13.強欲商人、商売計画を立てる。
-ローレンス視点-
全く、一体全体どうなっとるんや。
家でくつろいでて、急に玄関辺りで声がした思ったら、ワケのわからん格好した集団に襲われるわ。
襲われて、もうどうしょうもない思ったら、今度は隣国からリカルド様とパオラ様が助けに来るとか、そんなサプライズいらんっちゅうねん。
2人の話を詳しく聞いてみたんやけど、お互いが非凡な兄と非凡な姉に復讐するために反旗を翻すとか、笑わせるなっちゅうねん。
どう考えても、非凡なのはお前らやろ!
とはいえや、これは金になる。商売になる。
目の前にヴェラ王国の商業都市があったせいで、自分の売り上げはあがったりやったし。
そもそもヴェラ王国は何かとつけて「これは皇帝竜を倒し、ルーン魔術を使う名君皇太子、ジュリアンの意志であるぞ」を脅し文句に、こっちから二束三文で買い付けて、どうしょうもないガラクタを無理やり高値で買わされたりとやりたい放題されたんや。今までのツケを支払ってもらわんならん。
しかし問題があるねん。あのまま2人でヴェラ王国に反旗を翻されるとこっちが困る。あの2人が国盗りなんかやったら一瞬で終わってしまうねん。そんで終わった後に。
「私は平凡です」
なんて言おうもんなら、近隣諸国を交えて即戦争が始まる。ヴェラが散々強気でやってきた外交のツケは多すぎるんや。
もし戦争が起きようもんなら、この街が戦場になる。そしたら家が吹き飛ばされて大赤字や!
せやから、他の商人や有力者を集める話を持ち込んだ。
皆で仲良く悪のヴェラ王国を倒しました。めでたしめでたしにすれば、参加した近隣諸国の連中も溜飲はいくらか下がる。
前線であの2人の能力見れば、誰が本当の非凡かどんなアホでも一目でわかるわ。そうすれば手を出そうという気にもなれへんやろ。
……いや、あいつらが自分を納得して平凡言うんわ、もしかしたら、あいつら並のアホが他にもいるからかも知れへん。
そんなアホが上に立つ国やったら、いずれ滅びよる運命やで……あの2人を除いてやけど。まぁええわ。
ヴェラ王国を取った暁には、本人たちに「君たちは平凡だね」と諭して、取れるもんだけ取ったら「これからはずっと仲良くしましょ」で別れればええか。
多分、一緒に居たマルクとかいうガキもそこら辺は理解しとるやろ……。2人と一緒に居て、異常と気づかんレベルのアホやない事を祈るわ。
となると、あとはこちらにどれだけ損害無く、利益をむしり取れるか、それと、情を移せるかやな。
一生、自分らが非凡という事に気づかないのは流石にありえへん。せやったら情に訴えて攻めれんようにするんや。
ほぼ勝ち馬の勝負や。頑張るしかあらへん。
「お前ら、ちょっとええか?」
「はい。何でしょうか?」
白いマスクを被った、黒ずくめの怪しい集団を呼び出す。
家の掃除の途中だったのか、各自が掃除道具を持ったままワイの前に膝まづいてはる。
これがホンマに噂に聞く死神の鎌かいなと言いたいとこやけど、その戦闘力は昨日この目で見たから疑いようはあらへん。
「これからお前らをグループに分け、それぞれワイの伝手を使って商人たちをここまで案内してもらう」
「私たちが……ですか?」
仮面で表情は見えへんけど、なんで自分らが? と思っとるんやろな。
「だって、ワイの使用人。お前らが昨日ほとんどバラしてしもうたやん」
「……申し訳ありません」
「ま、まぁそこは良くはないねんけどええねん。金で解決出来るやさかい」
使用人の身分が高くないのなら、事故や暗殺に巻き込まれて死んでもいくらかの金を支払えば目を瞑ってもらえる。
まぁ、金だけやのうて、ワイの信用もめっちゃ落ちるけど……。
「そこで、お前らなら、ワイの手紙届けるついでに、手紙の受け取り主を護衛しながらここまで来れるやろ?」
「勿論です」
「せやったら今から文したためるで、ここに残るグループと、それぞれ商人に向かうグループの計4グループ作っといてくれ」
「了解しました」
死神の鎌が失敗したとあれば、次の刺客が来るのは宗教国家テミスか、ワイみたいな大手商会の会頭連中やろな。
会頭連中への護衛としては死神の鎌の戦闘力なら十分やろ。それに、それぞれ専属の護衛もおるやろし。
宗教国テミスはあの2人が向かったから何とかなる思う。確か道中には魔王や皇帝竜に匹敵すると言われるはぐれ竜バハムートが
そしたら宗教国テミスから「道を通れるように討伐した」と言って金せしめたろ。もしそこで2人がおっ
さぁて、リカルド様とパオラ様のおかげで勝てた。ではなく、連合国が力を合わせて勝ったシナリオを作るためキバろか。
いくら
正直、楽しみ過ぎて今自分めっちゃドキドキしとるで!
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