第107話 やはりウソだったか…




 (自称)用の屋敷付きメイド大戸 ゆみ視点


 用様は、悩んでいらっしゃいました。


 頭痛薬開発と、スタンピード対策の魔道具開発です。                 

 私も、この世界に来てからレベルアップの為にスキルや魔法を使っていたのですが、使うたびに身体がきしむ。

 痛い。

 神経とは別にいわゆる魂が痛む。


 最悪でした。

 タツヤや他の3人も同じ状態でした。

 スキルを使うたびに、魂の痛みがひどくなるのです。


 タツヤは正気を保つのに、精一杯でした。

 それでも、まだモンスターを倒すことができましたが、用様は魔法・物理ダメージを与えられないみたいです。


 正直に言うと、この世界では生きられない設定なのに、王国会議での映像を見ると、砦の上でワイバーンを全滅させたりS級ダンジョン攻略時の映像とか、よく生きてたな!と言うのが率直な感想です。


 「AI様?用様の頭痛は、私が体験した魂の痛みでは、ないのですか?」


AI

「それが身体の神経をスキャンすると、たしかに身体的な痛みなのですが、ゆみさんに魂の痛みの事を聞いてから、ソウル・ペインテストしたのですが、魂の痛みは検出されませんでした。」


 「え?用様には魂の痛みがないのですか?」


AI

「ゆみさんの場合、(?)が本人に合わないスキルなどを付与させた可能性があるのですが、用様の場合実は付与されてません。

 呼吸スキルすら付与されてませんでした。」


 「へ?それってどうやって生きて行くのですか!」



AI

「どうも、用様自身が呼吸スキルを作った?編み出した?感じなのです。

 他のクリーン系とかターン系もそうです。」


 「?作ったり編み出せるものなのですか?」


AI

「いえ、無理です。

 この世界では、スキルアナウンスは、(?)に乗っ取られていた時の私がしていたみたいですが、用様のスキルアナウンスを頭の中で聞きましたが、どこからアナウンスされてるのか発信源すら不明です。

 ついでに言うと、ターン・モンスターやクリア・ダークというスキルはこの世界に無く、また、スキルレベルは今1000を超えてます。

 10が限界なのにありえません。」


 「1000オーバー?!マジですか!」


「うーん。どうしよう」


 どうも、武器が武器にならないことで悩んでいるみたいです。


ゆみ

「オークのスタンピードは私もタツヤ達と対応した事がありますけど、まず手こずったのはアンデッド系でした。

 鼻がよく効くはずのオークと組むパターンが多かったですね。」 


「そうなんだ。」


ゆみ

「リッチとかを先に討伐できたら、案外簡単に討伐できた覚えがあります。」


「ターン・アンデッドの効果付きの杖とかもいいかも。」


ゆみ

「アンデッドの大軍が来た時、聖水を消防車の放水みたいにぶっかけたら、早く討伐できるのにな~なんて思ったのも、いい思い出ですよ。」


「それだ!それだよ、ゆみさん!」


「ジャイアントに、放水で届かないなら…アレ作るか。」


 ゴトッ… 


 簀巻き(すまき)にされた、スパイがゴーレムに抱えられて、天井から降りてきた。


ゆみ

「ゴーレムさん、ご苦労様です。

 では、公開処刑にしましょうね。」


 モゴモゴ!モゴモゴモゴモゴ!


ゆみ

「貴方がどこの者か知りませんが、主に危害を加える体制に入った以上、覚悟は在るでしょ?

 まぁバボン王国には了解済みの事なので公開処刑でしょうね。」


 そこへ、第2王子?ミルトが入ってくる。


ミルト

「え?」 


ゆみ

「間者を捕縛しました。雇い主を吐かせて処刑しましょう。」


ミルト

「ちょっと待って下さい。

 こちらで引き取って取り調べしてもよろしいですか?」


ゆみ

「いえ、それには及びません。

 まぁ用様の判断次第なのですが。」


 モゴモゴモゴモゴモゴモゴモゴモゴ


ミルト

「すまないが、こちらで引き取らせてもらう。後で報告はする。」


 ピキッ!


 ゆみに、青筋が立つ。


ゆみ

「何を、おっしゃっておられるのやら?

 この間者に心当たりがあるのですか?」


「ゆみさん~とりあえずアンデッド特攻付与の水を作ったから、この水鉄砲で実験するか。

 あれ?

 ミルトさん来てたの? 

 間者が入ってね今から取り調べするのだけど、あまりいいものではないからユミさんと隣の部屋でお茶飲んでおいて。」


ミルト

「すいません、ソイツは恐らく…」


 口を塞いでいたものを、取り除くと出てきた言葉が、


間者

「貴様、私を誰だと思っている。公爵さまのしょ……」


 トン!


 ミルトが首すじを、叩く。


 間者が気を失うって倒れる。


「ハァー。よし!お仕置きをしよう。」


ゆみ

「やりますか。」


ミルト

「お願いします。ここは穏便に。」


「公爵って、先王の子供だっけ?

 全く反省してなかったと言う事だよね。

 ゆみさん、もうここにはいても意味が無い。

 移動しよう。」


ゆみ

 「はい。もう用意はできてます。」


ミルト

「待って下さい。明日の爵位の儀式は…」


「間者が、入り放題の宿は危ない危ない。

  暗殺者が、無罪放免な国は危ない危ない。

  そうしないと、やって行けない国なんて危ない危ない。」


ゆみ

「では、行きましょう。」



  どうするミルトさん?

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