第4話 お勉強タイム
道中で会ったエミリアとなんやかんやあって同行することになった。
「エミリアの魔法凄かったよね!」
「ファイアストームのことですか? 私のお気に入りです」
エミリアに同行することになった僕と女神さまは、依頼先の村に先に行くことになった。
その道中、エミリアの魔法の事が気になったので魔法談義に花を咲かせていた。
「他にどういう魔法があるの?」
当たり前だが僕の魔法の知識は創作だけだ。
女神さまは分からないが、それほど詳しくないように見える。
「お二人とも、魔法の事をあまり知らないのですか?」
「う、うん、聞いたことがあるくらい」
今の間に色々僕と女神さまの姉弟設定を補完しておかないといけない。
「変わってますねぇ…。私が使える魔法で言うなら
初級攻撃魔法、中級攻撃魔法、結界魔法、後は索敵に能力透視や鑑定などですね」
ちなみに更に基礎である初歩魔法というものもあるらしい。
「へぇ~、どういう魔法なの?」
「初級攻撃魔法と中級攻撃魔法は規模と威力を除けば同じ系統ですね
攻撃と付いているように攻撃に使う魔法です。炎・氷・雷・風の基本四属性魔法です」
ファイアストームは中級攻撃魔法の炎属性だそうだ。
「結界魔法は円陣や精密な魔法陣を地面に描くことで使える魔法です。
魔物を近づけない防御結界、魔法効果を増幅する補助結界、一時的な休息の場所とする拠点結界
どれも準備が要りますし魔力消費も大きいので中々使わないですけどね」
防御結界は魔力消費が特に大きいが効果は絶大、補助結界は強力な呪文を行使する時だけ使う。
拠点結界は簡易的なもので規模が小さい代わりにその中にいると体力などの回復が早まるらしい。
「<鑑定>はアイテムの詳細を知るための魔法です」
「今までと比べると地味だね…」
今までが攻撃魔法とか結界とか派手なものだから余計にそう思う。
「これは結構大事な魔法なんですよ? 試しに使ってみましょうか」
そう言って、エミリアは僕の方にステッキを向ける。
「
旅人の服(R) 物理防御+10 魔法防御+5 素早さ+1
移動時の疲労を1/10軽減、通常の旅人の服よりも性能が少し高い
この文字は空中に浮かび上がって表示されている。
日本語ではないし見たことも無い文字だったが僕にも読むことが出来た。
「こういう感じで所持したアイテムの効果が分かります。
(R)と書かれてるのはそのアイテムがどれだけ希少かを指していますね。
貴方の装備はR(レア)です。普通の旅人の服はN(ノーマル)なので質が良いですね」
便利そうではあるが、やっぱり地味な感じがする。
「もう一つの能力透視は、モンスターや人相手に使える鑑定って感じですね」
話していたら目の前にスライムがまたウネウネしながら近づいてきた。
「丁度いいですね、能力透視を試してみましょう」
「
個体名:スライム(N) 種別:スライム
HP5/5 MP0/0 攻撃力1 防御力1 魔法防御力0
スライムの核以外の物理攻撃無効
直接的な攻撃力は無いが、粘液に触れた物を強酸で溶かし、毒を付与する
炎系の攻撃に非常に弱い
さっきと同じように空中に文字が浮かんでいる。
「こんな感じですね、鑑定もそうですがレベルが上がれば詳細が見れるようになります」
なるほど、こっちも便利と言えば便利だ。
出てきたスライムは転がってた石をぶつけて倒した。
前回は女神さまのサポートがあって5回ほど投げて当てられたが、今回はサポート無しで3回くらいで当てることが出来た。
「二人とも何してるの?」
ベルフラウ様だ。少し僕達と離れて歩いていたみたいだけど。
「エミリアに魔法を教わって、もう一回スライム倒したんだよ!」
僕はちょっと自慢げに言った。
すると姉さんは嬉しそうにこう言った。
「おお、すごいね!レイくん頑張りましたね~!よしよし…」
褒めてくれるのは嬉しいけど、
人前で頭撫でるの止めてほしい…今はエミリアが見てるし恥ずかしい。
「仲良いですねぇ」
村の方角に近づくほどにスライムの出現率が上がっていった。
数が多い場合はエミリアに対処してもらっていたが、単体で出現した場合は僕が倒していった。
その結果……
< 投擲Lv1を獲得 >
< レイはLv2に上がった >
<
僕がLv2ってのは大体分かるけど、マジックアロー?
