第105話 バボン王国のスタンピード対策1



  

  バボン王国宮殿内



 国王

「聖カルッティ王国からの、連絡はまだか?

 オーク・ジャイアントがどちらに動くかわからんが、いいかげん軍の方針を決めないといかんぞ。」


側近

「船を出しましたが、まだ向こうに入港許可が出ない状態だと、鳩便で来ています。」


 国王

「こちらから直接出した鳩便は?」


側近

「その、帰って来たのですが…、こちらの手紙はそのままでした。」


国王

「王都冒険者ギルドマスターを呼べ!

 聖カルッティ王国には、冒険者ギルド総本部があるはずだ。

 魔導通信で連絡を取らせろ!」


側近

「魔導通信がホロン王国と繋がりました。

 これで、向こうの宮殿とも映像会話ができます。」


国王

「久しぶりじゃ。

 ホロン王国のゴブリン・ジャイアントは?」


ホロン国王

「久しぶりじゃ。

 うむ、今パルサー領にて監視しておる。」


国王

「では、ホロン王国とバボン王国共同緊急事態対策会議を始めよう。」


ホロン国王

「バボン王国とホロン王国共同緊急事態対策を始めます。」


 会議は難航した。

 前王達の事も、ある。

 ヨウ・ヨーガの協力無くジャイアント種対策は不可能に思えた。

 ただ、下級ポーションが潤沢にあり、軍の状態が良好なのが両国のせめてもの救いであった。



側近

「ミルト王子?から、連絡が入りました。

 ヨウ・ヨーガ様が了解されたと言えばわかる、との内容の手紙です。

 あと、オーク・ジャイアントが、いつ動くかわからないので、先に魔道具の開発を急ぐとの事です。」


宰相

「まさか、全てヨウ・ヨーガは飲み込んでくれたのですか?!」


国王

「ユミ・オオトの説得もやってくれたよ。

 ただ爵位の事は、帝国にいる勇者達の事もあるから、派手にしないで欲しいとの事だ。」


宰相

「わかりました。

 すでに手は打っています。

 そうですか、説得してくれる方が現れるとは。

 両王国の問題が1つ解決できましたな。」


国王

「あと召喚勇者ではなく、拉致された者達という表現にして欲しいとの事だ。

 帝国からなんとか、こちらに呼ぶが召喚勇者だと、反発するだろうとの事だ。」


 ガヤガヤガヤガヤガヤガヤ!


 周りの貴族達や大臣達が、騒ぐ。


宰相

「国王陛下、いったい勇者達もですが何があったのですか。」


国王

「ヨウ・ヨーガとの話はな、カクカクシカジカ(第2話と第94話の内容を話す)でな、どうもユミ・オオトの時もおかしかったが、(?)なる者がこの世界の管理者、神様ではなくいわゆる邪神ではないのか、ということだ。

 ホロン国王、どう思う。」


 

ホロン国王

「そんなことが!

 だから前勇者は、魔王倒したら帰られるのだな!とか散々確認してきたのか。

 無理矢理拉致だったとはな。

 しかも、前勇者達は帰還していないとは… 

 ヨウ・ヨーガが前勇者達の関係者だったのは…これも運命なのか…」


国王

「では、ヨウ・ヨーガは両国共通の共同爵位を持ってもらい、自由行動を認める。でよろしいかな?」


ホロン国王

「うむ。

 画面に映っている通り議会でも全会一致で採決された。

 バボン国王ガンバろうぞ!」


バボン・ホロン両国王

「両国のこれからの未来に、天よ!本当の我らの創造神様!何とぞお助け下さい。我らの罪、先祖達の犯した罪の精算の機会を与えて下さい。

 我らの子孫を残す許しを与えて下さい。」


 鐘がなる。


 ガラ~ンガラ~ンガラ~ンガラ~ンガラ~ン


 会議進行は、全員の祈りと共に急進んだ。

 貴族に王族全員が、まるで呪いから開放された様な表情で意見を出し合う。


 いがみ合いがない、足の引っ張り合いがない、建設的な意見と提案が続いて6時間も続いた。

 そして、合同軍事協力事項が締結された。

 その事は用にすぐに、鳩便が出された。


 しかし、ここで皆さん覚えているだろうか?


 第45話に出て来た、用とフレンドリーになったA級パーティー(鉄のドレス)と(カスミの雨)に(大剣のサビ)である。


 かれら3組が、死の森の各配置場所から3羽の鳩便がホロン王国会議室に直接くる。

 緊急事態便だ!


 ホロン・バボン両国に緊張が走る。


 ホロン王国宰相

 「ゴブリン・ジャイアントが動き出した!」



                  つづく


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