喋らるというものであった。

 シルフィーの言葉をそのまま表現するのなら、これが〈カトリックと福音主義の対立を煽るきっかけとなる出来事〉に該当するというわけだ。


 ここまでが彼女の提案であり、あとは『わたくしからは以上にございます。後の首尾は全て、全てお任せいたします』ということで私が直接動く羽目に、いや、好き好んで動くことになったわけである。



 私は、ウェストファリアの亡霊を街に解き放つよりずっと前の2036年の暮れにミュンスターの街を訪れた。ミクロネシア連邦での聖母の奇跡事件終結後からそう月日が経っていなかった日のことである。

 彼女の言う通りの〈きっかけ〉を作る為、ミュンスターでは有名な“とある人物”の元を訪ねることにした。

 その人物とは、ローマカトリック教会ケルン大司教区の内、ミュンスター司教区を統括する司教、トーマス・エルスハイマーである。


 聖パウルス大聖堂を拠点とするカトリック教徒の人々にとって、エルスハイマー司教ほど影響力を持つ人物も他にはいないし、他宗派に対する語り掛けや呼びかけを行うにしても彼ほどの適任者はいなかったからだ。

 私は〈まだ教義の道を歩み始めたばかりで、あらゆる知識を学び始めたばかりの純粋なカトリック派信徒の少女〉という体裁を装い彼に近付いた。

 見るもの全てが新鮮であるとでもいうように目を輝かせた少女を演じて司教へ近付き、純粋な信徒としての日常的な会話を繰り返しながら“真の目的を達成する為の誘導”を行っていったのだ。


 話していくうちに分かったことだが、彼は心に非常に大きな迷いを抱えていた。

 直線的な科学が現代を支配するように台頭し、いつの間にか宗教が人々の心の拠り所ではなくなっている時代において、自らの役割とは何であるのかと。

 自分達のような存在や、宗教そのものが誰にも必要とされなくなる時代がすぐそこまで来ている。幼い頃から神へ仕えてきた自分の人生とは何だったのかと自問していたのである。


 私はその感情を利用した。

 エニグマによって限定的に使うことのできるロザリアの力〈過去視〉を使い彼の心を読むことで彼の言ってほしいと思う言葉を伝え、彼の意思が“私達が彼に求める行動へ繋がるよう”に誘導したのだ。

 おまけに“彼を通じて放たれる言葉”が後に生み出す亡霊の持つ効力と同じ“心理曝露を導く”という性質を持つように、絶対の法を用いた細工まで施して。


 そうしてある日、私の目論見にまんまとはまったエルスハイマー司教はヴィルヘルム大学においてキリスト教について専攻している学生たちの前で講演することになった。

 もちろんこの講演自体、リカルドが裏から手を回してでっちあげたもので、エルスハイマー司教に“意識下で思ったことを語らせる場”として用意した私達の計略のひとつである。


 私と対話を重ねた彼は自らの心の内を学生たちに打ち明けることを躊躇しなかった。

 ヴェストファーレン・ヴィルヘルム大学において〈宗教と科学 カトリックと福音主義の信仰〉というテーマをもって学生たちに講演を行った彼は、カトリックと福音主義の違いに言及し、双方の立場から見た意識の食い違いなどを細かく指摘すると共に、科学の発展に伴う宗教の衰退にまで言及する。

 最終的には〈信仰心の薄れが信仰の危機を招く〉という趣旨を発言して講演を終えたのだが、結果として彼の講演は多感な学生たちを刺激するには十分過ぎる内容となった。


 実際その後、“信仰の欠如”というものがカトリック派にあるのか、福音主義派にあるのかを争点とした大きな議論が学生たちの間で巻き起こる。

 私が施した心理曝露の性質を付与するという小細工の影響も大きいが、それ以上に彼の口から語られた話の内容が目的を達成する為の内容として〈素晴らしかった〉のだ。


 この時を境として、カトリック派の学生と福音主義派の学生たちは本当の意味で派閥として分かれ、元々彼らが潜在意識化に持つ〈他者を言い負かしたい〉、〈自分の正当性を認めさせたい〉というある種の承認欲求を伴って議論から論争、果ては口論を繰り返して対立へと至る構図を鮮明化させていった。


 ミュンスターという街はドイツでも有数の学生街だ。

 その街で不特定多数の学生たちが日常的に対立を深めていけば、おのずと街全体の空気も悪いものに変わってくる。

 そうした怒りや蔑みといった空気感は容易に他者に伝染するのだ。

 彼ら学生の精神に刺激されるように大人達もカトリック派と福音主義派に分かれて静かな対立を始め、それは徐々に街全体へと波及していくこととなった。


 そうして、予め街全体にぎすぎすとした空気を漂わせることに成功した中で迎えた4月5日の復活祭の夜、私は〈心理曝露の性質を持った亡霊〉を多数生み出し解き放ったというわけだ。

 この亡霊に触れ合い、解離による下意識や潜在意識を強制的に表出させられた人々は、言葉通り〈人が変わったように〉振る舞い、ある者は他者に対して敵意を剥き出しにしながら多くの対立を生み出すこととなる。


