第41話 ファイナルステージ2
「じゃあよろしくね、イテキちゃん」
「はは、ハイ! ぎゃんばりまふ!」
「可愛い♪」
緊張してガチガチのイテキ先輩がタケルさんに頭を撫でられてからブリキロボットのような動きで前に出てくる。
えーっとさっきはこっちが負けたから出題範囲はアリスが決めるんだよな。
『それでは』
『ルーレット』
『スタートー!』
次にルーレットが止まったのは六番だった。
『六ばーん!』
『六番の対戦方式はミス即ドロップアウト!
これは今までとは違い問題を読むスピードは要求されません、問題は私達が読み上げますから二人は手もとのフリップに答えを書きこんでください』
『ただしこの戦いは名前の通り、先に答えを間違ったほうは即負け決定。
ただし二人とも間違った場合はセーフセーフ。
ああでも美少女同士対決であたしはどっちを応援したら……やっぱりこういう時はおっぱいで決めるのが宇宙の真理グググ、ぐるじい』
アサミがタクミに首を絞められている間にアリスとイテキの前にはクイズ番組でよく使われるフリップと黒いマジックペンが用意されたテーブルが運ばれる。
『読むスピードよりも正確さが求められるこの問題、ただし二人が正解し続けたら番組の尺が足りなくなるので出る問題は超難問です、それでは西野選手、出題範囲をどうぞ』
「ヨーロッパ史でお願いします」
ここでイギリス史と言わなかったのはアリス自身イテキ先輩とは正々堂々戦って勝ちたい気持ちがあるからだろう。
いくらイテキ先輩がヨーロッパ史好きでもイギリスに限定されたらアリスの独壇場だ。
『ではセカンドバトル、スタート!』
タクミがポケットから用紙を取りだしマイク片手に読み上げる。
『第一問 行こう。ただし兜をかぶり、六万の兵を連れてな、とフランス王に行った人物
の名前は?』
タクミの問いにアリスとイテキ先輩はそろってフリップにマジックペンで答えを書き込む。
そういえばイテキ先輩てこの前会ったばかりだしファーストステージからずっと何もしてなかったから実力知らないんだよな。
模試で全国八位だから勉強はできるんだろうけど、でも問題が出た途端、顔から緊張が抜けてヤル気に満ち溢れた表情で答えを書き込むあたりヨーロッパ史好きというのは本当みたいだな。
生徒会チーム 南蛮伊笛 エドワード黒太子
歴史研究会チーム 西野文香アリス エドワード黒太子
『正解! では第二問、身長が低い事を隠すためにナポレオンが行っていた事は?』
生徒会チーム 南蛮伊笛 いつもイスに座っていた
歴史研究会チーム 西野文香アリス 戦場では常に馬に乗っていた
ここで二人が書いた答えに食い違いがあるが答えが複数ある可能性も十分にある。
『正解! では第三問、ノアの方舟で有名なノアの髪、目、肌の色は?』
生徒会チーム 南蛮伊笛 白 赤 白
歴史研究会チーム 西野文香アリス 白 赤 白
二人の答えが同じ、ということはつまり正解なのだろうが、これはつまりノアがイテキ先輩と同じアルビノだった事を示している。
自分と同じ境遇を考えればイテキ先輩としては是非とも正解したい問題だろう。
『正解! では第四問、こちらも身体的特徴に関する問題です。征服王アレクサンドロス大王の体には珍しい特徴がありました。それは何?』
変わった特徴?
確か前にアリスが部活でプレゼンしてたな、えーっと確か……
生徒会チーム 南蛮伊笛 ツノが生えている
歴史研究会チーム 西野文香アリス 両目の色が違う
『正解! しかし目の色と言えばお二人とも綺麗な瞳ですねえ』
カメラが向くとアリスはぱっちりした大きな青い瞳をカメラに向けて、逆にイテキ先輩は恥ずかしそうに赤い瞳を隠した。
やっぱり人と違うのが恥ずかしいのだろうか、うちの学園はカラーコンタクト禁止だから黒のカラーコンタクトで隠すこともできないんだろうな。
まあそれ以前に生徒会長が許さないだろうけどさ。
『では第五問、西暦五〇〇年頃、ベイドン山の戦いでサクソン人を撃退したブリテン軍の指揮官でアーサー王のモデルにもなった人物は?』
生徒会チーム 南蛮伊笛 ルキウス・アルトリウス・カストゥス
歴史研究会チーム 西野文香アリス ルキウス・アルトリウス・カストゥス
『正解! いやー、こんなマニアックな問題が分かるなんてお二人素晴らしい! それでは第六問、四大元素やアラビアの三原質を再発見し、亜鉛元素を発見したスイスの錬金術師の名前は?』
これって確かパラケルススだよな、これも分かっているようで二人とも猛烈な勢いで書いているけど、なんかアリスの顔色が悪いな。
ていうか完全に青ざめているぞ、何があったんだ?
まさかこの話を俺にしてくれたアリス本人が間違うわけないだろうし。
そんな事を思っている間にタイムアップとなり二人がフリップをひっくり返してカメラに見せる。
生徒会チーム 南蛮伊笛 パラケルスス
歴史研究会チーム 西野文香アリス テオフラストゥス・フィリップス・アウレオー
アリスの答えが途中で終わっている。
ていうかフリップに書ききれなくてアウレオーの後に超小さく何かを書こうとした痕跡が見られる。
『アリス選手不正解! 残念ですがそもそも答えが途中までしか書いていませんね』
「違うんです!! これはテオフラストゥス・フィリップス・アウレオールス・ボンバストゥス・フォン・ホーエンハイムって書こうとしたけどボードが小さくて」
『えー、ですがこれはボードにちゃんと書くのも大事なので残念ながら歴史研究会チームの負けとさせていただきます』
アリスの顔から光が消えている。
せっかく信長を倒したのに誰も援軍に来てくれないまま秀吉と戦うハメになった光秀もきっとこんな顔だったに違いない。
ようするに『オワタ』の状態だ。
タクミがこれで生徒会チームがリーチをかけたとかどうとか言っている中、失意のまま戻ってくるアリス、よしよし、可愛そうな金髪ツインテール眼鏡美少女よ、俺が優しく慰めてあげるからな、これでこのツンデレお嬢様もきっとデレ期に、
「アリス、なんでわざわざ超長い正式名を書こうとしたんだぜ? まさかそっちのほうが目立つからとか思――」
アリスの両手がヒデオの首にかかる。
「Perdon(パードゥン)?」
ヒデオの顔から血の気が引いてヒデオは口をつぐんだ。
逆に生徒会陣営はイテキ先輩がタケルさんに頭を撫でられて頬を染めている。
しかし現実問題二敗はキツイな、これでもしもイヨリも負けてしまったらこっちのコールド負けだ。
そんな俺の気持ちを悟ったのか、右手を握られた感触で右を向くとイヨリが優しく俺に笑いかけてくれる。
「大丈夫だよ、ヤマト君」
『それではサードバトルの参加者は前へ!』
立ち上がり、イヨリは言った。
「勝ってくるね」
やべー超かっこいい、今のは普通俺の台詞だと思うんだがどうでしょうイヨリさん。
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