第492話 山を登ると、紅い世界だった。

 用達が山登りを始めたのは朝の9時頃であった。


 山の向こうが、今の勇者賭博の魔王役の国。


 急がないと!


 しかし、何千年も放置された山道…


 コンクリートは、既に壊れ…


 山道も無くなっていた。


 崖をよじ登り、標高2千メートルを越えると

そこには、火の海の城を中心とする都市が見えた。


「焦げ臭いな〜とは思っていたけど…。」


AI

「火の海ですね…焼かれているけど、死者ゼロとは…」


ヨッピー

「勇者役にされた子は、いないようだね。

(邪辣人)の気配しかないね。」


あの旗…


用の記憶に、ロクでもない旧地球の記憶が蘇る。


AI

「用様?チャンスなのでは?今のうちに試運転してみては?」


「そうだね、やってみるか。」


ヨッピー

「フフフフフフ!ここに新たな伝説が始まるのだ!」


用?

「ヨッピー!焼き野原にするつもりは無いからね!」


AI

「大丈夫!焼き野原に既になってますから!」



そしてヨッピーは、恐竜形態になって用は、準備をする。


用・用?

「この状態になって、果たして大丈夫かな?

まぁいいかな。


 どうする?この状態だと(真用)にするか?」


AI

「用様は、用様です。」


ヨッピー

「そうだね〜ユグドラシル姉さんは、なんて言っているの?」 


用・用?

「オレは俺だって。」


AI

「では用!にしますか?


テンション高めになってる!


という感じで?」


ヨッピー

「いいんじゃない? 」


用!

「わかった、では魔王城(笑)に行くか!」




そして、ヨッピーに乗った用!が山から駆け下りて行く。



 魔王城(笑)の前の村?に着いた。


 そこでは、燃えているウサギ人間がキレ散らかしていた!


ウサギ人間?

「クソーーーーーー!あの勇者め!よくも崇高なるこの聖女様をモンスター扱いして火を付けてくれたな!


 こうなったら、勇者賭博式典が終わったら首を引っこ抜いてバラバラにしてやる!」



用!

「ほぉ~、聞き捨てならない事を聞いてしまったな~!


 何?


 勇者?


 何?


 崇高なる聖女?


 全く聖女らしき波動も、感じなければ


 目も聖女眼ではない。


 単なる狂ったウサギだよな!」


狂った自称聖女ウサギ

「ギョエーーーーーーーーーーーー!


なんで、ここに恐竜が!


なんだ!貴様は!


クソ!よくも私を驚かせたな!


大罪であるぞ!


喰らえ聖女ビーム!」


ピカッ!



青白い光線が用!を襲うが用!と、ヨッピーのオーラの膜に阻まれて消える。


用!

「(ムカ!ムカ!ムカ!)


何が聖女ビームだ!


単なる収束紫外線砲だろうが!


それも弱々しい!


喰らえ!クリア・ブレス!」


用!は、胃に溜まったムカつきの気を口から吐き出して、適当に名前を付けてウサギ人間に吹きつけた!


ドーーーーーーン!



そこには大きな穴が空き、穴の底でウサギが丸焼きになっていた。


用!は、丸焼きウサギ人間を、クリアの縄でぐるぐる巻にしてズタ袋に入れて先に進む事にした。





 そして、燃える魔王城(笑)!


 そこでは、かつてのロクでもない者達が住んでいた城そのままの設計であった。


ヨッピー

「会談の為に、何度か行った事があるけど、当時をそのまま再現してるね。


飽き足らず、同じ事をよくやるよ…」


用!

「全くだな!


うぅ…あーーーーーー!思い出してしまったな…


なんだろな…


アレ…」









□□□□□□□□□□□□□



その頃…


大盾 恵み と、多可士は出発地の城にやってきていた。


外道諸国連合旧アルフォーデ

現在の正式名称  外道NO2


 城門から、歓迎のセレモニーが行われていた。


 にこやかに対応する、


「恵み」と「多可士」。


 熱烈な、歓迎に自分達が穿った見方をしていただけで、本当に勇者としてこの国を救ったのか!という気になっていっている。


 大通りを、「勇者様〜!」


 そして、涙目の凄い美人から

「両親の仇を討ってくれて、ありがとうございます!」


 凄い激泣きのイケメンから、

「恋人を殺した奴らを倒してくれてありがとう。」


なんて、いわれると心にあった疑念が、ぐらつく!