 私達がそれ以上に何をする必要もなく、だ。


 さらに私がウェストファリアの亡霊を生み出し放った4月5日から2日後。

 続く4月7日。宗教対立を決定づける要素として、遠い昔に三十年戦争の引き金となったプラハ窓外放出事件になぞらえた事件を私は意図的に起こした。

 旧市庁舎の上階にある窓から福音主義派の5人の男性をプリンツィパルマルクトの地面へ放り出し、大衆に向けて“カトリック派による攻撃的意思表示があった”と想起させることで、対立を煽る為の決定的要素としたのだ。

 何も必要としない中で、本来こうした行為も“必要はない”のだが、余興は余興としてしっかり楽しまなくてはならない。

 シルフィーの計画ではそうした行為を止められてはいないし、私の趣味の範囲でアレンジを加えるだけなら問題もないだろう。


 趣味と言えば、これらの行動が引き起こされる日付は全て日月星辰と深く関わりを持たせるようにした。

 亡霊などというものを扱うオカルト的計画には、同じくオカルト的な神秘性を持つものを組み合わせるのがふさわしいという直感も働いたからである。


 以後は私の戯れも含めて計画はとんとん拍子で進み、いよいよ4月21日を過ぎた段階で目に見える惨禍となって事件を生じさせるに至った。


 宗派対立として仕組んだ計画において、彼ら派閥の対立を煽る大きな役目を果たす別の集団が本格的に動き出したのもこの頃だ。

 抗争と対立を日頃から望み、単一民族による統治、選民思想を未だ根強く掲げるネオナチである。

 彼らは普段は自分達がネオナチの思想を持っているということを対外的にはひた隠しにして生きている。

 ナチスの思想に殉じていることが知れればそれだけで処罰の対象となってしまうのだから当然だ。

 しかし、彼らは自分達の思想がいずれこの世界において再び日の目をみることを深層心理化では常に強く望んでいた。

 強権政治、外国人排斥、人種差別、単一民族至上主義……彼らはそのような排斥思想を心に秘め、思想を公の場に出来る機会が訪れることを待ち続けていたのである。

 そのような中で突如として舞い込んだ千載一遇の機会がこの宗派対立によるいざこざであった。

 ここに至るまで息を潜め続けていた彼らネオナチは、激化する宗教対立を利用して煽り続ければ、いずれ自分達の主義主張を展開できる機会がやってくると信じ、その為だけに諸手を挙げて宗派対立を扇動することに助力したのである。

 以後、1日を経過するごとに大規模なデモ行進がプリンツィパルマルクトで繰り返されるなどの混乱も生じ、24日の正午に至るまでの間でドイツ政府が“大きな懸念”を公式に示すほどの暴動に発展した。


 一個人のわだかまる思いを乗せた講演が多数の人々の論争を呼び、争いを望む者達によって拡散されることで抗争の大きな波が生じる。


〈ウェストファリアの亡霊による大衆扇動〉


 全てシルフィーの描いた理想図通りだ。

 自分達の手を一切汚すことなく、徹底した準備の上で最期に軽く引金を引くだけ。

 単なる理想論の一種ではないかと訝しみもしたが、まさか本当にこのようなことが出来ようとは。


 これは余談のひとつではあるが、こともあろうにシルフィーは今回の大衆扇動による惨劇を〈ある芸術家〉の作った作品になぞらえ、順序だてて進行するように計画を練り上げてもいた。

 信じ難いことに、この複雑な試みも実に上手くいっている。

 私達は偉大なる食刻家であるジャック・カロが三十年戦争の悲惨さを後の世に伝える為に制作した〈戦争の惨禍〉と呼ばれる作品の内、〈大きな惨禍〉と呼ばれる主題の作品の数に合わせ、この一連の儀式めいた計画が進行する様子を18つの主題に分けて実践したのだ。

 今回の計画は〈18つの惨禍という主題を順になぞらえて完成される儀式〉という意味を込めてこう呼んでもいた。


〈18の秘蹟〉と。


 計画を立案して実行に移す直前、シルフィーは私にこうも言った。

『宗派対立の流れを決定づけた後、そうした対立を煽りたがる者達が一連の流れを加速させていきます。私達は何をするまでもなく、傍観の側に立ち続けながらことの行方を見守ることができるのです』と。

 今考えると、対立を煽りたがる者達というものがネオナチ新派を指していたのは明白だ。

 彼女が宗派対立に縁のある街としてミュンスターを指定する以前に、ドイツという国を指定したのもネオナチのような存在が未だに蔓延っていることが確定的に約束されていたからであろう。

 現地で暮らす当人たちが忌避することを平然と計画の勘定に含めて立案し、躊躇なく実践する。その考え方は真正の悪魔ではないだろうか。

 さすがの私達でもそこまでは思いつかない。


 彼女がその言葉を私達に伝えた時、私の中で話の中を聞いていたアンジェリカは目を丸くしながら首を傾げていたくらいだ。

 もちろん、私も彼女の言葉を聞いた当時は、アンジェリカと同じように真意を図りかねて返事をすることも出来なかった。



 ネオナチの加担もあり、いよいよ本当の意味での“惨劇”は幕を開くこととなる。


 あとは待つだけ。そう、待つだけである。

 大衆扇動によってもたらされた巨大な対立の波が爆発する瞬間。

 本当の悲劇が起きる瞬間……これこそが、人々に与える“私達の愛”の形だ。


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