散漫な世界だけど、深くこだわらない
不透明 白
プロローグ
プロローグ。
前説や口上、この物語においての発端を意味する言葉。
プロログでもプログレでもない。
モノローグかと言われると……あながちそれも間違いではないのかも知れない。
一人語り。
今ここで何を語れというのだ。
第一、観客のいない一人語りは『語り』ではなく『言』――単なる独り言、その域を決して出ることはないだろう。
だからこれは独り言。
端から見たら、もしこの場面を目撃されてしまったら、それは〈虚空にお話をしていた痛い奴〉というレッテルを張られて、社会的な死を経験することになるだろう。
だが、その場合においては変な目を向けている聴衆(この場合一人なので聞き役と言っておく)がいるので、再び一人語りに昇格となるのだろう。
そんなこんなで、こんな事を言っている僕は近頃、大衆の皆々様を目の前にしてスピーチをしなければいけないのである。
独り言から一人語り。
そして、一人語りからスピーチへ。
飛躍も飛躍、よもや最終進化まで来ているようなこんな状況は、僕にとって想定外だった。
別に期待している人なんていないと分かっている。
彼らにとって、僕が行うであろうスピーチは所詮有象無象の中の一つ、値打ちなしの無関心で通り過ぎていく何かでしかない。
そう分かっていても、頭で理解していたとしても、その場面を想像するだけで心臓が二倍速く脈打ち、体が強張っていくのを感じるのだ。
……と思っている人の方が多そうなので、代弁してみたのだがいかがだろうか?
もしかしたら、こうやって世の代弁者みたいに喋るのがスピーチのコツなのかもしれない。
だとしたら、やっぱり僕はスピーチよりも一人語りの方が好きなのかもしれない。
いや、だったらもういっそのこと全部混ぜてしまった方がいいのではないか。
独り言を一人語りするスピーチ。
……うーん、字面を見ただけでもつまらなそうだ。
やっぱりちゃんと考えないとだめそうだ。
まぁ、そんなに気負わずに。
それこそ深くこだわらずに、自分らしく生きていけばいいのかもしれない。
1、2の……ポカン!
あれ、何の話をしていたんだっけな。
まぁ……細かいことは気にしない気にしない。
やらなきゃいけないことなんて最初から無かったんだ……いいね?
――現実逃避。
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