 そして、旧アルフォーデ王宮に入る。


そこでは王がいて、きらびやかな謁見が始まった!



アルフォーデ王?

「よくぞ魔王を倒し戻って来てくれた!


これで、この世界は魔王からの恐怖の支配から解き放たれて自由になるのだ!


二人には、褒美を渡そう!


その前に、さぁ国民よ!


この英雄二人を讃えよ!」



うゎーーーーーー!


城の中まで聞こえる大歓声が起こる!


ここで二人は、この式典に半落ちしていた。


疑念が、薄まっていたのである。



バルコニーに移動すると、国民の祝賀ムードに飲み込まれる。


そして、パレードが始まった。


子供から、大人まで笑顔で手を振る!



恵みも、多可士も、東京の夢の国や、大阪の映画のスタジオなどの夜のパレードを、マジで主役でするのである! 


有頂天になった!













だが…突然…山車(だし)が止まる。


そして、歓声がとまる。


そして、同じ山車に乗っていた王が振り返る。



「ギャッハハハハハハハハハハハ!」


そして、観衆が同じく笑い出す!



ギャッハハハハハハハハハハハ!


ギャッハハハハハハハハハハハ!


ギャッハハハハハハハハハハハ!


ヒュッハーーーーーーー!



「魔王討伐ご苦労様!


だけどね、実はみーんな演じていただけなんだよな!


ほーら?


この聖女は?」



踊っていた芸人が、マスクを外すと見たことがある女だった!




「ほーら、村で泣いていた親子は?」


山車の側の騎士が兜を脱ぐと、見たことがある親子だった!



恵みと多可士は、真っ青になる!


ビルの屋上から突き落とされた気分だ!



それを見て、王は、

「(やったぞ!いい絶望顔だ! これでこの放送の視聴率も、イイネもMAXだ!


それでは、エンディングに入るか!)



そして、おやおや〜!


あそこにいるのは、倒したはずの〜!」



ドッカーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!



 その時、パレードに何かが飛んで来て爆発が起こる!


 煙が晴れると、人が地面に突き刺さっていた!


「(?え?え? こんなの予定に…)


なんだ!」


突き刺さっていた人間が、宙を浮いて地面から引き抜かれる!


それは…二人が念入りに倒して火葬にしたはずの魔王だった。


ボコボコにされている。


ドサッ!


ドサッ!


ドサッ!


ドサッ!


魔王四天王が、ボコボコ状態で落ちて来た!


確かに、真っ二つに斬ったはずなのに…


よくみると、斬った後すら無い。



本当なら、さらに真っ青になって絶望の底に叩き落とされる状態なのだが…


何故か二人は、そうはならなかった。


このボコボコの仕方…


見覚えがある… 




その時である!


ドッカーーーーーーーーーーーーーン!


ガラガラガラガラガラガラ!


あのきらびやかな城が…


瓦礫の山になった!



ズン!


ズン!


ズン!


ズン!


ズン!


そして恐竜?が、やってきた!



「ハ! そんな!そんな!貴様は!恐竜族の長!


貴様は、魔導弾頭で確かに消したはず!


そんな!


ハァ?


誰だ!こんな事をしやがったや……え?


ウソだーーーーーーーーーーーー!


うぞだぎゃーーーーーーーーーーーーー!」 


用!

「こらーーーーーー!


クソマヌーケ!


よくも!俺の数少ないダチを、地球から攫ってロクでもない賭博の出汁にしてくれたな!


 覚悟しろーーーーーー!」



王(旧名クソマヌーケ・ノ・アルフォーデ)

「貴様!まさか貴様は!ーーーーーーーーーーーー!」


その時、ヨッピーのファイアブレスが炸裂して、王が吹き飛んで行く!


そして、アルフォーデ王都は火の海になった。


その火を背に、恐竜が駆け抜ける。


用!と、その後ろに気絶した二人の勇者を乗せて、


マジック・ズタ袋に魔王様(笑)御一行と、アルフォーデ王族御一行を新たに収納して、


闇を駆け抜けて行った。












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