第180話 希望が見える日 その1




 ブリードル帝国の砦にて…

 そこには…

 拉致された高校生達が勇者として戦わされていた…

 限りないゴブリン達の襲撃…

 理不尽なフロン皇女の命令…


 固い黒パン…

 最近は、塩味すらしないスープ?

 明らかなタンパク質不足…


 担任の保山だけが、筋肉をつけている…

 杉谷や旧田丸や野波はまだいい…

 しかし、他の生徒は「その他」扱い…

 飲み物だけが、ポーションだけが、救いであった。

 サイダー! コーラ! ミカン!

 正気を保っていられるのも、勇者専用ポーションがあるから…


 しかし脱走しようとも、国の外は、ゴブリンだらけ…帝国兵士達が自分達を監視している。

 町に出るにも、お金がない。

 冒険者ギルドは機能していないらしい…

 ギルドマスターが逃亡したらしい…

 だから、お金が稼げない…

 そして、また地球から拉致するみたいだ…


 七瀬 唯

「なんとかしないと…

 このままじゃ…皆栄養失調で死んでしまう…」


 学級委員長 大俵 あけみ

「やばいね…

 なんせ、うちのクラスって、もともと男子がほとんどいないから…

 担任のアホ帆山は…(;´д`)トホホ…

 あてにならない…

 杉谷と野波は、スープにハム入っただけで懐柔されたし…

 旧田丸さんは、がんばっているけど…

 兵士隊長に媚び売っているし…

 用賀君は、生きているのはわかった…

 だけど、今さらどんな顔して会えるのよ…

 じいちゃんの言う事聞いて、用賀君側に…ダメでも、

 もっと話すべきだったよ…

 (ノД`)シクシク


 世間の波に乗った者勝ち?

 周りの雰囲気に乗った者勝ち?

 違ったよ…間違いだった。


 中身が無かったら、なにしても、なにもならないってじいちゃん言っていたけど、本当だったよ!

 用賀君、確かに強かったし…

 どうしよう?

 とうしたらいいの?」


七瀬 唯

「しっかりとして、委員長!

 なんとかして、ここを脱出するのよ!」


大俵 あけみ

「どこに、脱出しようと言うのよ!」


七瀬 唯

「隣のバボン王国!

 そこに用賀君がいる!

 そこに逃げよう!」


大俵 あけみ

「どの面下げて、行くのよ!

 学校じゃあ、散々悪事やってしまったのよ…

 謝っても…」


七瀬 唯

「委員長のお爺さん、用賀君の空手の師匠なんでしょ?

 なんとかなるよ!」


大俵 あけみ

「なんで知ってるの?

 ねぇ?誰にも言った事無いのに…」


七瀬 唯

「いや…ほとんど、さっき言ったようなものだよ…」


「まぁ、タネ明かしすると…

 私には父親がいないのは知ってるよね?」



大俵 あけみ

「うん、知ってる。ごめんなさい(_ _;)

 笑った事あったね。

 ホントごめんなさい。」


七瀬 唯

「いいのよ!

 うーん! 銭形って人知ってる?」


大俵 あけみ

「うん! じいちゃんの弟子で、恐らく1番頭が切れる人らしい。」


七瀬 唯

「銭形さんが、私の生みの父親の年が離れているけど、マブダチだったのよ!

 それで、いろいろ世話してもらって、甥の用賀君との関係も知ってるわけ。」


大俵 あけみ

「ほ~。それで、用賀君にホレてるからさらに、余計に知っていたと…」


七瀬 唯

「ふ~ん? そんな、あけみさんも用賀君の事を…」


大俵 あけみ

「バカ言わないで!

 イジメられるのが怖くて、杉谷サイドにいた女なんてどの面下げて…」


七瀬 唯

「まぁ、総代師範なら、腹を切れ!って言うだろね。

 だけどね、ここは異世界!

 ねぇ!腹切るつもりなら、用賀君に謝りに行こう!

 実は、アイツら優遇組を抜いた29人には、バボン王国に逃げる確認取ったんだ!」


大俵 あけみ

「用賀君の嫁にしてくれって?」


大田 ナナ

「ハハ! いいかも!

 うん!嫁いい(≧∇≦)b(笑)

 まぁ、たった3人しか男子いないクラスも異常だったけど、用賀君ならいいね(≧∇≦)b

 委員長!みんなで、逃げよう!」


 男子なら、引くような会話をしている女性陣…

 女性ばっかりなため、男言葉を使うぶっきらぼうな人もいるが…やっぱり女性!


 みんなで逃げようと、準備を始めた。




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