第4話 用とユイナの初心者冒険者は街道を行く。1

 用は、街の中に入らず

すぐに移動することにした。


 門が開けっ放しだ!

 門番の扉が有るのに

門番がいない。


 通りが見えたが、人が見えない。

 煙突があるが、煙が出ていない。


 つまり、人が生活している

気配が全くないのである。


 だが、街はそんなに汚れていない。

 つまり、最近何かあったか?

それとも…

あのリーマンブラザー15世の罠か?


 自転車で移動する。


 ユイナも、無言でついてきた。


 何か聞きたそうなので、

聞いてみると、やはり

なぜあの街を通り抜けたか?

と、言うことだが

人の生活の営みが無いことを言うと


「に、逃げましょう!」と

合意してきたので、

移動する事になる。


冒険者ギルドで書き写した

地図で、一番近い国境に向かったが、

国境ですら、人がいなかった。


そして、見てしまった。


国境砦の事務所?詰所で

物言わぬ鎧だけになってしまった

存在を…



国境砦の警備兵は全滅していた。


隣の国の砦も全滅していた…


ユイナ

「お腹減った〜。

どうします?

人が、生きてない

ゴーストタウン…いや

ゴーストカントリー化した、

異世界なんて…」


「ハァ〜、

ご飯にするか。」


そう言うと、用は

収納から、キャンプ用品を出して

調理に入る。


今夜は、空き砦跡での宿泊だ。


「ユイナのお母さんの実家って

どこにあるか、聞いてる?」


ユイナ

「確か、2つある国境の内の一つの

辺境の領地を持っていて〜、

ギャンブラーって国で〜、

笑うでしょ!

まるでラスベガス出身の人が

建国したような名前だったから

魔法を見ても、現実味が

無かったの… アレ?

え?

ギャンブラー?」


「なるほど…

砦の門にも、

この砦にあった書類にも、

この砦の国は

ギャンブラーって書いてあるな!


明日にでも、訪問してみるか?

だけど、国の防衛の要の砦が

この状態だったら

期待しないほうがいいぞ。

最悪の事態を

覚悟しておいた方がいい。」


ユイナ

「それは、覚悟している。

異常すぎる。


あの王様、本当に勇者を

なんだと思って召喚したのだろね?


それに…まさかね…」


「ギャンブラーに、

トトカルチョってな〜


この世界の思考の基準を

知りたくなくなって来た…」


ユイナ

「私も…

まさか…

勇者召喚ですら、

ギャンブルだったって事?」


「これは、早めに切り上げて

帰る準備をするか〜?」


ユイナはなんとなく、

用の言葉に

引っかかるものを感じたが、

触れないほうがいいと

勘で感じたので止めておいた。


そして、夜の帳が降りてきた。





□□

その頃、用とユイナを

連れ戻すように命令された

王子と、王女達は

どうすればいいのか

困っていた。



近衛兵に聞けば聞くほど

問題が出てきたのである。


まず、武力で連れてくる事は

不可能。


では、利益では?

勇者達の価値感がわからない。


そして、食料が無くなって来ている

現実がある。


他の都市部から

連絡が途絶えたのだ。


ハト便を送ろうが、

開封無しの手紙が、

戻ってくるだけだった。


勇者達の、国外脱出を

阻止するために国境砦4つに、

ハト便を送ったが、

3つは、食料を早く送って来いと、

催促する返事だけで

勇者達がきたとかの情報は

なかった…。


そして、一つ砦からは

未開封の手紙が、戻ってきた。


前に、緊急の食料危機を

訴えてきた砦だ!


そして、その方面に向かって

用達は進んでいたから

探すなら、

国境砦に向かうべきなのだが…


第1王子

「どうする…

どうやって連れてくる…」


第3王女

「無理よ!

金が欲しければ、

国王を斬って、

王になるわよね…


権力欲も無い…


残りは、色欲ぐらいか…」


第4王女

「色欲で釣って、

もし、成功したとして、

勇者達の言う通り

何をさせるつもりなの?


一体陛下は、

何を考えているのか解らない…。


3ヶ月前から

突然変異し始めた世界を

どうするつもりなのよ!」



リーマンブラザー15世

「貴様ら!

まだ、連れて来ていないのか!」


第3王女

「陛下!質問が有りすぎます!

勇者は、異世界の住人!


つまり、異世界では普通の人!

この世界に連れてきて

何をさせるつもりですか?


3ヶ月前からの

この世界の異変をどう、

対応させるつもりですか?


これは、明らかに

管理者神の怒りそのもの!


まずは、管理者神に

コンタクトを取るべきでは?」


第1王子

「陛下!皆はこの国を思って

発言していますが、

言うことは同じです!


勇者達にも同じ様な事を

言われた以上、管理者神に

コンタクトを取るべきです。」


宰相

「王子様…

王女様…

既に、

コンタクトを取ろうとしましたが

駄目でした。


無回答です。


あの勇者召喚は、

一つの賭けでした!


勇者として召喚される者は

向こうの世界か、

この世界の管理者神に会う!


この事は、有名な話です!

そして、我々が出来ないことを

要求されている事を

訴える始まりとなるはずでした。


しかし、我々は制圧された…


論破された…


勇者にすら、

民主主義と法治国家にすることは、

当たり前だと言われた。


だが、この世界の状態は

王政でないと、やっていけない!


国が維持出来ないところまで

既になってしまったのだ!


その事を、勇者達に説明して

納得してもらい、

管理者神にこちらの現実を

把握してもらって

我々の生きていく

状態に戻してもらうしか

無いのだ!」


第2王子

「だけど、先王の時に

民主主義に、しなかったのだろう?

そして、今回は

民主主義にするしか無いのでは?


それから、ギャンブラー国の

西の辺境伯からの返事が来たよ!


我が国との国境地帯は

この世界の異変により

壊滅した可能性があるって!


既に、ギャンブラー国の王子と王女が、

西の辺境伯の所に避難したらしい。


不味いね!

本当に危険な事態になったよ。


それに、勇者達を怒らせたのは

陛下も同罪だし、

召喚したときに、

生かして置いたのは、

いつでも、殺せると言う

警告だろうね。


僕の部下の宿屋の主人に、

見張りをさせていたけど、

余裕そうだったのと、

本当に、何を

討伐させるつもりだったのかって

ボヤいていたらしいよ!」



宮廷魔導師

「陛下…

用意が出来たので

儀式を始めますが…


その…

勇者召喚のトンネルが、

ありません…


向こうの世界との

トンネルが、ないのです…


これでは、勇者召喚は

出来ません。」


リーマンブラザー15世

「無いだと!

なら…

どうする…


オイ!

管理者神を呼び出す儀式に変えろ!

やれ!

さもないと!

わかっているな!


オレが、命令しなくても

このままだと、

全員死ぬぞ!


つまり、失敗は許されない!」


魔導師

「陛下!無理です!

教会の司祭達を呼ぶべきです!

教会の大本山に

要請するべきです!


魔導師の力で

呼び出すよりも、

神官達のほうが

成功率と、説得に向いてます!」


宰相

「確かにそうです!」


近衛兵

「教会の大本山、聖国から

手紙が、来ました!」


手紙には、勇者召喚したなら

聖国まで連れてこい!


管理者神との交信と、

交渉に使うと、書かれていた…。


頭を抱えるリーマンブラザー15世。


聖国でも、交渉するどころか

交信することすら出来なかったらしい。



頭を抱えている国王は、

勇者を説得しろと言って

寝室に行った。


王子達は夜中

ずっと会議をしていたらしい…

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