「め……フラウ姉さん、マジックアローを習得可能になったって出たんだけど?」
「おめでとうレイくん、取得可能ってことは人に教われば覚えることが出来るって事です」
女神さまをフラウ姉さんって言ったとき微妙な表情をしたのに気付いた。お姉ちゃんって呼ばなかったからか…。
それにしても、誰かに教われば……。
「姉さん、魔法は…」と言いかけたら女神さまは首をふるふると横に振った。
「
横で話を聞いていたエミリアが言った。
「本当!?」
「はい、初歩魔法なので素質があればすぐに覚えられますよ」
言い終わるとエミリアは周りを見渡し散策する。
「スライム発見です。あれで行きましょう」
スライムが的扱いになってる…。
「まず、指をスライムに向かって構えてみてください」
「こ、こうかな…?」
言われた通り、スライムに指を向ける。イメージするのは鉄砲の形だ。
「はい、そんな感じです。
その後に、指に魔力発動して打ち出すんですが、分かります?」
現代人が魔力の使い方なんて分かるわけがない。
「ならこれをどうぞ」
エミリアから指輪を手渡された。赤い小さな宝石が付いていて綺麗だ。
「それを魔法を打ち出す指に付けてみてください、体の中の魔力を集めやすくなります」
言われた通りに打ち出す指、右の人差し指に嵌めた。
「気を取り直して……おっ?」
構えてスライムを狙おうとすると、指輪をはめた指先が暖かい。
これが魔力が集まってるってことなのか?
「指先に魔力が集まったと感じたら狙いを定めて、マジックアローと言えば発動しますよ」
よーし、じゃあ狙いを付けて…
「
言葉にすると、指からイメージしたのと類似したような弾が飛び出してスライムの核を掠った。
「やった!当たった! それに初めて魔法を使えたぞー!」
「おめでとうございますー」ぱちぱち
「おめでとう、レイくん~」ぱちぱち
2人とも祝福してくれた、恥ずかしいけど嬉しい。
<
その後、何度か外しながらコツを掴んでスライムに当てていった。
<
< レイはLv3に上がった >
マジックアローを8回使用した辺りで打てなくなった。
「<
「あ、あれ?打てなくなった…」
「魔力切れですね。7発ってことは今のレイの
そんなに威力あるわけじゃないからもう少し打てたら良かったんだけど…。
「まぁまぁ、レイくんは十分に頑張りました。これから少しずつ強くなっていきましょうね」
「最初はそれくらいですよ、十分です」
何か二人とも優しいなぁ……女神さまは撫でるときに時々胸が当たるんだけど、色々困る。
◆
エミリアと出会って出発してから2時間くらいでようやく村に着いた。
「さて、ようやく着いたので依頼人を探しますか」
「はぁ…結構疲れたね…ってあれ?めが……姉さんは何処?」
後ろを見ると姉さんがこっちに急いで走ってきた。
「はぁはぁ…ごめんね、お姉ちゃんちょっと遅れちゃった…」
……おかしいな?少し前まですぐ後ろを歩いてた筈なんだけど…。
よく見ると女神さま、少し顔色が悪いような…。
「め…姉さん、大丈夫?気分悪そうだけど…」
「本当ですね。依頼の人に合ったら少し休ませてもらいましょうか」
「う、ごめんね…二人とも…」
女神さまの視線が泳ぎながら僕たちに謝罪する。
謝ることはないと思うんだけど、どうしたんだろうか…。
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